2022年 5月 25日 (水)

アプリが「ピン!」と鳴ったら自主隔離? ロックダウン解除の英国で60万人が「出社できない」まさかの事態(井津川倫子)

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   ロックダウンを解除したら、出社できない人が増えてしまった......。「コロナとの共生」を目指して新型コロナウイルス対策の大胆な規制解除に踏み切った英国が大混乱に陥っています。

   新規感染者が増え続けるなか、濃厚接触者と見なされた人たちが「自主隔離」のために職場に行けなくなってしまい、その数がなんと60万人に達したと報じられています。

   運転手不足で公共交通機関が止まったり、物流が停滞してスーパーの棚が空っぽになったり、ボリス・ジョンソン首相までが「濃厚接触者で自主隔離」になったりと、次々と報じられる予想外の展開にただ驚くばかり。「pingdemic」(ピンデミック)」という新語まで登場したこの現象。コロナ対策の難しさが浮き彫りになる一方で、英国っぽいおおらかさも感じます。

  • 英国は今、「pingdemic(ピンデミック)」の真っ只中!
    英国は今、「pingdemic(ピンデミック)」の真っ只中!
  • 英国は今、「pingdemic(ピンデミック)」の真っ只中!

新規感染者5万人超 「自主隔離者だらけ」

   それにしても世界中が注目をした英国の大胆なコロナ対策規制解除でしたが、社会的混乱という「副作用」が起きることを予想できなかったのでしょうか?

   ロックダウンの法的規制がほぼ解除された後、残った規制の一つが感染者と接触した人が「10日間、自主隔離する」というルールでした。

   デルタ株の影響で新規感染者が5万人を突破するなかで、専門家の反対を押し切ってまで規制解除を強行したボリス・ジョンソン首相でしたが、感染者が増えれば接触者が増えるのは当たり前。それでも、世の中が「自主隔離者だらけ」になって機能不全に陥るとまでは予想できなかったのでしょうか?

   英メディアはこぞって混乱の様子を伝えています。

Some supermarkets have faced staff shortages as workers are forced to self-isolate
(いくつかのスーパーマーケットが、スタッフの「自主隔離」のために人手不足に直面している:英紙フィナンシャル・タイムズ)

Train services across England are being cut due to staff self-isolating.
(英国中の鉄道が、スタッフの「自主隔離」のために運行本数を減らしている:THE PRESS)

More than 600,000 people in England and Wales were instructed to self-isolate by the coronavirus app
(イングランドとウエールズで、60万人以上がコロナアプリによって自主隔離を指示されている:イブニングスタンダード紙)

   自主隔離のために職場に行けなくなった人が続出して、食品の物流が停滞してスーパーの棚は空っぽ。中には、1週間前にオープンしたばかりのレストランが、シェフやスタッフの自主隔離のために「休業に追いやられた」というニュースもありました。ロックダウン解除を待って開店。味が評判を呼んで人気店になりかけていただけに「関係者のショックは大きい」と伝えています。

   この「10日間自主隔離」ルールは、8月半ばまで続けられる予定だそう。「自主隔離者は100万人に達するかもしれない(英メディア)」という報道もあり、英国社会の混乱はまだまだ続きそうです。

コロナ禍のニューワード「ピンデミック」って何?

   社会が大混乱に陥っているなか、新しい「コロナワード」が産まれました。「pingdemic」(ピンデミック)です。

UK 'pingdemic' spreads as record 600,000 people told to self-isolate
(60万人が自主隔離になり、英国で「ピンデミック」が広がっている:英フィナンシャル・タイムズ紙)

What is a "ping demic" ?
(「ピンデミック」って何だ?:英ネットメディア)

   接触者には、「コロナ追跡アプリ」による「感染者との接触通知」が届く仕組みになっているのですが、「ping」(ピンと鳴る)「pandemic」(パンデミック)という単語を組み合わせた「造語」だそうです。

   それにしても、アプリが「ピン!」と鳴ると「出社できない」というこのルール。人手不足に陥っている経営者たちは頭を抱えているようですが、当のビジネスパーソンたちはどうなのでしょうか......。報道を見る限り、「出社できなくて困った」という労働者側の声はあまり紹介されていないようです。

   確かに、おおらかな英国人のことですから、業務を心配して無理に出社をする人が多いとは思えません。ふだんから、商店や行政機関の窓口では、人手が足りない時は堂々と「スタッフ不足」という貼り紙をして窓口を閉めてしまう人たちです。

   今回の「pingdemic」(ピンデミック)も、「長めの夏休みだ!」と喜んでいる人が多いのではないかと、思わず推測してしまいました。

   それでは「今週のニュースな英語」は、「self-isolate」(自主隔離)を使った表現を紹介します。

He was tested positive and self-isolated in the hotel.
(彼は陽性になり、ホテルで自主隔離中だ)

Some athletes disobeyed self-isolation rules
(何人か選手が自主隔離ルールに従わなかった)

Double jabbed in Wales won't have to self-isolate (ワクチンを2回接種したウエールズの住民は、自主隔離しなくてよい)

   「ピンデミック」は、接触通知アプリが広く国民に浸透している英国ならではの現象でしょう。接触通知アプリもシステムも整っていないうえに、無理をしても出社しようというマインドが働きがちな我が国。「コロナとの共生」は英国以上に難しそうです。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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