2024年 4月 27日 (土)

今冬、もし大寒波がやってきたら...... 身の毛が凍る電力ひっ迫!? なぜ、電力不足が心配されるのか IEEIの竹内純子さんに聞く

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「2050年 CO2ゼロ」の達成は相当の覚悟が必要

   ――2021年11月14日(日本時間)、気候変動対策を協議する国連気候変動枠組み条約、第26回締約国会議(COP26)で採択された『グラスゴー気候協定』には、世界の平均気温の上昇を産業革命前から1.5度に抑える努力を追求するとされました。日本も「2050年 CO2実質ゼロ」を掲げていますが、その達成は可能ですか?

竹内さん「2050年CO2排出を実質ゼロにする目標を掲げた菅前首相は、環境と経済の両立という、『発想の転換が必要』であると仰っていました。環境と経済の両立を目指す必要があることは誰も意義が無いのですが、それは発想の転換だけでできるものではありません。現実に、再生可能エネルギーは補助制度を必要としますし、ガソリン車から電気自動車の買い替えもそうです。負担もあることを政府がちゃんと説明して国民の覚悟を促し、長期的な視点でイノベーションを支援し、社会変革を進めていくことが必要です。産業革命以上の社会変革に対して、『挑戦し続けていこう』という覚悟が必要だと思います。今までエネルギーを燃やして経済成長させてきたのを、一気に違う方向に向かわせるのですから、その『痛み』は当然あります。
しかし、社会変革はリスクだけでなくチャンスでもあります。今までなかったようなビジネスが成立したり、新しい技術が増えたりする。環境問題と経済成長の両立を目指していき、そしてチャンスをものにしていくことが求められているのです」

   ――「変わっていかなければいけない時代」ですか?

竹内さん「持続可能な社会に変わっていかねばなりません。今のような火力発電に7~8割も依存するのは、やはり持続的ではありません。気候変動問題は深刻ですし、化石燃料といわれる石油や石炭、天然ガスは燃やせば、いずれ枯渇します。エネルギー消費の少ない、そして、エネルギーを持続可能な方法で作る社会に転換していかねばなりませんが、その社会にどのように移行していくのか――。それは数十年はかかることも覚悟せねばなりません。『2050年』まで、残された時間は30年弱。エネルギーインフラを総とっかえする時間としては十分ではありません。まさにいま動き出す必要があります。数十年単位での移行期間に、リスクの総和を最小化しながら、どのように移行を進めていくかが重要かと思います」

(聞き手 牛田 肇)


プロフィール
竹内 純子(たけうち・すみこ)
NPO法人国際環境経済研究所理事
U3InnovationsLLC 共同創業者・代表取締役
東北大学特任教授

専門はエネルギー・温暖化政策。慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、東京電力株式会社入社。主に環境部門を担務。2011年の福島原子力発電所事故を契機に独立の研究者となり、国連気候変動枠組条約交渉に10年以上参加するなど、エネルギー・温暖化政策の提言に取り組む。
内閣府規制改革推進会議やなど多数の政府委員や、東北大学特任教授を務める。2017年9月に「エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ」(日本経済新聞出版社、編著)を上梓したのを契機に、多くのスタートアップと協業してエネルギー産業の変革に取り組むU3innovations合同会社を創設。政策とビジネス両面からエネルギー変革に取り組んでいる。
主な著書に、「みんなの自然をみんなで守る20のヒント」(山と溪谷社)や「誤解だらけの電力問題」(ウエッジ)、「原発は『安全』か たった一人の福島事故報告書」(小学館)、「エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ」(日本経済新聞出版)などがある。

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