2024年 4月 26日 (金)

態度がとげとげしく、言うことを聞いてくれない年上部下...どう接する?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE 6】(前川孝雄)

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組織のミッションを達成するために、一緒に考え行動する関係(味方)に

   もう一つ大切なのは、社内の上下関係ばかりにとらわれず、「社外に対してチームとして何ができるか」を一緒に考えることです。組織として果たすべき機能は、最終的にお客様に満足してもらうことだからです。

   さきほどの私の実体験では、ベテランスタッフ一人ひとりに時間をかけて、まず徹底的に年下上司である私や、会社に対する不満や鬱憤をすべて聴く努力をしました。時には3時間にわたり、不平不満、文句を言われ続けた修羅場もありました。ただ、私が真剣に受け止めようとし続けると、あるタイミングから、1人、2人と相手の態度が軟化し始めたのです。

「言いたいこと言わせてもらったらスッキリしたよ。まぁ、前川さんも社長じゃないし、経営との板挟みで苦労しているよね。私も長年組織で働いてきたので、その苦渋はわかりますよ。何より前川さんがちゃんと向き合ってくれたことに心が動いたよ。明日からは協力しますから」

   人は不満を出し切ると、やっとこちらの言い分にも耳を傾けてもらえることを学んだものです。そこで、私は次のような説明をしました。

「この組織の発揮する価値を高めて、より多くのお客様のお役にたつことが私たちのミッションです。環境が大きくかわるなかで、現状のままの組織運営ではミッションを果たせず、組織の存続そのものにも関わります。この現状打開に向けてどうすればいいか、〇〇さんの知恵も頂き、一緒に考えていきたいんです」

   この説明を繰り返し伝えていくことで、先輩部下の皆さんとの関係は変わっていきました。そして、彼らは頼りがいのある、私のよきアドバイザーとなってくれたのです。

   今回は年上部下のマネジメントについて考えてきましたが、実はこの相手を尊重し「力を貸してほしい」と頼る姿勢は、年下であろうが雇用形態が違おうが、全ての部下に対して上司が持つべきものでもあるのです。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力~『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の「上司力」』(大和出版)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

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