「とても優しくて料理も好きで、私の意見をいつも尊重してくれる」。そんなステキな年下彼氏だが......。年収を聞くと、自分と同じ300万円。本音は、ショック?! 「結婚して子どもなんてとうてい無理、別の相手を探すべき?」......。こんな投稿が炎上気味だ。「合計600万円なら何とかなる」「自分の年収を棚にあげる打算的なあなたに彼氏さんがお気の毒」「別れてあげて」というご意見から、「結婚は生活。早く別れて婚活を」と現実的(?)アドバイスも。結婚は「愛かお金か」。根源的な問いを専門家にぶつけた。高年収の男性と出会い...「自分の年収をあげる努力を」との意見<年下彼氏の年収、自分と同じ300万円と知りショック!人柄とてもいいけど、結婚ムリ?女性の投稿が炎上...結婚は「愛か?お金か?」...専門家に聞いた(1)>の続きです。一方、少数だが、「結婚は生活だ」「私ならもっと高収入の相手を見つける」と投稿者に共感する意見も寄せられた。「その彼とはお別れして、もっと高収入の結婚相手を見つけるのがよいと考えます。30目前ならば、時間的な余裕があるうちに、早めに行動しないとなりませんね。(中略)企業勤務か自営業か、不労所得の有無、健康状態とか知ることも大切です。また、本人や親の資産状況なども確認しておくとよいですよ」「収入が低くても性格が良くて家事ができる男性がよいという人もいます。私は若い頃にそのような人とお付き合いしましたが、無理でした。それに高収入の方こそ仕事も家事もできる人が多いです。年収の高いパートナーと出会いたいと思ったら、自分もそれに近い年収を目指したほうがいいです。例えば年収600万円以上の人と結婚したければ、自分も500万円は稼げるようになるとか。私は(中略)20代を必死に働いて勉強して過ごし、30代前半で目標の年収を達成しました。晩婚になってしまいましたが、お見合いでご縁があって大手勤めの高年収、性格も穏やかで家事もこなす、申し分ないお相手と出会うことができ、今は何不自由なく暮らしています。相手に期待するより自分を変えるほうが簡単です」彼と一緒にいると穏やかな気持ちになれる(写真はイメージ)「正直、私があなたの父で、彼氏さんの収入を聞いたら、あなたのことが不憫になります。口では『あなたがいいなら好きにしなさい』と言いますけどね。(中略)別れて後悔するかは分かりませんが、今どき、独身男性なんて山のようにいるだろうから、出会いはあなた次第という気もします。個人的には、グジグジ悩むくらいならすっぱり別れて、婚活したほうがいいのでは、と思いました」「彼氏を見るポイントに、人としての魅力にお金が加わった」好きな人と苦労する、それが結婚(写真はイメージ)J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、彼氏の年収が300万円と聞いてショックを受け、別れようかと悩む女性の投稿をめぐる論争について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。――今回の投稿と回答者たちの回答を読んで率直にどんな感想を持ちましたか?川上敬太郎さん「交際している5年の間、投稿者さんが彼氏の年収を知らなかったというのは、お金などではなく、ずっと純粋に人としての魅力を感じて彼氏と一緒にいたということなのではないでしょうか。しかし、彼氏の年収を聞いてから今後の付き合いに不安が出てきたというのは、結婚を意識するようになって、彼氏への見方に変化があった、ということなのだと思います。回答者の方々から寄せられている意見は厳しいものが多いようですが、投稿者さんが彼氏を見るポイントとして、人としての魅力だけでなく、お金という要素が加わったことによる視点の変化に対して、批判的にとらえた人がたくさんいるということではないかと感じました」世帯の年収額によって「満足度」3倍以上の差が出るお互いの収入がいくらあればよいか、しっかり計算しよう(写真はイメージ)――論争の背景には、いくら年収があれば結婚できるのか、また、女性が結婚を考える際に考える相手の年収といった問題がありますが、川上さんが研究顧問をされている、働く女性の実態を調べる「しゅふJOB総研」で、世帯の年収について調査したことがありますか?川上さん「仕事と家庭の両立を希望する主婦層の方々に、現在の世帯年収への満足度を伺ったことがあります。◇現在の世帯年収への満足度全体の満足度は『満足』が48%、『不満』が40%と、満足している人のほうがやや多いという結果でした。その傾向は年代別やお子さんがいる・いない別で比較しても大きな差は見られませんでしたが、回答者の世帯年収別で比較してみると顕著な差が見られました。世帯の年収額で満足度に3倍以上の差が出るのです。世帯年収900万円以上では『満足』と答えた人の比率が7割を超え、『不満』と答えた人の比率は2割にも届きませんでした。しかし、世帯年収500万円未満では『満足』と答えた人が23%、『不満』と答えた人は65%に及びます。投稿者さんの場合は、彼氏と合わせて600万円ですが、該当する500万円以上700万円未満でみると、『満足』と答えた人が26%、『不満』と答えた人は44%という結果でした」年収500万円未満で「満足」の人、1500万円以上で「不満」の人世帯年収への満足度合とは?(写真はイメージ)――つまり、投稿者がもし結婚したとしても、「不満」のほうが多い世帯年収になってしまうわけですね。川上さん「世帯年収への満足の度合いは、金額の多寡に比例する傾向があるようです。そう考えると、投稿者さんが結婚を意識して彼氏の年収を気にするようになったこと自体は、決して不自然なことではないように感じます。ただ、先の調査結果のフリーコメントを見ても、本当に夫婦の置かれている状況や子どもの数、また、それぞれの心持ち次第によって満足の度合いには違いがあることも確かです。たとえば、40代で年収1000万円以上の人(子ども3人)が『全く余裕がない。持っていかれる税金も半端ないのに、児童手当は年収制限で1人5000円の特別支給のみ』と大いに不満を述べています。30代で年収900万円以上の人(子ども2人)が『2人とも中学~大学まで私立でも不安なく家計が回せて、好きなことを何でもやらせられるくらいの金額がほしい』と現状には満足していません。50代で年収1500万円以上の人(子ども1人)が『2000万円は欲しい』と、もっと多くの収入を望んでいます。その一方で、30代で年収500万円未満の人(子どもなし)が『ちょっと旅行や買い物でぜいたくできたり、日々収入について悩まなくてよかったりする状態がちょうどよいのではないかと思う』と、満足しているケースもあります」「結婚後にいくら必要になるか、具体的に計算しよう」――人生いろいろ、夫婦もいろいろ、ということなのでしょうか。たしかに、回答者の中で最も多かったのは、彼氏の年収が20代半ばで300万円なら普通ではないか。投稿者と合わせて600万円だし、しかも地方在住なら生活費が都会より安くすむと、結婚を勧める意見です。たとえば、厚生労働省が今年9月に発表した「2021年:国民生活基礎調査の概況」(図表参照)によると、2020年の1世帯当たりの平均年収は564万3000円、児童のいる世帯の平均年収は813万5000円でした。また、29歳以下の世帯人員1人あたりの平均収入は261万3000円です。これをみると、年収300万円の彼氏が十分頑張っていることがわかりますね。(図表)1世帯当たりの年齢別・階層別平均年収(厚生労働省の『2021年国民生活基礎調査の概況』より)川上さん「日本ではいまだに年功賃金が色濃く残っているため、20代半ばで300万円という年収は必ずしも特別低いというわけではないように感じます。ただ、投稿者さんは『ネットの記事で、子育て世帯の平均年収は800万円超えだと見たことがあり、私の中ではそれが基準になっています』と投稿しています。800万円という数字と比較した時に、自分と彼氏の年収を合わせて600万円という数字が低く見えたということのようです」結婚後にいくら必要になるのか、考えておこう(写真はイメージ)川上さん「しかし、投稿内容を見る限り、世帯年収600万円では足りないと考える具体的な根拠が見受けられません。住宅ローンや生命保険、子どもの教育費、老後資金など、将来設計を考えた時、必要となるお金はある程度計算することができます。投稿者さんは、結婚後にいくら必要になるのか項目を上げて具体的に計算しておらず、600万円という世帯年収で本当に不足しているのかどうか検証ができていないのではないでしょうか」今回の話題について、川上さんのアドバイスも熱を帯びました――。<年下彼氏の年収、自分と同じ300万円と知りショック!人柄とてもいいけど、結婚ムリ?女性の投稿が炎上...結婚は「愛か?お金か?」...専門家に聞いた(3)>にまだまだ続きます。(福田和郎)
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