働き盛り年収「25年前より100万円以上減少」の衝撃! 岸田政権があえて公表した真意は?
45歳~55歳ではなんと195万円もの年収格差
それによると、25歳~54歳の世代でもそれぞれ次のような特徴がある。
(1)25歳~34歳=25年前に比べ晩婚化が進み、単身世帯の割合が増えているため、「全世帯」で所得(年収)の中央値が1994年の470万円に対して、2019年は429万円と、31万円低下した=図表1参照。
これは、「非正規雇用」の割合が急増したことも大きく影響したとみられる。補足しておくと、25年前と比べて、各年齢階層における非正規雇用比率は「夫婦のみ世帯」と「夫婦と子世帯」以上に、「単身世帯」では相対的に大きく上昇している。
(2)35歳~44歳=就職氷河期世代(2019年時点で大学卒なら37歳~48歳)が含まれるため、全体的に所得の差が25歳~34歳より拡大した。「全世帯」で所得の中央値が1994年の657万円に対して、2019年は565万円と、92万円低下した=図表2参照。また、「単身世帯」でも25年前に比べ、300万円以上~400万円未満の割合が2倍以上に上昇しているのが特徴だ。
このため、単身世帯の所得の中央値が1994年の498万円に対して、2019年は400万円と、98万円も低くなった。ただし、「夫婦と子」世帯では、中央値が1994年の670万円に対して、2019年は677万円と、若干だが7万円増えている。つまり、就職氷河期によって結婚しない単身世帯が増えたうえ、その人たちの所得が下がったため全体の水準を押し下げているといえそうだ。
(3)45歳~54歳=この25年間で低所得者層の割合が増えたことと、年功序列の賃金カーブがなだらかになったことも加わり、年収減少の影響を一番大きく受けた年代だ。「全世帯」の所得の中央値が1994年の826万円に対して、2019年は631万円と、なんと195万円も低下した=図表3参照。
「夫婦と子」世帯でも中央値の差は80万円減、「夫婦のみ」の世帯でも差は81万円減。子どもの進学などに最もお金がかかる年代だけに、ショックは大きいだろう。
一方で、65歳以上の世帯・所得分布を25年前と比較すると、低所得階層の割合が若干増えているものの、全体の傾向にほとんど差がみられなかった=図表4参照。つまり、現役世代、とくに35歳~54歳の世帯所得が大きく減少しているが、高齢世代への影響は少なかったわけだ。