2024年 4月 24日 (水)

中国経済の減速止まらない! エコノミストが警戒する「ゼロコロナ」政策の「固執」、習総書記の「思惑」

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   世界経済を牽引してきた中国経済の減速が危険水域に入ってきたようだ。

   2022年1月17日、中国国家統計局が2021年10~12月期のGDP(国内総生産)の実質成長率を前年同期比4.0%増と発表。4~6月期の7.9%増、7~9月期の4.9%増に比べ、一段の失速が鮮明になった。

   また、米欧の金融引締め策とは真逆に2回も利上げに踏み切った。不動産バブル崩壊も深刻だ。もう中国経済の成長は期待できないのか。エコノミストが警戒する要因とは?

  • チャイナリスクが世界経済を原則に追い込むか(写真はイメージ)
    チャイナリスクが世界経済を原則に追い込むか(写真はイメージ)
  • チャイナリスクが世界経済を原則に追い込むか(写真はイメージ)

J・オーウェル『1984年』を思わせる恐怖の全体主義

   エコノミストたちの多くが中国経済の減速に拍車をかけている最大の要因が、徹底した「ゼロコロナ」政策だと指摘する。

   中国では現在、人口500万人都市ならば、3日以内に全住民のPCR検査を完了できる。中国としては珍しく1000人規模の新型コロナウイルス患者が発生した西安市(人口1300万人)では、全住民が完全に外出禁止となる強権的な都市封鎖が昨年(2021年)末から続いている。

   その影響は目下のところ、市民生活ばかりか、幹線道路も封鎖され、周辺の大都市の物流は止まったままだ。新型コロナの封じ込め政策は、経済の大きな足かせとなっているのだ。

   そんな中国の「ゼロコロナ」政策の異常さを、矢野経済研究所の水越孝社長が、「コラム:今週の『ひらめき』視点 中国経済減速。2022年1-3月期、コロナ対策の成否が鍵」(1月20日付)の中で、部下の体験談を通じてこう批判する。

「実は当社の上海現地法人の社員もこうしたコロナ対策を、身をもって体験することとなった。1月11日、彼は河北省石家庄市へ出張したが、現地に到着するとスマートフォンの健康コードの色が緑から黄色に変わっていた。そのため、当局が指定するホテルに強制隔離、2回のPCR検査を受けることとなった」

   「健康コード」とは感染リスクを緑・黄・赤で表示するスマホアプリ。当局の身分証明システムと連携しており、公共施設、交通機関、オフィスビル、ホテルなどへの実質的な通行証として運用されているものだ。

   当局が隔離した理由は、その日、天津で新たな感染が確認されたためだという。しかし、出張先の石家庄と天津は300キロ以上も離れている。「ではなぜ?」とコラムの中でも強調していた。読み進めると、実は12月29日、該当社員は出張で天津を訪れていた。そして、2週間前の行動履歴を当局がつかんでおり、遡及して隔離されたのだった(その後、彼は陰性が確認され、無事上海へ戻ることができたようだ)。

過剰なコロナ対策が危険すぎる(写真はイメージ)
過剰なコロナ対策が危険すぎる(写真はイメージ)

   ここでの問題点は、スマホアプリや街頭の顔認証カメラなどによって、全国民の行動が当局に把握されていることだ。水越孝社長は、コラムでこう記す。

「あらためて『ゼロコロナ』の徹底ぶりに驚かされるとともに、小説『1984年』(著者:ジョージ・オーウェル)に描かれた世界を想起せざるを得ない出来事であった」

   小説『1984年』といえば、ご存じ「ディストピア」(ユートピアの逆:近未来の暗黒世界)小説の金字塔だ。一党独裁によって人々が常に監視され、最後は人間の思考力や言語さえ失われる全体主義の恐ろしさを描いた。

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