多様化する顧客ニーズに応えるには...D&I推進が原動力
――キャリアオーナーシップが反映されるような取り組み例があれば教えてください。
小林さん「キャリア申告制度において、年1回、必ずマネージャーと1on1で将来のキャリアについて話し合う場を設け、キャリア実現に向けたサポートを実施しています。また、特定の職種を公募する『Job Posting制度』があり、従業員が自身でキャリアを選択できる仕組みを展開しています。2021年3月期は制度を拡充し、年1回の募集から随時募集ができるようになりました。ここでは、どのポストにどんなスキルが必要か提示されているので、キャリアを考えることにもつながっていると思います。時代の変化とともに組織も変革しています」
――女性活躍を含むD&Iの推進の成果と、今後ついてはいかがでしょうか。
小林さん「女性を中心としたチームで企画開発された外付日よけの『スタイルシェード』や、2021年9月に発売されたキャットウォール『猫壁(にゃんぺき)』のプロジェクトリーダーは女性が担当しています。多様化する顧客ニーズに対応したLIXILの製品やサービスを提供するためにも、D&I推進は不可欠なものです。
たとえば、既存のものではなく、未来に向けたものをつくる『スリーボックス』と呼ばれる手法を導入して、今はない商品やサービスでもLIXILとしてできるのではないかというアイデアを募る『ミライBOX』という仕組みがあります。また、社内SNSでは、気軽にアイデアの提案や意見を投稿することができます。このように、アイデアが出やすい、伝えやすい環境をつくるためには、多様な従業員が思った意見を臆することなく共有できる、インクルーシブな環境の構築が重要と考えて取り組んでいます。 今期、全従業員向けにD&Iのeラーニングを行いました。LIXILにおけるD&Iの重要性、インクルージョンを実現するために必要なアンコンシャスバイアス、心理的安全性の基礎知識をコンテンツに取り入れました。今後も、D&Iの認識・理解を促す取り組みを実施していきます」
小竹さん「イノベーションを生み出す組織には多様な人材がいて、人材が自分らしく働けて自分の意見を出せることで起きやすいということがわかっています。LIXLもイノベーションを生むために、そのような企業文化を構築していきます。
2021年にD&I戦略を更新し、2030年までに『取締役および執行役員の50%を女性にする。2030年までに全世界の管理職の30%を女性にする。日本の新卒採用を男女同率とする』ことを掲げており、日本国内でも目標達成に向けて、活動を加速させていきたいと考えています」
(聞き手:水野矩美加)
【プロフィール】
小竹 茜
HR部門 D&I Monitoring&Governance リーダー
大学卒業後、PR企業勤務、英国留学を経て、2014年に入社。コーポレートレスポンシビリティ(CR)を担当し、現在のCR戦略の企画・策定を担当。2019年9月グローバルD&I部新設時に現職に就任し、グローバルの D&I 推進を担当。
小林 真理
HR部門 D&I Monitoring&Governance
2002年新卒入社。サッシ建材工場で現場のものづくり、生産管理業務を経験後、ハウジング事業の生産管理部・エクステリア事業部で、工場の業務改善や、営業~商品開発~生産を連携するスタッフ職に従事。2020年10月より現職、日本国内のD&I推進を担当。