2024年 4月 19日 (金)

「日本に猫は何匹いるか?」に答えられますか?

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   最近、「フェルミ推定」という言葉をよく聞く。地頭のよさを測るために、外資系のコンサルティング企業などの入社試験では、欠かせないものだという。

   たとえば、こんな問題。「日本に猫は何匹いるか?」。

   知識だけではとうてい太刀打ちできない。基礎知識に加え、さまざまな要素をもとに自分の頭で論理的に考えることが求められる。

   本書「現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート」(東洋経済新報社)は、ロジカルシンキング、仮説思考、モデル化、定量化などの手法を学び、地頭力を鍛える本だ。

「現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート」東大ケーススタディ研究会著(東洋経済新報社)

   以前、同研究会編でOBの白木湊さんが書いた新刊「東大ケーススタディ研究会 伝説の『論理思考』講座」(東洋経済新報社)を紹介したが(J-CASTニュース 会社ウォッチ「外資の戦略系コンサルティングファームの内定得るには? 論理思考が決め手」)、今回紹介する本書は2009年に刊行され、シリーズ累計35万部の礎となった本だ。

   「東大ケーススタディ研究会」は、2008年から戦略系コンサルティングファーム志望者を中心に活動を開始、就職支援活動を行っている。

分類し「仮説」を立てる

   著者の脇田俊輔さんは2006年、東京大学法学部卒。出版された09年当時は、同大学院博士課程に在籍中で、研究会設立メンバー。もう1人の吉田雅裕さんは09年当時、東京大学経済学部に在籍中で、同じく研究会設立メンバー。

   「フェルミ推定」とは、「日本全国の牛の数」「長野県のそば屋の数」「胃腸薬の市場規模」など、「直感では見当のつかないような荒唐無稽な数量を、知っている知識だけをもとに、合理的な仮定とロジックを駆使して、短時間で概算する方法」を指す。

   封筒の裏などに短時間でちょこちょこっと計算するところから、「Back of Envelope(封筒の裏)」の計算などとも呼ばれるという。

   フェルミ推定は、科学者の思考訓練ツールとして有効であると認められたことから、欧米の学校では理科系の教材として広く利用されている。現在は、コンサルティング会社や外資系企業での面接試験、一般のビジネスパーソン向けの教育ツールにも利用されるようになってきた。

   さて、冒頭で取り上げた「日本に猫は何匹いるか?」という問題だが、以下のようにアプローチする。

   猫を野良猫(所有者なし)と家猫(所有者有り)に分類したうえで、さしあたり「個人(世帯)が所有している猫」に範囲を限定する。

   そうすると、日本における猫の数は、「日本の世帯数×猫の所有率×1世帯あたりの平均所有数」で求められる。

   ここで「仮説化」という手法を使う。

1 日本の世帯数 日本の1世帯あたりの平均人数を3人(父・母・子供1人)、日本の人口を1億2000万人と仮定するならば、日本の世帯数は4000万世帯となる(1億2000万÷3)。
2 猫の所有率 日本の世帯を「動物を飼っている」50%、「動物を飼っていない」50%に分類し、「飼っている」世帯のうち、「猫だけ」20%、「猫とそれ以外の動物」10%、「猫を飼っていない」70%と仮定すると、猫の所有率は、50%×30%=15%となる。
3 1世帯あたりの平均所有数 1世帯あたりの平均所有数を求めるにあたり、1匹だけの世帯を75%、2匹所有20%、3匹所有5%と仮定する(簡便化のため、4匹以上の世帯を排除する)。計算すると、1(匹)×75%+2(匹)×20%+3(匹)×5%=1.3(匹)となる。

   以上の1~3より、日本における猫の数は、4000(世帯)×15%×1.3(匹)=780万(匹)となる。

   こうして導き出した数字の現実性についても検証している。

   ペットフード工業会による第14回犬猫飼育率全国調査(2007年)によれば、07年における猫の飼育数は1018.9万匹。上記の計算はやや少ない数字になった。また、同調査によれば1世帯あたりの平均飼育数は1.77匹で、上で出した設定数字は「悪くない」と、している。

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