2024年 4月 16日 (火)

故人の思いを乗せて、宇宙へ――。ベンチャー企業SPACE NTKが手がける日本初の宇宙葬

「日本では私のやりたいことはできない」と渡米

   ――打ち上げはどのように?

   葛西さん「SPACE NTKでは、宇宙開発企業スペースX社(米国カリフォルニア州)のロケット『ファルコン9』を利用して打ち上げを予定しています。日本人宇宙飛行士の野口聡一さんの宇宙飛行でも使われたロケットなので、知っている方も多いかもしれません」

   ――提携先探しは、どのように進めたのでしょう。

葛西さん「宇宙葬の会社を立ち上げようといろいろ調べる中で、日本では私のやりたいことは実現できないとわかりました。宇宙葬をするには、アメリカのロケットを使うしかない。なのでまずは、情報収集や人脈づくりのためにアメリカを訪れました。2017年の初夏のことです」
「宇宙葬」実現のため、米国のスペースX社を訪ねた(写真は、SPACE NTKの葛西智子社長)
「宇宙葬」実現のため、米国のスペースX社を訪ねた(写真は、SPACE NTKの葛西智子社長)

   ――スペースX社以外にも提携先の候補があったのですか?

葛西さん「宇宙開発企業を回ったり国際宇宙開発会議に参加したりして、どこのロケット会社なら宇宙散骨ができるのかを調査し、コンタクトをとりました。中には技術の問題や宗教的な理由でお断りされた会社もあります。
その過程でスペースX社に日本人の社員がいると知りました。その方を通じてCEOのイーロン・マスク氏に相談を持ちかけ、契約を結ぶことができました」

   ――さまざまな宇宙開発企業があるなか、スペースX社を提携先に選んだ決め手はなんだったのでしょうか。

葛西さん「従来の方法では小指の先ほどの量の遺骨しか打ち上げられなかったのですが、スペースX社の技術なら50センチ四方の大きな人工衛星を打ち上げることができる、つまり一人分のご遺骨を乗せられるんです。また、人工衛星はロケットに搭載したまま地球を周回するため常にスペースX社の監視下にあり、宇宙ごみにならないというのもポイントでした」

   ――来春に初めての打ち上げを控えているそうですね。

葛西さん「第1回の打ち上げは、2022年の4月1日を予定しています。今回はペットを含む9人分のご遺骨、それから『MAGOKORO Xプロジェクト』で集めたメッセージカードをお預かりしていて、12月に私がアメリカへ行ってスペースX社に直接お渡しする予定です」
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