2021年 8月 4日 (水)

【7月は応援! 五輪・パラリンピック】遠くのオリンピックより、近くのチームのほうが大切だ!

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   東京五輪・パラリンピックが2021年7月23日に開会式を迎える。新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期され、いまなお世界各地で猛威を振るっている中での開催に、さまざまな議論が巻き起こっているが、アスリートの活躍には応援の声を届けたい。そう思っている人は少なくないだろう。

   そんなことで、7月はオリンピックとスポーツにまつわる本を紹介しよう。

   近年、日本で開かれた大きなスポーツイベントで思い出されるのは、2019年に開催されたラグビーワールドカップだろう。東京などのほか、札幌、釜石(岩手県)、豊田(愛知県)、神戸、福岡、大分、熊本など地方でも試合が行われたため、日本全体が盛り上がった。 本書「『地元チーム』がある幸福」は、「遠くのオリンピックより、近くのチームの方が大切だ!」と主張する。スポーツの世界は、一極集中から地方展開の時代だ、というのだ。

「『地元チーム』がある幸福」(橘木俊詔著)集英社
  • 地方の大学が地域を活性化するかも……(写真はイメージ)
    地方の大学が地域を活性化するかも……(写真はイメージ)
  • 地方の大学が地域を活性化するかも……(写真はイメージ)

地方でも複数のプロスポーツチーム

   著者の橘木俊詔さんは京大教授などを経て、現在、京都女子大学客員教授(労働経済学)。著書の「格差社会」(岩波新書)で知られるが、「プロ野球の経済学」などスポーツ関連の著作もある。

   プロスポーツの振興が、地方の活性化に大いに貢献するという主張を検証すべく、プロ野球の地方移転の効果、地方大学野球部の躍進、Jリーグの地方分散、バスケットBリーグの地方展開などを取り上げている。

   巻頭に日本のプロスポーツチームの一覧が、日本地図上にプロットされている。たとえば、青森県にはヴァンラーレ八戸(サッカーJ3)、青森ワッツ(バスケットB2)、東北フリーブレイズ(アイスホッケーアジアリーグ)、と3つのプロスポーツチームがある。隣の秋田県にも秋田ノーザンハピネッツ(B1)、ブラウブリッツ秋田(J3)があるなど、複数のプロスポーツチームがある都道府県は珍しくない(カテゴリーは2019年8月時点)。野球しかプロスポーツチームがなかった時代を思うと隔世の感がある。

   本書で橘木さんは経済学者らしく、プロスポーツが地方にもたらす経済効果(ラグビーワールドカップ日本大会では4200億円)を中心に説明している。もちろん、経済効果はあるだろうが、プロスポーツチームの存在そのものが、地方のコミュニティーを支えている精神的な側面もあると思う。

   プロスポーツチームの地方分権が進む現状から紹介したが、本書の構成としては、第1章を「スポーツの中央集権」が生み出す功罪、に当てている。 そして、2020年東京オリンピックこそ「悪しき中央集権」の象徴、箱根駅伝競走の功罪、東京発スポーツメディアの功罪と筆を進めている。

   オリンピックに関する功罪を挙げた後、望ましい開催方式として、開催国の主催のもとに、国内の数多くの都市で競技を行うことを提案している。サッカーのワールドカップと同じ方式である。

   日本を例にすれば、陸上は東京、水泳は大阪、体操は札幌、というように各都市で行う。この方式には、開催都市の過重負担を緩和するというメリットがある。また、分散開催になれば、各都市で競技場、宿泊施設、交通網、道路の整備がなされるので、国家による補助金の使途が多くの都市に波及することになり、不公平を是正することができる。

   2002年のサッカーワールドカップの日韓共催大会、2019年のラグビーワールドカップの各地の盛り上がりを思い出すと、共感する人も多いだろう。

   もちろん国という単位ではなく、「都市」が開催するというオリンピックの理念に共鳴する人も多いだろう。しかし、今回の東京五輪大会を見ればわかるように、開催都市を裏で支えているのは、国なのだ。今回もマラソンは札幌、野球、ソフトボールの一部は福島というように、国内でかなり分散して開かれる。その結果が興味深い。

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