2024年 4月 25日 (木)

温泉女将「おもてなし」を脳科学で解明、これは世界の奇跡だった! 飲食店のマニュアル接客、銀座ママと比較すると...

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   「お客さま、お部屋ではごゆっくりおくつろげいただけていますでしょうか」。温泉旅館の楽しみのひとつに、女将の心配りがある。

   そんな「おもてなし」のプロ中のプロがどうやって客の表情を読み取って接客しているのか、脳科学から迫る研究を自然科学研究機構・生理学研究所(愛知県岡崎市)の研究チームが2022年6月14日、発表した。

   「温泉女将の『おもてなし』を脳科学的に解明」というリポートがそれだ。日本の女将の「おもてなし」に隠された特殊能力は世界的にも稀な存在だという。そのノウハウを私たちは日頃のビジネスに生かせるか?

  • 温泉女将の「おもてなし」秘密は脳活動にあった(写真はイメージ)
    温泉女将の「おもてなし」秘密は脳活動にあった(写真はイメージ)
  • 温泉女将の「おもてなし」秘密は脳活動にあった(写真はイメージ)

女将は表情を読み取り、客をシビアに評価している

   研究を発表したのは、生理学研究所の柿木隆介名誉教授(臨床脳研究)らのチームだ。客に気配りを尽くしつつ、その努力を感じさせずに応接する「おもてなし」は日本文化のひとつだが、実はこれに関わる脳の活動は未解明だったというのだ。

   そこで研究グループは「おもてなしに長けた温泉女将は、接客の際に客の表情を読み取る能力が高いのではないか」という仮説を立て心理学実験と脳波計測を行った。実験には「おもてなし群」として愛知県蒲郡(がまごうり)市の温泉宿の女将たち21人(20歳~70歳)と、比較対象の「コントロール群」として年齢が一致する接客業未経験女性19人に協力してもらった。

   人間は日常生活で相手の表情から瞬時のうちに心情を読みとっている。その反応は脳波で表れる。そして、脳波の成分のうち、相手の顔を見て大きくなるものの代表例として、約0.1秒後に後頭部でみられる「P100成分」がある。また、それよりも遅く、顔を見て0.17秒後に側頭部で起こる「N170成分」がある。まず「P100成分」が先に表れ、その0.07秒後に「N170成分」が表れという2段階で脳波が反応を示すわけだ。

   実験ではまず、心理学テストを行った。対象となった2つのグループに「笑った顔」「怒った顔」「無表情の顔」の3つの顔画像を見せ、好ましいかどうかを最低1から最高7で評価してもらった。すると、「おもてなし群」のほうが「コントロール群」に比べて低い傾向が見られた。とくに「無表情の顔」を見た時に評価が低くかった。つまり、「好ましくない」と判断を下したわけだ=図表1参照

(図表1)心理学検査では「おもてなし群」は「コントロール群」に比べ、好ましさの評価が低かった(生理学研究所作成)
(図表1)心理学検査では「おもてなし群」は「コントロール群」に比べ、好ましさの評価が低かった(生理学研究所作成)

   興味深いことに、「おもてなし群」は笑い顔にはあまり興味を示さないこともわかった。このことから女将たちは、「相手の表情をより正確に読み取り、シビア(厳しめ)に評価していると考えられる」と研究チームはコメントしている=再び、図表1参照

姉妹サイト

注目情報

PR
コラムざんまい
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中