2022年 5月 18日 (水)

東京五輪「観客どんどん入れよう!」 強気の菅首相に経済界も総スカン(2)

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   東京五輪・パラリンピック開催まで残り45日を切った。菅義偉首相と国際オリンピック委員会(IOC)は何が何でも開催を強行する構えだ。

   焦点は無観客か有観客か。有観客ならどのくらい入れるかに移っている。菅義偉首相はできるだけ多く入れたがっている。

   しかし、それは「トンデモなく危険だ」と専門家は指摘するのだが......。

  • 大会の主会場となる新国立競技場
    大会の主会場となる新国立競技場
  • 大会の主会場となる新国立競技場

ワクチン接種が進んでも五輪開催中に緊急事態宣言

   そんななか、ワクチン接種が進んでも、ちょうど東京五輪開催中に「5度目の緊急事態宣言」が避けられないというデータが発表された。毎日新聞(6月9日付)「西浦博氏が分析『高齢者ワクチン7月完了でも宣言解除後に流行』」が、こう伝える。

「高齢者のワクチン接種が7月末で完了しても、緊急事態宣言の解除後に再び重症病床が不足するなど宣言を要する流行は避けられないとする分析結果を、理論疫学が専門の西浦博・京都大教授がまとめた。6月9日の厚生労働省の専門家組織『アドバイザリーボード』に報告された」

   西浦教授は、爆発的に感染が広がった今春の大阪府のデータを調べ、年代ごとの感染の広がり方と重症化率を計算。宣言が6月21日に解除される前提で、東京都にこれらのデータを当てはめ、重症者の増え方を予測した。すると、高齢者の接種率にかかわらず、7月下旬から重症者が急増。8月前半までに宣言が必要なレベルに達した。主な重症者は、未接種やワクチンが効かなかった高齢者や、まだ接種していない壮年~中年の世代だった。

   また、インド型変異株の感染力を、従来株の1.78倍と推計した。7月中旬には国内のウイルスの半数と入れ替わると予想した。実際、厚生労働省によると、インド変異株の東京都内の感染者は6月9日時点で87人、前週より34人も増えた。ハイペースで従来株に置き換わっているのだ。

   西浦氏は、

「東京では人出も増えている。感染者数の減少速度が鈍化する地域もあり、今後リバウンドの可能性が考えられる」

としている。

   結局、高齢者の接種が完了しても、未接種の壮年世代以下の動きが活発化に、変異ウイルスの猛威が加わり、再び感染爆発を引き起こすというわけだ。杉浦氏の試算で怖いのは、東京五輪の人流増加の影響を計算に入れていない点だ。

スポンサー企業「9~10月に延期してほしい」

   こうした事態に、経済界からも「何が何でも東京五輪を開くというなら無観客で!」という声が上がり始めた。6月3日、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事が定例会見で、東京五輪に開催について聞かれ、こう答えた。

「世の中が新型コロナで疲弊する中で、オリンピックが日本で行われ、世界が団結することの価値は否定しないが、国民が大変不安に思っているのも事実だ。ワクチン接種の結果、感染状況に関する病床使用率などの5つの指標の改善が続いたとしても、無観客が限界だと思う」

そのうえで、こう提案したのだった。

「無観客ではあるが、たとえば VR(Virtual Reality)や、選手の一挙手一投足を感激するような形で映るデジタル技術を活用することも一案だと思う。初めてデジタルオリンピックを成功させた国として、世界に誇れるのではないでしょうか」
「スポンサー企業が延期を要望した」と報じた英紙ファイナンシャル・タイムズ電子版(6月4日付)
「スポンサー企業が延期を要望した」と報じた英紙ファイナンシャル・タイムズ電子版(6月4日付)

   経済界といえば、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が、「日本の東京五輪スポンサー企業の一部が、水面下で大会を9~10月に延期することを提案している」と報じた。6月4日付「Olympics sponsors call for Tokyo Games delay to allow more spectators」(オリンピックのスポンサーが、より多くの観客を受け入れるために東京五輪の延期を要求している)という記事だ。

   それによると、6月初め、スポンサー契約額で総額30億ドル(約3300億円)以上を投じた日本企業47社が不満を募らせ、一部企業が主催者側に延期の要望を出した。スポンサー企業はできるだけ多くの観客が入る形での開催を強く望んでいるのだった。

   要望を提案した企業の幹部は、フィナンシャル・タイムズの記者にこう語った。

「組織委員会は7月23日の開会を固く決心しているようなので、この提案が大きく影響を与えるとは思えない。しかし、ワクチン接種が進み、気温も涼しくなり、世論の反発も少ない9月末または10月ごろに大会を開催するほうがはるかに理にかなっている」

   別のスポンサー企業幹部は、

「このまま無観客や少人数での観客の開催では、チケットのプレゼントや会場での大々的なプロモーションが出来ない。我々が投資した資金の価値がなくなる。追加のスポンサー料を払ってもいいから、完全な形での秋の開催を望む。そうすれば、投資した資金もいくらか価値が出てくる」

とまで話した。

   そして、フィナンシャル・タイムズは政府分科会の尾身茂会長の「オミの乱」にも触れて、スポンサー企業幹部のこんなコメントで結んでいる。

「尾身茂会長が、現在の状況で開催するのは『普通ではない』と述べたことの危険性について、私の会社でも議論があった。それだけに、政府はオリンピックを(多くの観客を入れて)予定通りに開催できるようにあらゆる努力をするべきだし、2~3か月遅延のプランBも準備する必要があると思う」

   このフィナンシャル・タイムズの報道について、組織委員会は6月5日、「スポンサー企業から、そのような要求はない」と否定する見解を発表した。

(福田和郎)

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