2024年 4月 26日 (金)

その検索結果に気をつけて...若者の夢「芸能界デビュー」につけ込む詐欺師増える 「アナタは才能ある」にだまされるな!

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「15歳の時に渋谷で雑誌社編集部にスカウトされ、デビューしました」
「実家がお花屋さんで、中学生の時、ドラマ撮影隊が訪れた時にスカウトされました」

   芸能界入りのきっかけはさまざまで、なかにはこうしたスカウトの「逸話」に彩られているが、ちょっと待ってほしい。最近はこのように街頭などで直接スカウトされるよりも、スマートフォンで検索してオーディションを見つけたり、SNSで芸能事務所の募集広告を見たりして、自ら連絡を取るケース増えているようだ。

   憧れの芸能界入りにつけ込んで、若者の夢を「食い物」にする詐欺師の甘い罠を、国民生活センターのリポート「タレント・モデルなどの契約トラブル~あなたの夢やあこがれにつけこんでくる事業者に気をつけて!~」(2022年2月24日発表)で警告している。

  • 憧れのモデル、女優になれるとだまされて…(写真はイメージ)
    憧れのモデル、女優になれるとだまされて…(写真はイメージ)
  • 憧れのモデル、女優になれるとだまされて…(写真はイメージ)

あなたに「ダンスボーカルユニットのメンバーになってほしい」

   国民生活センターによると、芸能界デビューを巡る被害相談は、2021年度は1月末までに全国で511件。前年度同期の456件より1割以上の55件増だ。しかも被害に遭うのは、10歳代~20歳代の若い層での割合が増えているのが特徴だ=図表1参照

(図表1)芸能界デビューをめぐる被害は20歳代以下が増えている(国民生活センター作成)
(図表1)芸能界デビューをめぐる被害は20歳代以下が増えている(国民生活センター作成)

   また、被害に遭うのは女性が66%、男性が34%と女性のほうが多い。契約時の入会金やレッスン代などの被害金額は、10万円以上~50万円未満が48%と半数近いが、50万円以上も36%あり、なかには100万円以上という高額の被害者も3%いた=図表2参照

(図表2)被害を受けた金額の割合(国民生活センター作成)
(図表2)被害を受けた金額の割合(国民生活センター作成)

   詐欺師の代表的な手口はこういったケースだ。

【事例1】「テレビ番組に出られる」「仕事をたくさん紹介する」と言われたがレッスンも仕事もない
インターネット上で「テレビ番組の出演者募集」という広告があり、問い合わせた。面接で事務所に出向くと、合格を告げられた。所属契約について「うちに所属すれば確実にテレビ番組に出演できる。ダンスボーカルユニットを結成することが決まっており、レッスンもあるから、ぜひメンバーになってほしい。あなたは向いている」と勧められた。
所属契約には費用がかかり、「今なら10万円の入会金が5万円ですむ。そのほか毎月約3万円かかるが、仕事はたくさん紹介する。所属枠は残りわずかなので早く決めて!」と急かされ、その場で契約した。その後事務所から番組出演の話は一切なく、レッスンもない。(2021年11月・20歳代女性・給与生活者)

【事例2】声優のアルバイトのつもりが、レッスン料が必要と迫られ、断ると罵倒された
求人サイトで声優のアルバイトの広告を見て、応募した。所属契約をした後、プロデューサーを名乗る人から「当社でボイスドラマの制作をしている」と言われ、スタジオでボイスサンプルを収録した。その後、「審査は落ちたが、やる気があるなら新人枠で推薦する」と電話があり、お願いした。
後日「条件付きで新人枠に入れた」と電話があり、スタジオに出向くと出演の条件は「演技力を高めるため、約8万円でレッスンを受講してもらう」ことだった。親に相談すると反対されたため、レッスンの話は断ったが、プロデューサーからは「大学生にもなって親に頼るのか」「自分のお金で支払うように」と罵倒された。契約を解除したい。(2021年11月・10歳代男性・大学生)

「すぐ契約すれば映画やファッションショーに出してあげる」

   このように悪質業者は、夢につけ込んで甘い言葉をかけ、有料のレッスンやマネジメントの契約を勧めてくる。実際、トラブルにあった人は、以下のような勧誘を受けているという。まず、「オーディションに合格!」と喜ばせておいて、それからお金を要求してくる。

「あなたは5000人の応募者がいた中の数名の合格者だ」
「本日中に契約すれば映画やファッションショーに出してあげる」
「レッスンを受けないと仕事できない。芸能界では当たり前。お金をかけてでも自らのスキルアップが必要だ」
「今どうするか決めないと、合格を取り消す。今しかないチャンスだ」
ダンスレッスン代を支払ったのに、レッスンがなかったことも(写真はイメージ)
ダンスレッスン代を支払ったのに、レッスンがなかったことも(写真はイメージ)

   また、「不合格」だったとしても期待を持たせる言葉で惑わせてくる。

「オーディションは不合格だが才能がある。やる気があるならレッスンを受けよう」
「他の企画にあなたを推薦したい。もう一度事務所に来てほしい」

   なかには、「すぐに仕事が入るから問題ない」とクレジット契約や借金をして契約するよう勧めてくる悪質事業者もいる。

   国民生活センターではこうアドバイスしている。

「レッスンを受講しても必ず仕事や報酬につながるわけではありません。家族や周囲の人に相談するなど『冷静』『慎重』な判断を心がけましょう。不意打ち的な勧誘を受ける場合があり、安易にその場で契約せずに、具体的な活動内容やサポート体制、費用などをよく確認しましょう。また、今年4月から『18歳で大人』になります。契約を急かす相手や、お金を借りることを勧める相手をきっぱり断れる大人になりましょう」

(福田和郎)

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