2024年 4月 27日 (土)

「電波オークション」で携帯電話料金は安くなる? 「賛成」に豹変したドコモVS「大反対」楽天の対決

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   久々の国産スマホ「バルミューダフォン」、ガラケーの終焉......と話題が尽きない携帯電話業界だが、その陰で大きな流れが起こっている。

   携帯電話の電波(周波数)オークション導入の動きだ。これまで周波数の割り当ては総務省が行ってきたが、競争入札に切り替え、最高価格を提示した業者に与えるという。

   OECD(経済開発協力機構)諸国では日本以外はすべて導入している。どうして今まで導入しなかったのか。これで携帯電話料金はさらに安くなるのか?

  • 5Gの普及で携帯電話の電波はどうなる(写真はイメージ)
    5Gの普及で携帯電話の電波はどうなる(写真はイメージ)
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電波の割り当ては総務省の「美人投票」だった

   「美人コンテスト」――。「比較審査方式」と呼ばれる日本の携帯電話の電波(周波数)割り当て制度はそう揶揄されてきた。いったい、どういうことか――。

   希望する周波数を割り当てられるためには、携帯電話業者は基地局の整備計画などを事前に提出し、提供できるサービス内容の審査を受けなければならない。その際、「エリア展開は〇点」「MVNO(格安スマホ)促進は〇点」......といくつかの項目で獲得した点数の合計点で周波数獲得業者が決まる。まるで、スポーツの新体操やフィギュアスケートの「芸術点」を思わせるような審査のやり方だ。

   そのため、大手携帯電話会社のあいだでは総務省が主導する審査への疑念がくすぶり続けてきた。業界内で「楽天モバイルの新規参入を促進させるために露骨すぎる審査だった」と話題になったのは、2020年に割り当てられた東名阪以外の1.7GHz帯だ。NTTドコモのほかKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社が申請したが、結果として周波数を獲得したのは楽天モバイルだった。

   携帯電話専門メディアのITmedia Mobile(11月27日付)「ドコモが『電波オークション』賛成に転じた理由 楽天モバイルをけん制する意図も?」は、この結果について、こう指摘している。

「審査結果を見ると、エリア展開についてはNTTドコモが最高得点を獲得している一方で、MVNO促進は4点とソフトバンクの6点や楽天モバイルの8点より低い。ドコモ回線を借りるMVNOは非常に多く、少々不可解な結果にも見える」

   今回、このケースをドコモは総務省の有識者会議に「多様なサービスの一部を切り取った評価への懸念」を与える事例だとして、資料提出をした。「だから公平なオークションを行わなければならない」というわけだ。

   総務省の恣意的な意図のもとに周波数の割り当てが行われてきた疑いが濃いことは、MAG2NEWS(11月30日付)「電波オークション、ドコモは『肯定』も楽天・三木谷社長が『大反対』のワケ」の中で、スマートフォンジャーナリストの石川温(いしかわ・つつむ)氏が、こう指摘する。

「総務省による、周波数割り当ての審査がキチンと機能してきたことはあまりないというのが実態だ。2005年には新規参入組に割り当てたら、ソフトバンクは新規割り当ての電波をあきらめ、ボーダフォンを買収してしまうし、アイピーモバイルは計画を遂行できずに断念。残ったイー・モバイルも最終的にソフトバンクに買収されるという、総務省の大愚策ともいえる周波数割り当てもあった」

   しかし、どの携帯電話大手は電波オークションに関しては「反対」の立場だった。入札競争をするとカネがかかりすぎるからだった。石川氏はこう続ける。

「周波数割り当ての過去を振り返ってみれば、その時々に合わせて、『このタイミングだと、このキャリアに割り当てるのがよさげだな』とか『前回はあそこが有利に割り当てられたから、今度はこっちかな』といった雰囲気が漂っていたのは事実だろう。キャリア側も『今回、割り当てられる周波数帯はおいしくないので、計画を低めに出しておくか』なんてこともあったのではないか。周波数割り当てがあるからこそ、総務省とキャリアのナアナアな蜜月な関係も続いていくわけで、キャリアを支配下においておきたい総務省としても本当はオークションを導入したくはないのではないか」
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