2022年 1月 23日 (日)

「失敗は成功のもと」と言うが、世界的企業の失敗の数々

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   NHKの異色の経済番組「神田伯山のこれがわが社の黒歴史」の第2回が、先月(2021年11月)末に放送された。総合楽器メーカー、ヤマハの半導体製造にかかわる過去の失敗を取り上げていた。あまり知られたくない自社の「黒歴史」の取材に協力した同社の度量の大きさに感心した。

   本書「世界失敗製品図鑑」は、世界的な規模で事業や製品・サービスの失敗を取り上げた本である。公開情報をもとに遠慮なく切り込んでいる。

   しかし、「失敗は必ずしも避けるべきではない」という前向きの姿勢で書かれているので、読んでいて気持ちがいい。有名な大企業にも失敗があったことを知ると、たいがいの失敗は許されるような気持ちになるかもしれない。

「世界失敗製品図鑑」(荒木博行著)日経BP
  • なぜ…… どうして…… 世界的企業も失敗を繰り返していた(写真はイメージ)
    なぜ…… どうして…… 世界的企業も失敗を繰り返していた(写真はイメージ)
  • なぜ…… どうして…… 世界的企業も失敗を繰り返していた(写真はイメージ)

GAFAMだって失敗した

   アップル、グーグル、トヨタ自動車などグローバル企業の「失敗」20例を取り上げている。著者の荒木博行さんは、株式会社学びデザイン代表取締役社長。住友商事、グロービスを経て、同社を設立。「世界『倒産』図鑑」などの著書がある。

   そう言えば、こんな製品やサービスがあったなあ、という感慨を持つ人も多いだろう。いつま間にか消えてしまったが、「なるほど、こういうことだったのか」と失敗の原因を納得するに違いない。

   失敗から「ユーザー視点」「競争ルール」「社内不全」「大きな力学」を、それぞれ学ぶという4つのパートからなる。

   今をときめく「GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック=現メタ、アップル、マイクロソフト」の失敗例も登場する。グーグルが2011年に立ち上げたグーグルプラスと名付けたSNSは、フェイスブックに対抗するものとして一時、存在感を高めたが、グーグルプラスのアカウントがないと、Gmailが使えないようにするなどの施策がユーザーの反発を買い、伸び悩んだ。

   2018年に個人情報の管理体制が問題になり、19年に閉鎖された。荒木さんは「グーグルにとってはSNSサービスを始める必然性があり、明確な意図があった。その意図が強かったこそ、失敗したという皮肉なストーリー」と書いている。フェイスブックから乗り換えてまでグーグルに貢献する必要もない、とユーザーは冷めた目で見ていたのだ。

   アマゾンも17年にスマートフォン「ファイアフォン」を発売した。カメラでDVDや書籍の表紙を撮影することで購入できるため、「電話もできる携帯レジ端末」と表現された。しかし、ほとんど話題にならず、わずか1年で撤退した。買い物機能はスマートフォンの多くの機能のうちの一部分でしかなく、ユーザーにとって重要な機能ではなかったのだ。「自社視点で描く未来」に偏りすぎた失敗だった、としている。

   マイクロソフトのウィンドウズフォンは「初期段階の出遅れを挽回できず失敗」、任天堂のWiiUは、「理想を追求しすぎて仲間を作れず失敗」、NTTドコモのNOTTVは、「成功体験にとらわれて失敗」、セガ・エンタープライゼスのドリームキャストは「構想に対する実行力が伴わず失敗」と、いずれも「競争ルール」に失敗したからだと総括している。

   だが、任天堂はWiiUの失敗を経験したことにより、ソフトを開発するサードパーティーとのバランスを取るようにするなど、プラットフォーマーとしての立ち位置を修正。決して無駄な失敗ではなかった、と荒木さんは見ている。

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