2024年 4月 20日 (土)

クーポン券支給を10万円全額現金に 岸田首相の豹変に呆れるエコノミスト!

野党議員にもすり寄る「抱きつき作戦」

   この豹変ぶりには、クーポン問題の追及に的を絞っていた野党は慌てた。立憲民主党の小川淳也政調会長がやや歯切れ悪く岸田首相を、こう追及した。

小川淳也氏「各自治体は12月議会に関連予算案をもう出したか、これから出そうかとしています。今になって突如(全額現金がOKだと)言われても対応できるところはほとんどありませんよ」
岸田首相「野党の皆さんの声もしっかり受け止め、より良い制度設計を行った結果だ。いろいろ不都合はあると思うが、自治体と意思疎通を図りたい」

と、野党にすり寄るありさま。

   抱きつかれた形の小川淳也氏は、それ以上追及できなかった。

   そもそも、なぜ岸田政権は10万円相当の給付問題で迷走を重ねたのか。18歳未満の現金10万円の給付は、もともと先の衆院選で公明党が掲げた公約だ。一方、自民党は対象を生活困窮者らに絞った給付を主張し、両党の支援策には当初から溝があった。

   与党内の対立が長引くと、スタート直後の岸田政権のイメージ悪化が悪化する。クーポン券は貯蓄に回ることを回避できるうえ、地域経済の活性化にもつながるとして、財務省が出したアイデアといわれる。これに自民党が飛びついたというのだ。

   読売新聞(12月14日付)「10万円『年内一括』容認 自治体の猛反発誤算」が、こう伝える。

「今回の混乱は、自民、公明の与党協議でスピード決着を重視し、クーポン支給などの制度設計の詳細を後回しにしたことが一因との見方がある。自公の幹事長は3日間で結論をまとめた。クーポン支給は財務省の発案とされ、バラマキ批判を気にする自民党側の意向で制度に盛り込まれた。
昨年(2020年)の全国民への現金10万円給付が、結果的に貯蓄に回り、消費拡大につながらなかったと批判されたことも意識していた」

   しかし、予想外に自治体の猛反発を買い、「全額現金給付」の大合唱を招いてしまった。それは、例外的にクーポン配布の代わりに「現金も認める」という一文があったためだ。

   読売新聞がこう続ける。

「11月19日に政府が閣議決定した経済対策では、クーポン配布には例外として『現金給付も可能』との一文が添えられた。これは、クーポンを使える商業施設が少ない過疎地域など、ごく一部の自治体を念頭に置いた内容だった。
しかし、政府が例外の条件を明確にしなかったこともあり、大阪市など大規模な自治体でもこの一文を根拠として、全額給付を求めた。自民党内からは、『配慮が逆にあだになった』(福田達夫総務会長)と悔やむ声もでた」

   岸田政権の豹変について、政府内でも「政策の理念はどこに行ったのだ!」という批判が上がっている。

   朝日新聞(12月14日付)「全額現金、目的『骨抜き』 火種排除かじ切った首相」が、官僚たちの嘆きをこう伝える。

「多くの自治体が全額現金での給付を選ぶとみられ、本来目指していた政策目的は失われる。官邸幹部は『クーポンは地元の経済効果という政策目的があったが、そこはなくなる。でももう仕方ない』。給付を担当する官僚の一人はこう漏らす。『そもそも自民党と公明党で協議して制度を決めたもの。これ以上の動きはないと思っていたのにハシゴを外された』」
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