2021年 4月 12日 (月)

開催する、しない!?東京五輪 新聞社説が堪忍袋の緒を切った「中止派」「開催派」の意外な顔ぶれと論調は...(2)

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   今年(2021年)7月23日開幕予定の東京五輪まで半年を切った。

   新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大で、開催に反対する世論は8割を超えている。開催が危ぶまれるなか、ただ、「コロナに打ち勝つ証にする」と一つ覚えのように繰り返すだけのIOC(国際オリンピック委員会)や菅義偉首相に、新聞社説が堪忍袋の緒を切った。

   開催に批判的な論調の新聞、賛成する新聞、双方の社説を読み解くと――。

  • 東京五輪の主会場となる新国立競技場
    東京五輪の主会場となる新国立競技場
  • 東京五輪の主会場となる新国立競技場

産経は「五輪は世界への公約だ」と断固開催を主張

   一方、こうした開催に懐疑的な論調とは真逆に、「断固、開催すべし」と強く訴えているのが、産経新聞の主張(社説)(1月23日付)「五輪まで半年 臆測に惑わされず準備を」である。

「東京五輪は国民が前を向くための希望であり、厄介者にしたくはない。開幕までの残り半年、日本の責務は粛々と開催準備を進めることだ。今夏の開催可否をめぐり悲観論や臆測も飛び交っているが、組織委と東京都は惑わされてはならない。IOCのバッハ会長は『7月に開幕しないと信じる理由は、現段階で何もない。だからプランB(代替案)もない」と述べ、中止や再延期を否定した。この姿勢を支持したい」

と書き、多くの新聞が批判したIOCの開催一辺倒の姿勢を全面的に擁護する。そして、今夏の五輪開催は「世界への公約だから守らなければならない」と訴えるのだった。

「国際体操連盟会長でIOC委員の渡辺守成氏は産経新聞の取材に対し、『この逆境で五輪を成功させたら日本の存在感は上がる』と述べ、中止により日本が失うもののほうが多いとの見解も示した。同感である。東京が掲げる『安全・安心』な大会の実現は、今後の五輪にとって新たなモデルとなる。昨年3月に東京大会の1年延期を提案したのは安倍晋三前首相だ。IOCをうなずかせたのは、日本なら『安全・安心』を確保できるという信用があったからだ。今夏の開催は世界への『公約』であり、いまは菅義偉政権が責任を負っている。五輪開催への具体的な道筋を示し、日本の安全性を世界に発信してもらいたい。国民は一日も早く、前を向きたいのだ」

と結ぶのだった。

福島民友「復興五輪の理念忘れないで」と開催希望

東日本大震災からの「復興五輪」ではないかと福島の地元紙は訴えるが...(写真はイメージ)
東日本大震災からの「復興五輪」ではないかと福島の地元紙は訴えるが...(写真はイメージ)

   産経新聞の「精神論」的に思える論調とは異なり、「復興五輪」というスローガンの面から開催を強く主張するのが、東日本大震災の被災地・福島の地元紙、福島民友新聞だ。1月23日付の社説「東京五輪まで半年 実現への道筋早く打ち出せ」では、準備が進む福島の事情をこう訴えている。

「政府や大会組織委、東京都などは、開催を不安視する世論の理解が得られるよう、観客の有無などを含む大会の開催方針や具体的な方向性を早期に決定すべきだ。開幕まで全国を巡る聖火リレーは3月25日にJヴィレッジ(福島県楢葉町、広野町)を出発し、3日間で県内26市町村を通過する。セレモニーなどは簡素化が検討されており、大会組織委と県は、リレーの実施方法や沿道の密集対策などについて調整を進めている」
「スタートまでに残された時間は少ない。早急に具体的な実施内容を明示し、各市町村などが円滑に準備できる態勢を整えてほしい。福島市のあづま球場では開会式(7月23日)に先立ち、7月21日にソフトボール競技が始まる。選手らの検査や出入国の仕組み、競技会場などでの感染症対策は昨年12月に大枠が決まり、大会運営について具体的な検討が進められている」
「現時点では、最大の観客動員を前提にする必要がある。県や福島市はあらゆる事態を想定した柔軟な対応が求められる。各国の選手団は、大会直前に時差調整や練習などで、国内のホストタウンに滞在する計画だ。県内9市町村が11カ国のホストタウンに登録されている。しかし選手の入国後の待機期間中の活動や行動ルールなどが決まっておらず、県内のホストタウンも相手国との調整などが進んでいない。各自治体の受け入れ準備への支援が必要だ」

   そして、福島民友新聞は「復興五輪」という理念を忘れないでくれと、こう結ぶのだった。

「東京五輪・パラリンピックは『復興五輪』が大会理念だ。東日本大震災の復興の姿を世界に発信し、これまでの支援への感謝のメッセージを伝える機会になる。政府や大会組織委は、復興五輪が大会の最も重要な柱であることを忘れず、コロナ禍の克服に全力を挙げなければならない」

   いずれにしろ、開催に反対する新聞、開催を求める新聞双方ともに、何も決められずにいるIOC・政府・組織委・東京都に怒りを募らせているのは確かだ。

(福田和郎)

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