プロゴルファーのタイガー・ウッズ氏が米ロサンゼルス近郊で自動車事故を起こし、その容体に世界中の注目が集まっています。事故現場に立ち会った地元保安局によると、ウッズ氏の命が助かったのは「nothingshortofamiracle」(奇跡にほかならない)大事故だったそうですが、驚いたのはウッズ氏の「人気ぶり」です。バラク・オバマ元米大統領を初めとする各界セレブやスポーツ界のレジェンドたちが次々と熱いメッセージを贈り、ウッズ氏の公式ツイッターには暖かいファンのメッセージがあふれています。なぜ、ウッズ氏はこれほどまでに人々の心をわしづかみにするのか――。その魅力を探ってみました。ツイッターにあふれる「ヤギ」の絵文字?タイガー・ウッズ氏のツイッター・アカウントに書き込まれた説明によると、緊急手術は長時間に及び、脚を固定するためのロッド(棒)や複数のスクリュー、ピンが挿入されるという大手術だったようです。術後の容体は、「awake,responsive,andrecovering」(意識があり、反応できて、回復に向かっている)そうですが、プロゴルファーとしての復活は、現時点では難しいだろうと複数のメディアが伝えています。Hisabilitytoplayprogolfagainisinquestion(プロゴルファーとして再びフレーできるかどうかは疑問だ:米ニューヨークタイムズ紙)じつは、ウッズ氏は先日5回目となる腰の手術をしたばかりで、21年度の復帰は「未定」だとされていました。今回の大事故で復帰の見通しがさらに遠のくなか、ウッズ氏の公式ツイッターには復活を願う声よりも、「無事でよかった」「家族のために少し休んで」といった、ファンの暖かいメッセージがあふれていました。Getsomerestforyourselfandyourfamily(自分と家族のために少し休んで)Justverygrateful!Tigerisokey(とにかく、タイガーが無事でよかった!)Whatevercomesnext,Ihopehe&hisfamilyaregoingtobeatpeacewith(次に何が起こっても、彼と彼の家族が平和であることを望んでいる)プロゴルファーとしてのウッズ氏の活躍を願いつつも、まずはウッズ氏個人の安静と家族の平和を望むメッセージの数々。ファンの寛大さに感動しながらながめていると、なぜか「ヤギ」の絵文字があちこちに登場していることに気がつきました。なかには、「goat」(ヤギ)のハッシュタグをつけているメッセージも。「タイガー(虎)なのに、なぜヤギなのだろう?」と不思議に思って調べてみたら、「GOAT」は「GreatestOfAllTime」(史上最高の)の略語で、優れたスポーツ選手をたたえる場面でよく使われることがわかりました!ヤギの英語表記が「goat」なので、ツイッターなどではヤギの絵文字を使って表現する「お作法」だそうです。ヤギの絵文字一つにこんな深い意味が隠れていたとは......。謎なぞクイズみたいで楽しいですね。「タイガーは決してノックアウトされない」地元ロサンゼルス保安当局の発表によると、今回の交通事故は「無謀運転の要素や事件性は薄い」とのこと。事故現場は、かねてから「hotspot」(事故多発現場)として知られていたらしく、報道でもウッズ氏の行動を責める声は見当たりません。それどころか、「ウッズ氏交通事故」の速報が流れるやいなや、各界のセレブやスポーツ選手たちから次々と応援メッセージが寄せられたことに驚きました。ウッズ氏は業界の垣根を越えた「俺たちのヒーロー」のようです。Loveyoubigbrother...butWewillgetthroughthis(愛しているわ兄貴、私たちはきっと乗り越えられる:女子プロテニスのセリーナ・ウイリアムズ選手)Ifwe'velearnedanythingovertheyears,it'stonevercountTigerout.もし我々がここ数年で何かを学んだとしたら、それは、タイガーは決してノックアウトされないということだ:元米大統領バラク・オバマ氏)オバマ元大統領のメッセージが示しているように、タイガー・ウッズ氏の人生は波瀾万丈でした。数々のトラブルやケガに見舞われながらも、時には「ダメ男」の素顔を世界中にさらしながらも、苦しみをさらけ出して生き抜く姿に世界中の人たちが自分の人生を重ねているのでしょう。2019年のマスターで優勝して11年ぶりにメジャー制覇を果たした時は、輝かしい「復活劇」に涙した人も多いのではないでしょうか。今回も、そんなウッズ氏の人生を、多くのメディアが特集で伝えています。LookatsomeofWoods'shighsandlows(ウッズ氏の浮き沈み人生を見てみよう:米ニューヨークタイムズ紙)highsandlows:人生などの浮き沈み人生に浮き沈みは付きものです。ウッズ氏の場合は他の人よりもかなり「浮き沈み」の高低差が激しいので、谷底から這い上がろうと懸命に努力する姿に人々の心が揺さぶられるのだと思います。それでは、「今週のニュースな英語」は「highsandlows」を使った表現を取り上げましょう。株価や気候の「高低差」を表す時にも使います。highsandlowsonthestock(株価の高値と低値)highsandlowsoflife(人生の浮き沈み)highsandlows(最高気温と最低気温)最近のウッズ氏は、愛息チャーリーくん(11)と一緒にゴルフを楽しむ姿が話題になっていました。プロプレーヤーとしての復活は厳しいかもしれないですが、ゴルフを楽しむ一人の父親として、一日も早い回復を世界中の人々が願っています。(井津川倫子)
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