2022年 5月 24日 (火)

「3%の賃上げ」できるの? 岸田政権の官製春闘に屈した経団連に期待してもダメ! エコノミストが分析(2)

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「来年の春闘では3%の賃上げを!」

   岸田文雄政権の要請を受けた日本経済団体連合会(経団連)が、「わかりました。総理の『新しい資本主義』のために尽力いたしましょう」とばかりに、賃上げに前向きの方針を打ち出したことがわかった。

   本当にそんな賃上げが実現するのだろうか――。「期待しないほうがいい」と、エコノミストたちが冷ややかな理由は?

  • 本当に賃金が上がるのか?(写真はイメージ)
    本当に賃金が上がるのか?(写真はイメージ)
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アベノミクスで失敗した愚策を繰り返す岸田政権

   経済界首脳から疑問の声が出た「官製春闘」について、エコノミストたちからは手厳しい批判が上がっている。

   「8年間のアベノミクスでも成功しなかった愚策をなぜ繰り返すのか」と糾弾するのは、野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト木内登英氏だ。「蘇る官製春闘:なぜ同じ政策を繰り返すのか」(11月26日付)で、こう述べた。

「安倍政権も賃上げを促す政策をかなり強硬に進めた。しかし、期待した結果を得られなかった。その手法はまさに『アメとムチ』であった。本来、労使の協議の場である春闘に政府が介入し、企業側に高い賃上げを求めた上で、賃上げに後ろ向きの企業名を公表する、といわば脅しをかけた時もあった。これが『ムチ』の政策だ。
他方で、2013年には現在も続く『賃上げ税制』を導入し、一定水準以上の賃上げを実施した企業に、法人税額控除を適用した。これは『アメ』の政策である。安倍政権は3%の賃上げ目標を掲げたが、実際には2015年のプラス2.4%程度が最高水準であり、3%に届くことはなかった」

   さらに、この賃上げ率には定期昇給分が含まれており、基本給の引き上げ率であるベースアップ率はピークでもプラス0.4%台半ばにとどまり、昨年(2020年)には、ほぼゼロまで低下した。その安倍政権下でもうまくいかなかった賃上げ政策を繰り返しても成功しない理由を、木内氏はこう説明する。

「そもそもベースアップ率、平均賃金上昇率がゼロに近い水準であることは、日本経済の現在の状況に照らせば当然のことである。潜在成長率がゼロに近い低水準であるもとで、それに大きく影響を受ける物価上昇率のトレンドもゼロ近傍である。他方、労働生産性上昇率もゼロ近傍あるいは小幅マイナスであることから、それによって決まる実質賃金上昇率もゼロ近傍となる。以上より、名目賃金上昇率はゼロ近傍が自然な姿となるのである」

   現状では、悲しいかな、賃金上昇率ゼロが日本経済の実態だというわけだ。ではどうすればよいのか。木内氏はこう提案する。

「政府が本来目指すべきなのは、企業が自ら賃金を引き上げ、労働者を確保していくことを促す経済環境を作り出すことだ。そのためには、労働生産性上昇率、潜在成長率を高める、あるいはその期待を高める政策を進めることが重要である。それこそが成長戦略、構造改革だ。
政府は成長戦略を打ち出してはいるが、出生率の引き上げなどの人口対策、インバウンド戦略の再構築などはもっと強く打ち出して欲しいところだ。また、東京一極集中の是正は、経済効率性の向上に繋がる重要な構造改革である一方、それは出生率の上昇にも繋がる成長戦略でもある」

   そして、こう結んでいる。

「企業は中長期の観点から経営、賃金政策を考えるため、成長期待が高まらないと思い切った賃上げには踏み切らない。労働生産性上昇、潜在成長率が高まらないなかで、企業に賃上げを強いることが仮にできるとしても、それは企業の収益見通しを悪化させ、設備投資を抑制させるだろう。結局、賃金に下落圧力となってしまう。
直接、企業の賃金の上昇を促すのではなく、成長戦略、構造改革を進めることこそが回り道のようで、実際には賃金上昇の近道となる。成果を急ぐために現政権は『賃上げ税制』の強化と春闘への働きかけを行おうとしているが、それは弊害が大きいだろう」
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