2022年 6月 29日 (水)

一人でも多くの人救いたい...若き日の「思い」から生まれた!「陽子線がん治療装置」開発秘話(前編) ビードットメディカル社長の古川卓司さんに聞く

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放射線治療装置の臨床研究に没頭した若き日々

――放医研ではどのようなことに取り組んだのでしょうか。

古川さん「放医研の中には研究病院があり、ここで毎日100人くらいの患者さんに、(放射線治療の一種である)粒子線治療をおこなっていました。一人の患者さんは約3週間にわたって、ほぼ毎日、治療を受け続けます。
   その治療に使われる装置が、私の研究対象でした。この頃から、臨床研究に携わるメンバーとは日々、装置の問題点などを話し合っていたものです。その後、放医研に通いながら大学を卒業、そして、大学院への進学と卒業を経て、放医研に就職しました。
   思えば、物理学の知識を生かしながら、エンジニアリング(工学)的に機械開発に携われる放射線治療に出合えたことは幸運でした。また、若い頃から臨床現場にいた経験から、一人でも多くの人を救うためにできることは何か、といつも考え続けてきた気がします。
   就職後、装置の技術開発を任されました。自分の手掛けた装置が現場で役立ち、そして患者さんが元気になっていく様子を見ることはうれしいものでした。しかし一方では、『現実』も目の当たりにしました。病院を『卒業』していく患者さんは年間1000人くらい。1日に換算すると、5人ほどです。いま、年間100万人ともいわれるがん患者さんの数に対して、微力であるとも感じていました」

――そうした「思い」がビードットメディカルの起業につながったのでしょうか。

古川さん「ええ。実はもう少し紆余曲折があり、放医研で2006年から数年かけておこなわれた大きなプロジェクトに参加。私の専門である『スキャニング照射』と呼ばれる技術を用いて、かなり精度よく放射線照射を制御できる成果が得られました。
   この研究では文部科学大臣表彰科学技術賞をいただき、その達成感は大きかったものの、違うアプローチもあるのではないか、と思うところがありました。そんなきっかけから2017年、ビードットメディカルを立ち上げました。放医研発のベンチャー企業という位置づけです。これまで培った技術と経験を活かして、いまは『超小型陽子線がん治療装置』の開発を手掛けています」

   若き日の古川さんが臨床現場で感じたさまざまな問題意識から生まれたのが、ビードットメディカルの「超小型陽子線がん治療装置」だ。では、既存の機械/装置にはどんな課題があるのか。そして、古川さんが手掛ける装置の特長とは――。

   <一人でも多くの人救いたい...固定観念とらわれないアイデアで小型化!「陽子線がん治療装置」開発秘話(後編) ビードットメディカル社長の古川卓司さんに聞く>に続きます。

(聞き手 牛田肇)



【プロフィール】
古川 卓司(ふるかわ・たくじ)

ビードットメディカル代表取締役社長
博士(理学)
立教大学 理学研究科 客員教授

2004年に千葉大学大学院 博士(理学)を飛び級で取得し、同年放射線医学総合研究所(放医研)に研究員として着任。その後、2011年に放医研の先進粒子線治療システム開発のグループリーダーとして手腕を発揮し、2017年にビードットメディカルを設立した。がん治療装置の開発歴は20年に及ぶ。これまでの研究分野での受賞歴には、加速器学会奨励賞(2005年)、医学物理学会大会長賞(2010年)、文部科学大臣表彰科学技術賞(2012年)など。また、ベンチャービジネス分野での受賞歴では、Japan Venture Awards中小機構理事長賞(2021年)、ブランド・知的財産ビジネスプランコンテスト、グランプリ(2022年)がある。

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