2024年 4月 25日 (木)

時短勤務の人が出張したい、と立候補 「出張する余裕あるなら普段の仕事も...」上司発言は正論か「差別」かどうかで大激論...専門家に聞いた(2)

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   職場のチームに出張のミッションがくだった。行き先は観光地、翌日は休日となり、観光地で遊べる「美味しい出張」だ。

   立候補したのが5歳の子を持つ時短勤務の女性。普段、同僚から仕事のフォローを受けている。上司が「出張に行く余裕があるなら、普段の仕事も調整してもらえますか」と言うと、その女性は「時短だからって仕事(出張)をさせてもらえないのは差別」と人事課に駆け込んだ。一方で、メンバーの一人は「尻ぬぐいはもうたくさん」と憤っている。

   炎上気味なこの投稿、上司のこうした言い方は「差別」になるのか。時短勤務のあり方を専門家に聞いた。

  • 「時短の差別」に憤る女性(写真はイメージ)
    「時短の差別」に憤る女性(写真はイメージ)
  • 「時短の差別」に憤る女性(写真はイメージ)

チーフの対応は「正論」か「不適切」か、賛否両論

   <時短勤務の人が出張したい、と立候補 「出張する余裕あるなら普段の仕事も...」上司発言は正論か「差別」かどうかで大激論...専門家に聞いた(1)>の続きです。

   さらに、チーフの指示が適切だったのかどうかではとくに賛否両論に分かれた。

「(私が前にいた会社では)『打ち合わせ」の出張ならその担当者か、部署のトップか、トップが行けなければ副トップが行くものでした。この投稿の場合で言えば、チーフが行く。(中略)この問題を解決するには、チーフが『私が行きます』といえば、ほかのヒラ4人は納得するんじゃないかな」
「出張に行くこと自体はお好きにどうぞ。でも、『出張行ける』ってことは、『時短以上の長さの仕事をしても、子どものほうは調整できる』ってことだよね。なので、普段の仕事も『出張の時みたいに』調整してくださいね。ド正論ですよね。(中略)もしこれで、Aさんの希望を全てかなえてあげるような人事だったら、『あー、この会社の人事は駄目だわ』と思うので、転職します」
人事からも追及されて落ち込む上司(写真はイメージ)
人事からも追及されて落ち込む上司(写真はイメージ)
「チーフが指名しちゃえばよかったのでは?(中略)今回の件を『Aさんが息抜きしたいだけだろうな』と周りが思うような仕事の仕方をAさんがしていることが問題な気がします。(中略)『一人前の仕事をしてから楽しい仕事に手をあげろ』というほうが筋は通るかなと思います」

「時短になった途端、無責任な人と見なされるのが悲しい」

子どもの送り迎えがある時短勤務者、出張できる?(写真はイメージ)
子どもの送り迎えがある時短勤務者、出張できる?(写真はイメージ)

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の時短勤務の女性が出張に立候補したことをめぐる論争について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

――今回の投稿と多くの回答者の意見を読んで、率直にどのような感想を持ちましたか。

川上敬太郎さん「フルタイム勤務で働く人が多い職場の中で、時短勤務で働く人は得てして特殊な存在になってしまいがちです。その特殊性が、時に周囲との間に感情的な軋轢を生んでしまうことがあります。投稿内容を拝見して、そんな感情の軋轢が前面に表れてしまった典型的なケースの1つだと感じました」

――背景には、時短勤務の女性が泊まりのある出張、しかも観光地にある場所にいち早く立候補したことがあります。出張に行く余裕があるなら、なぜ普段から同僚に仕事のフォローさせているのだという不満が投稿者や関係者にあります。時短の働き方について、川上さんが研究顧問をされている、働く主婦層の調査機関「しゅふJOB総研」で調べたことがありますか。

川上さん「時短勤務など柔軟な働き方をした経験がある主婦層に『後ろめたさを感じたことがあるかどうか』を調査したことがあります。

◇柔軟な勤務時間で働いた際、同僚たちに後ろめたさを感じたことがあるか?

6割近い人が感じたことはないと回答した一方、同僚より早く帰宅することに後ろめたさを感じたという人も3割近くいました。フリーコメントには『会社が時短勤務を許可したのに、私だけが優遇されて、責任感がないと言われた。隣の芝生は...状態で理解されない』『今までどんなに責任を持って仕事をしてきても、母親になった途端に仕事に責任を持たない人と見なされるのが悲しい』といった声がありました」

「時短を認めながら、後ろめたさを感じさせている職場が多い」

ちゃんとした気持ちで出張に!(写真はイメージ)
ちゃんとした気持ちで出張に!(写真はイメージ)

――時短勤務者は、いつもつらい心境に置かれながら仕事をしている人が少なくないわけですね。

川上さん「そのとおりです。時短勤務は、他の人と比べて特殊です。しかし、事前に職場の了承を得ている限り、本来であれば後ろめたさを感じる必要などないはずです。それでも、同僚たちが勤務している中、自分だけ早く帰るシチュエーションに対し、3割の人は心情的にどうしても後ろめたさを感じてしまうということなのかもしれません。
ただ、見方を変えれば、時短勤務を認めながら、働き手に後ろめたさを感じさせている職場が3割くらいあるということです。投稿者さんの職場も、時短勤務のメンバーに対し、『子育てに協力しようという気持ちが激減した』とか『尻拭いはしない』といった言葉が出ていることから、周囲に気兼ねなく時短勤務ができる職場ではないように映ります」

――回答者の多くは、時短勤務の女性に対して、出張に行ける余裕があるなら毎日の仕事も定時まで働けばよい、とか、出張を観光旅行と勘違いしていると憤っています。

川上さん「時短勤務であっても、出張期間中だけ時間調整することが可能な場合もあると思います。出張に行けるのなら日ごろから定時まで働けばよい、というのは極端な意見ではないでしょうか。
時短勤務であっても、それで職場が順調に回っているのであれば何も問題は起きないはずです。極端な意見が出るのは、時短で働くことで周囲に迷惑がかかる状況があるからだと思います。その状況自体は、間違いなく職場として問題です。
一方、出張を観光旅行と勘違いしているとしたら、その甘い認識に憤りを感じるのは当然のことだと思います。ただ、時短勤務で周囲に迷惑がかかることと、出張を旅行と勘違いしている認識の甘さとは、別の問題として分けて考える必要があります」

   今回の時短勤務女性の働き方の話題について、川上さんのアドバイスも熱を帯びました――。<時短勤務の人が出張したい、と立候補 「出張する余裕あるなら普段の仕事も...」上司発言は正論か「差別」かどうかで大激論...専門家に聞いた(3)>にまだまだ続きます。

(福田和郎)

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