2024年 4月 24日 (水)

人材は掃いて捨てるほどいない! 大学の変化がもたらしたものとは?

成長できるかどうかが大事

   最後に出てくるのが「成長」というマジックワードだ。就職先を決めるに際して若者が最も重視するのが、「成長できるかどうか」ということだそうだ。だが、中野さんはあまり信用していない。彼らには就職氷河期の残像と、AIと外国人に職を食われる恐怖があるのでは、と見ている。「意識高い系」でなくても、意識は高い現代の若者、という表現に笑ってしまった。

   途中まで読んで感じた違和感。それはどうも今の大学は中高年が行った頃の大学とは違う存在になっているということだ。「今の若い奴は......勉強しない、挨拶できない、新聞や本を読まないと批判していたのが、今の大学の厳しさや学生の勉強熱心さ、貧困と隣り合わせで授業料を払っている姿を知ると、甘いのは自分達中高年ではないのか、そんな感想を漏らす人は意外と多いのです」と書いている。

   大学倒産時代に備えて普通の大学ができることは「教育」しかないという。レジャーランドから、毎日、宿題を出す教育機関に大学は激変したのだ。

   中高年が学生だった頃、企業は大学教育には何も期待していなかった。大学もそれにあぐらをかいていた。学生もいかに勉強せずに要領よく単位を取るかを競い合った。どうも大学を巡る状況が一変したことに気がついていない人が多いようだ。

   最後まで読んで思ったのは、大学が変わり、学生も変わったから、就職についての考え方も変わったということだ。変わらなかったのは企業ばかり。旧態依然の対応では、しかるべき学生も採用できず、すぐに辞められてしまうだろう。大学も若者も変わった、と認識することから始めるしかない。

(渡辺淳悦)

「なぜ若者は理由もなく会社を辞められるのか?」
中野雅至著
扶桑社
968円(税込)

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