2024年 4月 24日 (水)

欧米に「逆経済制裁」科すプーチン大統領 バックに途上国の共感が...でも、経済面で「中国の半植民地になる」とのエコノミスト指摘

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プーチン大統領に共感する途上国政府

バイデン大統領には発展途上国への目線がない?(ホワイトハウス公式サイトより)
バイデン大統領には発展途上国への目線がない?(ホワイトハウス公式サイトより)

   経済制裁で欧米と足並みを揃える日本から見ると、ロシアは世界で孤立しているような印象だが、現実は違う。制裁しているのはEU、G7(先進7カ国)のほかには韓国、オーストラリアなどわずかだ。

   中国、インドにくわえ、中東、東南アジア、アフリカ、南米などのほとんどの国は制裁に加わっていない。中国は多角的にロシアと貿易・投資を進めているし、インドはロシアから石油を割引価格で買いつけている。

   では、こうした諸国がなぜ欧米と足並みを揃えないのか。

   NPO法人・国際環境経済研究所のウェブサイトに公開された「ロシアの戦争でこれまでの気候政策は終わる(3)」(6月24日付)は、米国の環境シンクタンク「ブレイクスルー研究所」創立者で、キヤノングローバル戦略研究所インターナショナル・リサーチ・フェローのテッド・ノードハウス氏の3回にわたる力作リポートだ。

   ここでノードハウス氏は、ロシアの戦争が気候変動問題にどんな影響を与えたかを追求しているが、その中で、ロシア制裁に動く欧米の「偽善」と、それに反感を抱く発展途上国との対立にスポットを与えている。

「米国と欧州が国際社会を動員してロシアを政治的、経済的に孤立させようとする中で、あまり注目されなかった事象として、中国、インド、そして発展途上国の多くが乗り気でなかったことがある。これは実利的な面もある。ロシアは世界の多くの地域にとって食糧、燃料、肥料、軍需品、その他の重要な商品の主要な供給国である。だが、ロシア型の社会の腐敗、非自由主義、民族主義が、世界の多くの地域で、ルールではないにせよ、一般的であることも理由の1つだ。(中略)世界の多くの国の指導者は、冷戦後の時代を形成してきた西側の制度や規範に対するプーチンの広範な拒否に共感しているようだ」

   彼らはなぜ欧米と戦うプーチン大統領に共感するのだろうか。

「欧米の指導者たちは、世界を気候変動から救うという名目で、発展途上国に対して自国の石油やガス資源の開発、および化石燃料へのアクセスによって可能になる経済成長をあきらめるよう促してきた。先進国経済が化石燃料に大きく依存していることから、アフリカをはじめとする途上国政府は、これを当然ながら偽善と判断することになる。(中略)一方で、貧しい国々では石炭火力発電を段階的に廃止するよう提唱しているのだ。富裕国政府は、自国の資源を利用し続けながらも、貧しい国々の化石燃料インフラ整備に対する開発資金をほとんど断ち切っているのである」
「恨みは深い。何十年もの間、欧米の環境NGOやその他のNGOは、政府や国際開発機関の間接的なあるいは直接的な支援を受けて、ダムから鉱山、石油・ガス採掘に至るまで、大規模なエネルギー・資源開発に幅広く反対してきたのだから。NGOの環境問題や人権問題に対する懸念は、たいてい本物である。しかし、これらの問題に対する欧米の取り組みが十字軍的で、しばしば恩着せがましいのは、(中略)NGOの地元キャンペーンが主に欧米によって資金が出され、人員が動員され、組織化されているという事実と結び付き、植民地時代から続く反欧米の深い溝を生み出してしまっているのだ」

   それに対して、中国とロシアは環境問題などに躊躇せず、エネルギー、資源採掘、インフラへの投資をテコに地政学的利益を拡大してきたとして、ノードハウス氏はこう続ける。

「その意図は、モスクワと北京の経済的優先順位を高める形で開発途上国の依存関係を構築し、かつ国際的な影響力を生み出すことである。ウクライナ侵攻以来、この戦略の有効性は誰の目にも明らかである」
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