2024年 4月 25日 (木)

FRBパウエル議長「利上げ発言」、エコノミストはどう見たか? 情勢悪化と原油高騰重なったら、まさかの展開も?【ウクライナ侵攻】

原油増産ペースは現状維持...原油価格上昇&物価高懸念も

   しかし、FRBは大きなリスクを抱えており、今後の展開に目を離せないと警戒感を露わにするのは、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。木内氏のリポート「FRBの3月利上げとウクライナ情勢を受けた原油価格の一段高」(3月3日付)では、「異常なまで」の原油高騰の中でのパウエル発言に注目した。

   それによると、パウエル発言のあった3月2日に米国原油市場で、先物価格の指標となる「WTI」(西テキサス中質原油)価格は一時、112ドル台と10年ぶりの水準に達した。その一方で、主要産油国でつくる「OPECプラス」は同日、現在の原油増産ペースを4月も続ける現状維持を決めた。これでは原油価格がさらに上昇し、物価高に拍車をかけることになる。

ガソリンや灯油の高騰が止まらない(写真はイメージ)
ガソリンや灯油の高騰が止まらない(写真はイメージ)

   木内登英氏はこう指摘する。

「40年ぶりの物価高騰に見舞われ、国民の不満も高まっている米国では、FRBの当面の金融政策は物価高対応に傾きやすい。その姿勢は、米国経済に悪化の兆しが明確に確認されるか、あるいは利上げによる金融市場の大きな混乱が生じるまで続くだろう」「本来金融政策に必要とされるフォワードルッキングな(=先を見越した)政策姿勢は、現状ではとられにくい」

   そして、ウクライナ情勢悪化と原油高騰が重なり、経済情勢が悪化していくと金融市場が大きく動揺する可能性があると、木内氏は指摘する。その時、どんなことが起こるか――。

「それが急激に進んだ場合、FRBは一気に金融緩和に転じる可能性さえ出てくるだろう。今年後半からは、そのような劇的な展開となる可能性に留意すべき局面に入ってくるのではないか」

   金融引締めから、一気に金融緩和になったら......?! まさに世界経済の大混乱となるかもしれない。

(福田和郎)

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