2024年 4月 26日 (金)

インド変異株の侵入を許す東京五輪のザルだらけの水際対策 第3国経由の入国って「なめられてる」!(1)

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まだ「コロナ対策者」を決めていない各国代表

   ところが、東京五輪期間中となると1日2万8000人どころか、その数十倍以上の検疫が必要になる。政府と東京五輪大会組織委員会が作った「水際対策」はまったく役に立たないと指摘するが、時事通信(5月3日付)「五輪コロナ対策ルール、これだけの疑問」である。

   時事通信はまず、「むなしいバッハIOC(国際オリンピック委員会)会長の自画自賛」として、4月28日にIOCや五輪組織委が発表した新型コロナ対策のルール集「プレーブック」がいかに「穴」だらけかを、こう伝える。

   まず、最初の問題点が「各国代表のコロナ対策責任者(CLO)」の任命だ。各国の オリンピック委員会(NOC)・パラリンピック委員会(NPC)はCLOを置くことになっている。

   CLOは入国前には選手らにコロナ対策のルールを守る誓約書、活動計画書、健康管理実施状況の確認などを取りまとめる。入国後、選手団から陽性者が出れば、行動履歴や濃厚接触者を調べ、保健当局や組織委と連携して対策を決める。まさにコロナ対策の成否を左右する立場だが、5月初め現在、まだ任命していない国が多いという。

   しかも、CLOが具体的に何をすればいいのか、業務をサポートするシステムのリリースもまだできておらず、組織委員会が配布するのが5月末になるというありさまだ。CLOの仕事がいい加減になるのではないか、と時事通信は心配する。

東京五輪は開けるのか(新国立競技場)
東京五輪は開けるのか(新国立競技場)

   2番目の問題は「マスクは自前で調達する」という信じられない対応。マスクは選手団や参加者個人が用意するのがルールだ。布製を使う場合は2重、3重にすることや材質まで指定。1日1回は洗い、世界保健機関(WHO)のガイドラインを守るよう指示している。そこまで細かく指示して、大会本部がマスクの配布しないのは「国によって公衆衛生の感覚や文化が違うから」だという。

   時事通信の取材に、コロナ禍の国際大会を経験した競技団体の役員はこう語った。

「国によって、薄いマスクや鼻出しも目立つ。材質とか毎日洗うとか、選手みんなが守るとは思えない。コンドームを配るくらいなら、使い捨ての公式マスクを作って潤沢に配ればいいのに」

   コロナ禍よりも性感染症のほうが心配なのか、国内4社のメーカーがコンドームを4万個ずつ合計16万個も選手たちに配る予定だ。

「何を考えているのか。濃厚接触を勧めるつもりか!」

という声もあがっている。

   3番目の問題は、「(陽性という)通知がなければ陰性」と判断する性善説主義の対応。選手は出発前2回の検査を受けるなど一定条件の下で、入国初日から練習ができる。選手の検査は「原則毎日」だが、実際には競技・種目の日程が立て込み、常時数万人の選手らがそれぞれ分刻みで動く。そこへ検査、再検査、通知、濃厚接触者認定作業...と結果が判明するのが遅れるケースが考えられる。その場合、「(陽性という)通知がなければ陰性」と判断して先に進まないと競技ができなくなるわけだ。つまり、事実上感染しているかどうか確認できないまま、どんどん競技を進めるわけだ。

   この問題は早くから海外メディアも指摘していた。組織委員会の記者会見で、海外メディアから、

「検査は大会期間中に全部で何回やるのか。約1万5000人が参加し、関係者を入れると全部で数十万回は想定される。検査を十分に行う医療の人材はいるのか」

と聞かれると、組織委の武藤敏郎事務総長は、

「結論が出ていないので数字は言えない。頻度も競技によって(試合間隔などの)事情が違うので、詰めている」

と見通しを明言しなかった。

(福田和郎)

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