2024年 4月 19日 (金)

医療業界のDX化で見えた「これからの薬局」の姿 アフターコロナ時代をイントロン 増子治樹社長が語る

薬局は「モノ」から「人」へ

――これからの薬局の役割を教えてください。

増子社長「国・厚生労働省は2015年に『患者のための薬局ビジョン』を制定しています。薬局は『モノからヒトへ』、人をケアすることを目指して、コミュニケーションを通じて健康管理を促すということを、国は薬局に期待しています。さらに薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律。旧薬事法)も2019年に改正され、薬剤師は薬を渡すだけでなく、その後の体調変化の有無や飲み忘れの防止等の服薬中のフォローをする内容が盛り込まれました。
ただ現状では、薬局でそれが実施できているかというと、できていません。なぜなら、従来、受身で待っているだけだった薬局が、急に能動的に変わろうとしても動けないのが現実です。
そこで私たちは、国による『電子処方箋管理サービス』の運用開始を視野に入れて、患者さまのフォローを進めるシステムを開発し、患者さまが薬をきちんと飲めているか、体調変化の有無、薬がなくなる前の受診勧奨などを定期的に配信するサービスを始めました。これにより患者さまへのケアをしやすくしたのです」
「患者さまが薬をきちんと飲めているか」イントロンは、定期的に情報を配信するサービスを開始した(写真は、増子社長)
「患者さまが薬をきちんと飲めているか」イントロンは、定期的に情報を配信するサービスを開始した(写真は、増子社長)

――国による「電子処方箋管理サービス」とは、どのようなものですか。

増子社長「いま国では、医療機関、薬局による処方箋情報を管理する『電子処方箋管理サービス』が進められています。国では国民一人ひとりの処方箋情報や特定健診情報などをマイナポータルを通じて、セルフメディケーションのための情報として利用者に提供していきます。この『電子処方箋管理サービス』では、直近3年分のデータを引き出すことができ、3年分の飲んでいた薬と健診データが医師にも調剤薬局にも行くようになるので、薬のリスクを軽減させることにつながります。
実際、医療現場では、医師は医師自身の専門分野の薬は知っていますが、専門以外の薬については詳しく知らないケースもあります。しかし、患者さまが複数の薬剤を服用している場合、アドヒアランス(治療や服薬に対して患者が積極的に関わり、その決定に沿った治療を受けること)の把握やその薬の併用リスクの判断が困難になることも考えられます。そこで、医師、薬局が連携することでそのようなリスクを回避することができるようになります」

――薬剤師や調剤事務の評価制度も変わりました。

増子社長「調剤薬局は成績評価の付け方が難しい業界ですが、仕事の中身が変われば仕事の評価制度も変わります。国が求めるアクションを起こせば、それは点数につながりますので、私の会社では、国が期待する患者さまへのケアに向けて、業務のタスクシフトを進めており、調剤事務も、処方箋を受け取って入力するだけでなく、薬剤師の指示に従い調剤業務を手伝います。それにより、薬剤師の患者さまとのコミュニケーションの時間をつくる。薬剤師が何回患者さまとコミュニケーションを取ったのか、調剤事務が何回、調剤室を手伝ったのか、などの定量で評価できる人事評価制度にしました。そのようなマインドで動ける調剤薬局になることが重要になります」
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