2024年 4月 25日 (木)

「2億6000万円が当たった!」「90歳代お爺ちゃんに5Gスマホ」売りつけ シニア狙う悪徳商法の手口

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   「2億6000万円が当選しました!」と喜ばせて、振込先などの個人情報を伝えさせる。ガラケー通話だけの90歳代のお爺ちゃんに、5Gの最先端スマートフォンを売りつける......。

   こんな詐欺まがいの商法に60歳代以上のシニア層が年間34万件も被害に遭っていることがわかり、2021年9月2日、国民生活センターが警鐘を鳴らした。

   「自分は大丈夫だと思わないでほしい。周囲による見守りも大切。少しでも不安を感じたら相談を」と、同センターは呼びかけている。

  • ガラケーしか使ったことがないお爺ちゃんに5Gのスマホを売りつけるとは……(写真はイメージ)
    ガラケーしか使ったことがないお爺ちゃんに5Gのスマホを売りつけるとは……(写真はイメージ)
  • ガラケーしか使ったことがないお爺ちゃんに5Gのスマホを売りつけるとは……(写真はイメージ)

「お試し」健康食品のつもりが、高額の請求が来て...

   国民生活センターによると、シニア層の間でもインターネットやスマホが普及していることを反映して、通信販売をめぐるトラブルの相談件数が過去最多の約11万件に達した。コロナ禍で接触を避け、在宅で過ごすことが増えたことも背景にあるとみられる。

   たとえば、こんな事例が多い。

【事例1】(当選詐欺)「2億6000万円が当たった」というので喜んで個人情報を伝えてしまった
「2週間前に外国の事業者からSMSが届き、URLをクリックすると「2億6000万円当選しました」とあった。事業者名を調べたら実在する会社のようだったので、お金を受け取るために必要だと指定された電子マネー2000円分を購入し、その番号を伝えた。その後、何度か同様の方法を繰り返し、合計約10万円支払った。
『もう送金するお金も用意されている』との英文の証明書も受け取っている。名前、住所、銀行口座、パスポート番号などの個人情報も伝えた。海外送金をする最後の手続きとして、5万円分の電子マネーの番号を要求されている。詐欺だろうか」(2020年7月、80歳代男性)

   ありもしない話でだましたり、注文した覚えもないのに支払いを要求したりする「架空請求詐欺」は2年前から大幅に減ってきたが、それでも昨年度も約1万6000件もの相談があった。

   今後も新たな手口が登場する可能性があるので、身に覚えのない「うまい話」には慌てて連絡を取らないこと。

【事例2】(ネット通販の定期購入トラブル)定期購入のサプリを解約したいが、無料メッセージアプリの手続きがうまくいかない
「半年以上前、スマートフォンのインターネット広告からダイエットサプリメントを申し込んだ。初回は500円ぐらいだったが、その後数か月分が一度に届き、2万円を超える請求を受けた。クレジットカード決済を選択していたので、そのまま購入することになってしまい、その後退会手続きをしようとしても電話がつながらずできなかった。先週、また5か月分が一度に届き、約2万5000 円がクレジットカードで引き落とされる予定だ。今度こそ解約をするため販売事業者に電話をかけたところ、ガイダンスが流れ、説明どおりに操作をするとSN Sでメッセージが届いた。無料メッセージアプリから解約手続きを行うようなのだが、操作がうまくできない」(2020年12月、70歳代女性)

   「架空請求詐欺」が減った代わりに増えているトラブルが、インターネット通販で健康食品などの定期購入に関する相談だ。ネット通販では「お試し」のつもりで申し込んだら定期購入だったというトラブルが非常に多い。

   スマホを利用した場合、文字が小さいなど高齢者にとって読みづらい表記になっている場合が多い。契約の際は、購入条件や解約ルールをきちんと確認してから申し込もう。

一人暮らしの認知症女性に「安くなる」とだまして...

詐欺師にひっかかってはダメ!(写真はイメージ)
詐欺師にひっかかってはダメ!(写真はイメージ)

【事例3】(携帯ショップの勧誘)ガラケーしか使っていなかった90歳代の曽祖父が5Gの最新型スマホを契約させられた
「90歳代の曽祖父は、音声通話のみのフィーチャーフォン(編集部注・いわゆるガラケー)を利用していたが、電池の調子が悪く、一人で携帯電話ショップに相談に行くと、詳細は不明だが、5Gの最新型スマホの契約をさせられていたとわかった。
この地域ではまだ5G回線は使えないし、そもそも曽祖父がインターネットに接続して利用することもない。スマホの機種代金は一括払いしてきたようだが、領収書もなく、契約書をみても詳細はよくわからない。本人は多少判断力に難があるが、認知症の診断は受けていない」(2020年11月、契約当事者は90歳代男性)

【事例4】(訪問販売詐欺)認知症の女性が、固定電話をアナログ回線に戻すと料金が安くなると言われて応じてしまった
「隣家に住む義姉が何かの書類を持って来て、『今、家に業者が来て、固定電話を以前のアナログ回線に戻すと、月額料金が安くなると言うので契約して帰らせたが、本当に安くなるのか』と言う。義姉は認知症を患っており、いろいろなことがわからなくなっている。
義姉は一人暮らしのため、インターネット回線は不要なので、アナログ回線に戻してもよいのかもしれないが、見せられた書面には、いったい月いくら安くなるのか、具体的な料金の記載はまったくない。しかも、6カ月以内の解約には1万円以上の高額な違約金を請求すると書いてある。義姉も、『訳のわからない契約をしてしまった』と不安がっているので申し込みを取り消したい」(2020年9月、契約当事者80歳代女性)

   自宅の屋根や床下などを点検すると言って訪問し、次々と高額のリフォーム工事などを契約させられるなどの「訪問販売詐欺」が後を絶たない。特に高齢者の一人暮らしは狙われやすい。自宅を訪問する販売方法などは、特定商取引法で規制されており、「クーリング・オフ」(いったん契約の申し込みや契約の締結をした場合でも契約を再考できるようにし、一定の期間であれば無条件で契約を解除できる制度)で消費者が保護されている。最寄りの消費生活センターに相談しよう。

【事例5】(訪問販売詐欺)母がトイレの水漏れ修理を業者に依頼すると、その日のうちに高額な便器の交換工事をしてしまった
「築20年を超える実家のトイレは、常にタンクから水が少量流れ出ており、母は修理したいと考え、役所のホームページから指定水道業者を探したようだ。母の話では、水漏れを止めるだけのつもりで、『トイレの水漏れを見てほしい』と電話で依頼した。しかし訪問した業者から『便器は10年ほどで交換するものだ。便器一式の交換が必要』と、黒く汚れたタンクの中を見せながら言われ、工事費を含む代金は約130万円だが、今日なら20万円引きでいいと説明され、現金で約100万円を支払い、便器の交換工事もその日に終えた。
別の水道工事業者に聞くと、水漏れを止める作業は1万円程度でできるらしく、交換された便器の型番を調べると、すでに生産が終了しており、説明書も保証書もない。後で業者名を調べたところ、自治体の指定水道業者ではなかった。だまされたと思うので返金してほしい」(2020年4月、契約当事者70歳代 女性)

「補助金と保険金が400万円出る」と屋根の工事をしたが...

健康食品を飲むシニア男性。通販のトラブルが増えている(写真はイメージ)
健康食品を飲むシニア男性。通販のトラブルが増えている(写真はイメージ)

【事例6】(訪問販売詐欺)補助金と保険金が受給できると勧誘され屋根工事の契約をしたがウソだった
1年前、屋根修理のためインターネットで検索した工事業者に依頼した。今年になって、 工事業者が予告なく1年保証の点検に訪れ、『新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国から工事の補助金が出る。また損害保険も受給できるので、補助金と保険金で300万円がもらえる』と言い、約250万円の工事代金を支払っても数十万円が浮く、と屋根を瓦から板金に替える工事を勧めてきた。
父が承諾し、代金を現金で前払いした。契約書面は受け取っていない。足場が組まれ屋根瓦を降ろす作業までいったところで、工事業者から『300万円ではなく400万円戻ることがわかった』と、さらに高額な工事を勧められ、父はそれにも承諾し、400万円が戻ってくるつもりで差額を支払った。しかしその後、工事業者は催促しても作業をしなくなり、また補助金の話も嘘だとわかった。返金を求めたい」(2020年8月、60歳代男性)

【事例7】(送り付け商法)海外から注文した覚えのないマスクが届いた
「昨日、自宅のポストにビニール包装の荷物が届いていた。開封したらマスク20 枚が入っていた。送り主は読めない漢字で書かれており、電話番号は国内の番号が書いてある。私の住所や名前はローマ字で書かれている。私はインターネット通販を利用しないし、一人暮らしなので他に注文する人もいない。請求書は入っていないが処分してもいいのだろうか」(2020年5月、60歳代男性)

   特定商取引法が改正され、2021年7月6日以降に注文していないのに一方的に送り付けられた商品は、直ちに処分できることが可能になった。金銭の支払いを請求されても、支払う義務はまったくないので安心して処分しよう。

【事例8】(市場連動型の電気料金トラブル)市場価格連動型の小売電気を契約後、市場価格が高騰し電気代が10 倍に
「去年インターネットを見ていたら、『電気代の見直しをしませんか』という広告が出た。小売電気事業者の比較サイトだった。その中から、市場価格連動型の小売電気事業者を選んで契約した。去年4月に乗り換えてから、夏場は以前よりもかなり安くなったので喜んでいたが、今年の冬は市場価格が高騰し、1KW(キロワット)当たり20円代だったものが、現在は200円を超えている。このままだとどこまで値上がりするかわからないので、解約しようと思い事業者に電話したが、ずっと話し中でつながらない」(2021年1月、70歳代男性)

   新しい電力会社が次々にできて、特に市場連動型料金プランのトラブルが増えている。卸電力市場価格が高騰すると、電気料金が高額になる可能性もあるため、本当に新プランが必要かどうか、よく理解したうえで契約しよう。

図表:高齢者の消費トラブルを防ぐための「見守りチェックリスト」(国民生活センター作成)
図表:高齢者の消費トラブルを防ぐための「見守りチェックリスト」(国民生活センター作成)

   国民生活センターでは、こう呼びかけている。

「お年寄りの消費者トラブルを防ぐには、家族や周囲の人による見守りも非常に大切です。特に一人暮らしの場合は、定期的に連絡を取ったり、訪問したりすることでトラブルの予防につながります。その際の家の中の様子や、本人の変わった点を注意する内容がこれです」

として、見守りチェックリストを公開した=上図参照

(福田和郎)

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