アマゾンの「価格制限」は違法なのか? 大企業による寡占化で消費者利益は失われているかも【馬医金満のマネー通信】

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   みなさん、こんにちは。馬医金満です。

   いま、独占禁止法が気になっています。遡ること2021年7月、バイデン米大統領は自国経済に市場競争を促す大統領令に署名しました。背景には、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)に代表される巨大IT企業の市場支配力の拡大に対して、積極的な競争政策ができておらず、少数の大企業による寡占化が消費者利益や経済活力を奪っているとの懸念が広がっているためです。

   そうしたなか、米国のネット通販最大手、アマゾン・ドット・コムの電子商取引(EC)の商慣行を巡り、米首都ワシントンのラシーン司法長官が2021年に提起していた反トラスト法(独占禁止法)訴訟で、裁判所が原告側の訴えを棄却したと、米ウォール・ストリート・ジャーナルや米ニューヨーク・タイムズなどが2022年3月18日に報じました。

  • GAFAによる寡占化が消費者利益や経済活力を奪っている?
    GAFAによる寡占化が消費者利益や経済活力を奪っている?
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アマゾン独禁法訴訟、原告側の訴えを棄却!

   報道によると、アマゾンは過去に米国の出品事業者に対して、自社サイトでの価格よりも安く他者サイトで売ることなどを禁じていました。この規定を2019年3月に撤廃して、新たに「公正価格規定」を設けたのですが、ラシーン司法長官は、これが事実上旧規定と同じ内容だとして批判したのです。

   具体的な争点である「公正価格規定」は、出品事業者が価格を自由に決めることができるとあるのですが、じつはアマゾンが他社のウェブサイトをモニタリグして、出品事業者がアマゾンへの出品よりも安く販売していないかどうかをチェック。もし、他社のサイトでより安価な商品が見つかれば、アマゾンはその出品事業者の同じ商品を、自社のサイト上で積極的に表示しないようにしたり、他社がECサイトで提供している同じ水準の価格、もしくは低く設定するように求めたりしているというのです。

   ラシーン司法長官は、「アマゾンが結ばせている契約によって、出品事業者は他社のサイトでより安価に販売できなくなり、消費者に不利益をもたらしている」と、指摘しています。

   これに、アマゾンの広報担当者は訴訟が提起された直後の声明で、「販売者は我々のストアで提供する商品の価格を自ら設定している」と反論。原告側の訴状は「まったく逆のことを言っている」として、裁判所に訴えを退けるよう申し立てていました。

   3月18日、その一審にあたる裁判の口頭弁論で、裁判所は原告側の訴えを棄却するよう求めたアマゾン側の請求を認める判断を示しました。

   これを受けて、ラシーン司法長官側は声明で「自社に集中する力を利用して、競争の場を不当に有利なものにしているアマゾンに責任を負わせる。理にかなった反トラストの法理を発展させるために戦い続ける」と述べ、控訴する意向を示しています。

   さて、ここからは私見になりますが、こうしたアマゾンとの契約があってもなくても、消費者は賢くなってきているので、複数のECサービスを利用して、ちゃんと比べているのではないでしょうか。最近はECの、いわゆる比較サービスが複数存在していることもあります。

   その中で市場原理と照らし合わせると、実質的に同じ水準価格には近似するはずで、それを政府が規制するという感覚は少しズレているという気がしています。つまり、ラシール司法長官が思っているほど、消費者は不利益を被ってはいないのではないでしょうか(被らないように精査して見極めている?)。控訴審のゆくえが気になります。

   では、また!(馬医金満)

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