2024年 4月 20日 (土)

「数学ができていたらなあ」とため息をつく人に こんなネタから始めてみたら?

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   最近、高校生レベルの「復習本」がよく売れている。数学が苦手と私立文系の大学に進んだが、会社に入ったら、数学の知識やセンスも要求されるので、教科書レベルから勉強し直しているという人も少なくないらしい。

   本書「読み出したら止まらない! 文系もハマる数学」は、教科書、参考書という体裁を取らずに、数学のエッセンス、おもしろさを伝えてくれる本だ。役立ちそうなネタを拾って読むだけでも、数学的思考にふれることができる。

「読み出したら止まらない! 文系もハマる数学」(横山明日希著)青春出版社
  • あの頃、もっとマジメに勉強しておけばよかった……
    あの頃、もっとマジメに勉強しておけばよかった……
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数学の楽しさを伝える「数学のお兄さん」が執筆

   著者の横山明日希さんは、math channel代表。日本お笑い数学協会副会長という肩書だが、2012年に早稲田大学大学院修士糧単位取得(数学応用数理専攻)の理学修士。大学在学中から数学の楽しさを世の中に伝えるために、「数学のお兄さん」として講演やイベントに出演してきた。著書に「笑う数学」(共著、KADOKAWA)、「算数脳をつくる かずそろえ計算カードパズル」(幻冬舎)などがある。

   横山さんは講演会などで、

「講演を聞くまで、数学のおもしろさがわからなかった」
「身近なことの役に立たないようで、学ぶ意味がわからなかった」
「学生の頃に嫌いになったけれど、やっと克服できた気がする」
「もっと早く数学好きになっていたら、数学的思考を身につけられていたのに」

という声を聞くという。

   数学に対して苦手意識のある人、ない人の違いは、たったひとつ。「そうだったんだ!」という体験のあるなしだという。

   本書は、身近な不思議を解き明かす数学、世の中の裏が見えてくる数学、知っているだけで得する数学、コミュニケーションに使える数学、思わず試したくなる数学、考え出すとハマる数学の6章構成。39の項目からなる。

新型コロナウイルスの感染防止策、8割の行動制限が求められる訳

   その中から、いくつか問題と解説を紹介しよう。

   まず、第1問「新型コロナウイルスの感染防止のため、8割の行動制限が求められている理由とは?」。

   感染者は「指数関数的」に増加する。あるウイルスは、感染者1人が生み出す二次感染者数を2人だとする。1人から2人、2人から4人、4人から8人......。いわゆる「倍々」に増えていく。新たな感染者がx人増えるごとに次の感染者数は2のx乗ずつ増えていく。

   感染者の連鎖を断ち切り、ウイルスの感染力そのものを減少させるために「ステイホーム」が要請された。

   さらなる対策「8割の行動制限」とは、どういう理由から要請されたのだろうか。横山さんは「実効再生産数」について説明する。再生産数とは、1人の感染者が平均で何人を直接感染させるかを示すもので、「実効再生産数」とは「実際に現実の社会で起きている再生産数」だ。

1より大きい→新規感染者が増え、感染が拡大
1の場合→新規感染者数は横ばい(収束も拡大もしない)
1より低い→新規感染者は減り、感染が収束

   すでに感染拡大が起きたドイツなどのデータから「オーバーシュート(爆発的な感染者の増加)」を避けるためには理論値は2.5と考えられた。さらに、実効再生産数が1を下回り、抑制させることも必要だ。

   政府専門家会議クラスター班の西浦博教授によると、以下の数式となる。

   実効再生産数(Re)を1より小さくしたい。そのためには、全体(1)の何割(p)の人が行動制限する(1-p)ことで、基本再生産数(Ro=2.5)を下げることができる。

   この式を計算すると、行動制限が必要な人の割合(p)は0.6になるそうだ。つまり、行動制限が必要なのは6割。しかし、実際には要請に応えない人もいるので8割になったようだ、と説明している。

   コロナ関連で難しい話を紹介したが、本書には「見るだけで解ける、3ケタ×3ケタ計算法」「13日の金曜日が暗算でわかる方法」「モテる人がやっている『恋愛ロードマップ』を素因数分解」「丸いケーキをきれいに3等分する方法」など、楽しいトピックスが多い。

仕事の効率化のための因数分解

   働く人向けの話題では、「できる大人が無意識にやっている『仕事の超効率化』を因数分解」という項目があった。

   人間関係は数字で表しにくいため、数学的な分析が難しいように見える。しかし、「因数分解的思考」を使えば、コミュニケーションを分析し、より良い人間関係を築くことができる可能性があるとうのだ。

   ポイントは2つ。かたまりを要素に分解する。各要素を共通する要素でくくる、ことだ。

   理想の営業=「出会いの印象」×「コミュニケーション頻度」×「理解度」×「共通の利益」だとする。

理想の「理解」=「顧客×課題」+「経営者×課題」+「業界×課題」
=課題(顧客+経営者+業界)

   こうして、因数分解的に考えることによって、やるべきことが見えてくる、と書いている。

   ロボット掃除機の「丸」と「三角形」どっちがオススメ? など、生活に身近なことも取り上げているので、「もう数学の勉強は嫌だ」という向きでも大丈夫だ。2015年に登場したパナソニックの「ルーロ(RULO)」という三角形の製品は、「ルーローの三角形」という数学由来の名称だという。その形に数学者の目が釘付けになったそうだ。

「読み出したら止まらない! 文系もハマる数学」
横山明日希著
青春出版社
1000円(税別)

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