2021年 9月 21日 (火)

天皇陛下「東京五輪での感染拡大をご懸念」 宮内庁長官、必死の諫言にまた耳を貸さない菅政権

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   ついに天皇陛下まで東京五輪開催の強行により、新型コロナウイルスの感染が拡大するのではないかと「ご懸念」を示した。宮内庁の西村泰彦長官が記者会見で明らかにした。

   天皇陛下は東京五輪・パラリンピックの名誉総裁であり、通常なら開会式で祝辞を述べる。国民の生活と命を重んじられる立場として、素直に祝えないお気持ちなのかもしれない。

   しかし、菅義偉政権には「お気持ち」がまったく伝わらないようだ。加藤勝信官房長官は、「発言は、宮内庁長官自身の考え方だ」との見解を示し、矮小化した。

   そんなことを言っているあいだも、東京都ではリバウンドがどんどん進み、恐怖のインド型変異株(デルタ株)が急速に広がっている。

  • 「安全・安心」としか言わない菅義偉首相
    「安全・安心」としか言わない菅義偉首相
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宮内庁長官「陛下のお気持ちを報道してもらって結構だ」

   いったい、東京五輪を開いて新型コロナウイルスの感染拡大は大丈夫なのだろうか。天皇陛下まで不安の気持ちを表していることを、朝日新聞(6月24日付)「『陛下は開催で感染拡大しないか懸念と拝察』宮内庁長官」がこう伝えている。

「天皇陛下が名誉総裁を務める東京五輪・パラリンピックについて、宮内庁の西村泰彦長官は24日、陛下がコロナ禍の感染状況を心配しているとし、『開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されていると拝察している』と述べた。定例記者会見で、東京五輪での陛下の予定についての質問に対して答えた。陛下の懸念を西村長官は『私が肌感覚として受け止めているということ。直接そういうお言葉を聞いたことはない』と説明。『陛下が名誉総裁をお務めになる五輪・パラリンピックで、感染が拡大するような事態にならないよう感染防止に万全を期していただきたい』と注文した」

   これまで、日本で開かれた五輪では当時の天皇が開会式に出席。開会宣言をしている。1964年の東京五輪、72年の札幌冬季で昭和天皇が、98年の長野冬季では上皇さまが開会を宣言。今夏の五輪でどうするのかについて、政府は「開会式の具体的な内容は関係者間で調整している」としている。

   宮内庁長官から天皇陛下が懸念を示しているという発言が出たことは重大だ。記者団は執拗に念を押した。朝日新聞によると、こんなやりとりが続いた。

(宮内庁長官)「天皇陛下は現下の新型コロナの感染状況を大変ご心配しておられます。国民の間に不安の声がある中で、ご自身が名誉総裁をお務めになる五輪・パラリンピックの開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されている、ご心配であると拝察しています。陛下が名誉総裁をお務めになる五輪・パラリンピックで、感染が拡大するような事態にならないよう組織委員会をはじめ関係機関が連携して感染防止に万全を期していただきたい、私はそのように考えています」
(質問)「五輪について開会宣言する場合、その文言は五輪憲章で決まっていて、『祝う』という文言が入る。中止論もある中で、陛下が大会開催を祝福するような文言を述べるのはどうか?」
(長官)「ご指摘のとおり、IOCのプロトコール(国際儀礼)で決まっていますので宮内庁として意見を申し上げることは控えたいが、感染防止に徹底を尽くしていただきたいということに尽きます」
(質問)「宮内庁として、文言の変更を申し出る考えは?」
(長官)「今のところはありません」
(質問)「陛下が、五輪が感染拡大のきっかけになるのを懸念されているというのは長官の拝察ということ?」
(長官)「拝察です。日々陛下とお接しする中で私が肌感覚として受け止めているということです」
(質問)「仮に拝察でも長官の発言としてオン(編集部注:オフ=オフレコではなく公式発言として報道すること)だから、報道されれば影響がある。発信していいのか?」
(長官)「はい。オンだと認識しています。私はそう拝察し、感染防止のための対策を関係機関が徹底してもらいたいとセットで」
(質問)「これは陛下のお気持ちと、受け止めて間違いない?」
(長官)「私の受けとりかたですから。陛下はそうお考えではないかと、私は思っています。ただ陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはありません。そこは誤解ないようにお願いします」

英国、イスラエル、米国までインド株に陥落

   天皇陛下がいたく心配するのも無理はない感染状況が、東京都で続いている。6月23日の新規感染者数は619人で、1週間前の同じ曜日より118人も増えた。翌24日も570人で、同じく先週の同じ曜日より118人増えた。急速にリバウンドが始まっているのだ。

   共同通信(6月23日付)「東京早くもリバウンドか コロナ専門家組織分析」が、感染力が非常に強いインド型変異株(デルタ株)の猛威が東京の急速な感染拡大を招いていると伝える。

「厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織の脇田隆字座長は6月23日の会合後の記者会見で、東京の感染状況について『リバウンドの状況だ。特に若い人を中心に都心部から感染が始まっている』と指摘した。 会合では、京都大の西浦博教授(感染症疫学)から、東京五輪の開会式がある7月23日に、国内では感染力の強いインドに由来する変異株(デルタ株)の割合が73%に達するとの試算も示された」

   東京都で23日、新たに16人のインド型変異ウイルスの感染が確認されたが、このうち50代から100歳代までの男女6人が同じデイサービスの利用者だった。

変異型ウイルスの恐怖(イメージ)
変異型ウイルスの恐怖(イメージ)

   クラスターが発生したのだ。また10歳未満の小学生女子のインド型株感染が確認されている。いずれも感染経路はわかっていない。

   インド型変異ウイルスがいかに怖いかは、ロックダウンの解除を見送った英国に続いて、ワクチン接種が世界でもトップクラスに進んでいるイスラエルでも猛威をふるっている。そのことを、毎日新聞(6月23日付)「イスラエルでも変異株拡大、7割がインド由来 マスク着用を再び推奨」が伝えている。

「イスラエルのベネット首相は6月22日、インド由来の変異株『デルタ株』の感染が広がっているとして、屋内でのマスク着用を推奨すると述べた。イスラエルでは6月15日にマスク着用義務が撤廃されたばかりだ。保健省によると、21日の新規感染者数は4月20日以来最大となる125人で、うち7割がデルタ株とみられる」

   イスラエルでは20歳以上の70%が米ファイザー製のワクチンの2回接種を終えており、5月末までは1日10人以下の感染者だったか、一気に10倍以上に増えたわけだ。海外渡航者から拡大しているとみられ、保健省は空港での水際対策を強化する。学校でも集団感染が発生しており、ベネット首相は12~15歳についても、早期のワクチン接種を促した。10代の接種率が2割にとどまっているのが影響を受けているようだ。

   英紙フィナンシャル・タイムズによると、新規感染者に占めるインド型株(デルタ型)の割合は、世界で急速に広がっている。ポルトガルで96%、ロシアで99%にのぼる。

   CNNテレビ(6月23日付)「米国でもデルタ株が20%に 新型コロナ『再流行』の可能性も」が、インド株の猛威の前に、バイデン政権が「正常化に自信」宣言を出した米国でもリバウンドが広がっていることを伝える。

「インドで見つかった変異株(デルタ株)が米国でも優勢となりつつあり、専門家からは年内にも新型コロナの『再流行』が引き起こされる可能性があるとの見方が出ている。CDC(米国疾病予防管理センター)の試算によれば、6月5日までの2週間で、米国での感染に占めるデルタ株の割合は約10%から21%に拡大した。この割合は2週間ごとに2倍になるハイペースだ。専門家からは、感染力の高い変異株が増えれば、夏の終わりから秋の初めにかけて再流行が起こるとの見方が出ている」

インドに出現した恐怖の新種「デルタ・プラス」とは

   こうしたなか、恐ろしいニュースがインド型変異株(デルタ型)のお膝元、インドから飛び込んで来た。その名も、デルタ型よりもっと強力な「デルタ・プラス」という新種の変異株が現れたというのだ。

   BBCニュース(6月23日付)「Delta plus:Scientists say too early to tell risk of Covid-19 variant(デルタ・プラス:科学者は、この変異ウイルスの危険性を語るのはまだ早すぎるというが...)」が、この謎のウイルスをこう伝える。

「インド保健省はこのほど、ヨーロッパで新たに特定された新型コロナウイルスの変異株を『注目すべき変異株(VOI)』から『懸念される変異株(VOC)』に格上げした。インドでは新型ウイルスの変異株について、感染力の高さ、重症化の度合い、抗体や治療、ワクチンへの反応などの条件を少なくとも1つ満たした場合、変異株の危険レベルを格上げすることになっている」

   インドでは今年(2021年)4月、マハラシュトラ州とケララ州などで初めて新種の変異株の報告があった。22件のうち16件はパンデミックが特にひどいマハラシュトラ州で見つかった。そして、この変異株は先にインドで特定され、全世界80か国に猛威を振るっている、いわゆる「インド型株」(デルタ株)と関連しているため、「デルタ・プラス」と名付けたというのだ。

   インド保健省は、この新しい変異株「デルタ・プラス」(正式名AY.1)について、デルタ株より感染力が高く、肺胞に取り付きやすいという研究結果を発表した。そしてデルタ・プラスは、これまでに米国、英国、ポルトガル、スイス、日本、ポーランド、ネパール、ロシア、中国で見つかっているという。日本にすでに入っているというわけだ。

   しかし、BBC放送が取材したウイルスの専門家たちは、インド当局の発表に懐疑的だ。こう続ける。

「しかしウイルス学者の間では、デルタ・プラスを危険視することに疑問の声も出ている。この変異株が、他の変異株に比べて感染力や重症化リスクが高いというデータは出ていないためだ。英王立協会のウイルス学者、ガダンディープ・カン博士は『22件の報告では、VOCへの指定を支持できるようなデータは出ていない』と説明する。米ルイジアナ州立大学のジェレミー・カミル博士も『世界的に共有されているデルタ・プラス166例の遺伝子データを見ても、元のデルタ株よりも危険だとする理由は見当たらない。デルタ・プラスは以前に新型コロナを発症した人、ワクチンによる免疫が低かったり不完全だったりした人たちの間で、少しだけ感染力が高いのかもしれない』と語る」
「デルタ・プラス」という新種インド型を報じるBBC放送電子版(6月23日付)
「デルタ・プラス」という新種インド型を報じるBBC放送電子版(6月23日付)

   いずれにしろ、BBC放送はカミル博士の次の言葉で結論付けている。

「私はしばらく静観する。インド政府は、デルタ株の時のように後から不意打ちを受けるよりも、現時点で過剰に反応したほうがよいと考えたのかもしれない。デルタ・プラスについて余計な心配はしていないが、注目しておくべきだと思う」

   しかし、少しのん気すぎないだろうか。一応、インド当局が正式に危険だと発表しているのだから。

(福田和郎)

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