2024年 4月 27日 (土)

「経済」に仕掛けられたカラクリを暴く 「VUCAの時代」に転ばぬ歩みをサポート

転売「営業」には許可が要るカラクリ

   コロナ禍では、外出自粛やテレワークの拡大で、自宅で過ごす時間が増え、そのことを利用して「転売ビジネス」を副業として始める人が増えたとされる。副業としての転売ビジネスの人気はコロナ以前から高まっていて、その理由は、手軽に始められるからにほかならない。

   本書によると、毎月数万円の小遣い稼ぎの人から、毎月数百万円規模で仕入れて年収200万円~3000万円を稼いで、脱サラして「古物商」の許可を得て独立開業、本業にしたひとまで、さまざまな模様がみられるという。

   「転売ビジネス」に隠されているカラクリは、この「古物商」の許可だ。アマゾンやメルカリで転売ビジネスの副業に乗り出す場合は要らないのだろうか。本書によると、カギになるのは、行為に「反復継続性」があるかどうか。

   たとえば......。2020年5月、ラグジュアリーブランドである「コム・デ・ギャルソン」の社員が、同ブランドの古着を仕入れてネットで転売し利益を得たとして摘発され書類送検される事件があった。社員は古着を仕入れて売ったもので、ネットではこの行為の何がいけなかったのかを問う声が多数上がった。

   摘発の理由は、古物商の許可がないのに転売行為を繰り返していたから。一般に自分の所持品や不用品をネットオークションやフリマアプリで売るのは「営業」とはみなされない。しかし、商品を次々と仕入れ毎回複数を同時出品し「反復継続」した「営業」をするには古物商の許可を得ていないと違法になる。

   社員は古着店での勤務経験があり、高値で売れそうなものを見分けることができたという。書類送検されるまでの約3年間、452点を転売し216万円の利益を得ていた。転売を、正業にしようと考えている人は注意が必要だ。

「経済のカラクリ 知らないと損をする53の『真実』」

神樹兵輔著
祥伝社
860円(税別)

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