2021年 8月 2日 (月)

【6月は環境月間】われわれは毎日、生物多様性のお世話になっている!

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   6月は環境月間だ。環境を保全するためにどうしたらいいのか。最近、よく耳にする「SDGs」(持続可能な開発目標)とは何なのか? 6月は環境に関する本を紹介しよう。

   環境問題について語るとき、よく耳にするのが「生物多様性」という言葉だ。なんとなく「生物多様性は大切です」と思っている人が多いだろう。

   地球上には、わかっているだけで190万種、実際は数千万種もの生物がいる。その大半は人間と直接の関わりを持たない。しかし、私たちは多様なこの生物を守らなければならない。それはなぜなのか。本書「生物多様性」(中央公論新社)は、その疑問に答えた本である。

「生物多様性」(本川達雄著)中央公論新社
  • サンゴ礁は種が多い
    サンゴ礁は種が多い
  • サンゴ礁は種が多い

株式と同じ「ポートフォリオ効果」

   著者の本川達雄さんは、「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学」などの著書で知られる生物学者で東京工業大学名誉教授。専門はナマコなどの動物生理学。「生物多様性は守るべき価値がある」というのは環境倫理学の領域であり、専門外のことに口を出すべきではないと思ったが、「口をつぐんでいればいいと放っておくには、許されない事態になっている」と、本書を執筆したそうだ。

   生物多様性が高いと、人類に役立つ「生態系サービス」がぐんと良くなるから、生物多様性は大切なのだ、と冒頭で説明している。生態系サービスには4つのジャンルがある。供給サービス、文化的サービス、基盤サービス、調整サービスだ。なかでも、空気や水や土やエネルギーや栄養という、人間を含めた生物が存在するための基盤となる環境を、今ある形に保ってくれているのが生態系であり、この生態系の機能を基盤サービスと呼ぶ。

   主役は植物だ。種が多様だと光合成による生産量が増える。また植物は水や土壌も提供してくれる。

   調整サービスとは、他の生物や環境から、人間社会に対して加えられる悪い影響を、生態系が和らげてくれるサービスだ。その例として挙げているのが遺伝的多様性の重要性である。

   アイルランドで1845年から4年にわたって大飢饉が起きたのは、主食だったジャガイモの疾病が原因だった。ジャガイモは16世紀末にアメリカ大陸からヨーロッパにもたらされた。種芋から殖やせるため、すべて同じ親由来になりがちで遺伝的多様性に乏しくなり、病気の大蔓延につながった。200万人が餓死、100万人が米国へ移住した。その後、南米各地から野生種を集め、ジャガイモの遺伝子の多様性を保つようにしたそうだ。

   種の多様性によって生態系が安定する仕組みとして、株式の世界と同じ「ポートフォリオ効果」が考えられる。多数の銘柄に分散させて投資すれば、どれかは上がり、どれかは下がるので、利益の変動は小さくなる。それと同様で、たくさんの種がいれば、変化は小さくなって生態系は安定するということだ。

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