2021年 9月 17日 (金)

ニチレイ株が年初来安値、コロナ禍でタイ工場の稼働率低下を嫌気 現地はワクチン接種に遅れ

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   冷凍食品大手、ニチレイの株価が2021年8月4日、6日と年初来安値を更新。連休明けの10日も続落して一時2575円まで下落した。終値は2580円だった。足元の業績に不安材料があるためで、好材料も見えない状況だ。

   ニチレイは3日に2021年4~6月期連結決算を発表したが、営業利益が前年同期実績と市場予想平均をともに下回ったことで、売りが殺到した。コロナ禍でタイ工場の稼働率が低下していることや材料費が高騰していることが営業減益の要因。欧米などに比べ東南アジアはワクチン接種が進んでいないうえ、その少ない接種において猛威をふるうインド型(デルタ型)への効果が必ずしも明確でない中国製ワクチンを多く用いている。

   タイでは足元でトヨタ自動車の完成車工場が停止するといった影響も出ており、日本企業にとってコロナ禍による東南アジアの生産停滞を軽視できない状況となっている。

  • 冷凍食品大手のニチレイ株が安い(写真はイメージ)
    冷凍食品大手のニチレイ株が安い(写真はイメージ)
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外食需要の減少を「巣ごもり需要」で補おうとしたが......

   まず、決算内容を詳しく確認しておこう。売上高は前年同期比4.1%増の1436億円、営業利益は10.3%減の70億円、最終利益は18.6%減の43億円だった。

   売上高は主力の加工食品事業や低温物流事業が伸びたことで全体を押し上げた。しかし、営業利益はタイの工場でコロナ禍による労働力不足から稼働率が低下したことに加え、原材料コストの上昇、広告宣伝費の増加もあって減益となり、発表前の市場予想平均(81.8億円)を1割以上下回った。SMBC日興証券は4日配信のリポートで「印象はネガティブ」と記した。

   決算発表を受け、ニチレイの4日の株価は一時、前日終値比389円(13.0%)安の2610円まで下落し、年初来安値を更新した。野村証券は4日配信のリポートで、

「タイには2つの子会社があり、多くのカンボジア人を雇う1社で入国制限により人手不足に陥っているようだ」
「原材料では鶏肉や鶏卵、油脂などのコスト高が影響している」

と指摘した。

   冷凍食品メーカーが「巣ごもり需要」の恩恵を受けるのは確かだが、半面、外食需要の減少の影響も受ける。ニチレイの2021年3月期は売上高が前期比2.1%減、営業利益が6.2%増という結果となった。外食需要の減少を、家庭用需要の増加で何とか補おうとした結果が売上高に出ている。

   ニチレイの場合、「低温物流」という加工食品に並ぶ売上高があり、かつ利益率の高い事業が好調で、2021年3月期は営業利益が伸びた。しかし2021年4~6月期の結果を見ると、低温物流の利益底上げにも限界があるようだ。

   ニチレイはタイ工場の生産停滞を2022年3月期の期初に想定していなかった模様だ。タイなど東南アジア各国はワクチン接種が進まなければ、当面は人々の行動制限で感染を抑えるよりほかない。その結果、日系工場の生産停滞が長引く恐れがあおり、株式市場のニチレイを見る目も、当面は厳しさが続きそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)

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