2024年 3月 29日 (金)

人材は掃いて捨てるほどいない! 大学の変化がもたらしたものとは?

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   さくっとしたタイトルだ。実際、評者の息子2人も就職から数年で転職しているし、理由を聞いたこともないが、親の世代に比べて、会社を辞めることのハードルはずっと低いようだ。

   本書「なぜ若者は理由もなく会社を辞められるのか?」は、かつて旧労働省に入った官僚が、大学教授となり、このままでは、「日本企業は若者に見捨てられる!」と、企業へ警鐘を発した本である。

「なぜ若者は理由もなく会社を辞められるのか?」(中野雅至著)扶桑社
  • 大企業は「人材は掃いて捨てるほどいる」という感覚が抜けきれない
    大企業は「人材は掃いて捨てるほどいる」という感覚が抜けきれない
  • 大企業は「人材は掃いて捨てるほどいる」という感覚が抜けきれない

若者が企業に復讐するXデーが近づいている

   著者の中野雅至さんの名前には記憶があった。厚生労働省を辞めたばかりの頃に書いた本のタイトルに憶えがあったからだ。何だかんだと言って、日本は出版大国。しかるべきキャリアの人はだいたい本を出している。

   「はじめに」で中野さんは、こう書いている。「個人的な話から始めます。大学教員に転職してからすでに18年目に突入しました。それまでは厚生労働省で14年間働いていました。今さら辞めた理由を振り返っても仕方ないのですが、今の若者なら「人生の墓場」「拘牢省」と揶揄される厚労省をあっさりと辞めてしまうだろうなと思います」

   中央官庁はともかく、大手の企業でも人材確保には苦労しているようだ。その理由を、こう説明している。

「企業が時代に追いついていないからです。やる気がない、ぬるま湯だと馬鹿にしていた教育業界は少子化への対応に必死だった。その教育機関で育った若者は、企業はどうも違うと違和感を持っている。それに気付くのが遅れたのです」

   大企業は、「人材は掃いて捨てるほどいる」という感覚が抜けきれない。こんな思い込みを持ったまま、教育現場が変わったことに気がついていない。中野さんは本書を書いた意図をこう書いている。

「若者が企業に復讐するXデーが近づいているからです」

   高飛車な態度を改善して、若者の動向をきちんと把握しないと、人材を確保できませんよ、と。コロナで激変した労働環境をおさらいすることから始めている。

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