2024年 4月 19日 (金)

コロナ禍でも絶好調だった米国株 2022年、最大の問題はインフレだ!【小田切尚登のマネーの寅年】〈後編〉

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米国企業の収益力は強い!

   次に、株価について見てみよう。2021年に米国を代表する株価指数S&P500は28.7%上昇した(総収益率)。2019年は31.5%の増加、2020年は18.4%の増加だったので、3年間米国株を持ち続けていたとすると、ちょうど2倍になった計算だ。

   ちなみに、円安が進んできているので、円ベースだと2021年の一年間だけで4割以上の上昇となっている。

   株価の上昇は何といっても、米国企業の収益力の強さによってもたらされた。2021年に企業収益は6割以上も上昇した。それに対して株価の上昇は3割未満であるので、PER(株価収益率)は30から24と、むしろ低下した。企業収益の増加に株価が追いついていないようにさえ見える。

   それを側面から支えてきたのが、米国政府による大規模な経済対策とFRB(米連邦準備制度理事会)による金融緩和政策である。特に金利の低さが株価の伸びを後押しした。金利が非常に低いときは、投資家は株式のようなリスクが高い金融商品を買うようになる。

   米国の株式市場は時価総額で世界全体の過半を占めているので、米国株が上がれば世界全体の相場にもプラスになる、という関係にある。そういう意味で、米国株がほぼ一本調子で上がってきた過去十年間は、世界の投資家にとって良い時代だったと言える。

   米国の住宅価格は2021年の一年間に19%上昇し、過去十年間で2倍近くにまでなった。このように住宅価格がどんどん上がっている状況下では、ローンを組んで住宅を買うことは「借金の重圧に打ちひしがれること」ではなく「前向きな投資」となる。

   住宅ローンを返済することで、それを大きく上回る金額が戻ってくるからだ。米国では約3分の2の家庭が自宅を保有しているので、住宅価格の上昇がアメリカ人全体に与える経済的・心理的なプラス効果は大きい。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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