2024年 5月 7日 (火)

給料は上がらず、物価だけが上がる...悪夢の「スタグフレーション」

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日本だけが30年間賃金が上がっていない

   国民目線で「良いインフレ」というものがあるとしたら、賃金が上がって購買力が高まり、物価上昇率が賃金の上昇幅の中で収まっている場合だ。先進各国の名目賃金がどう推移したかをグラフで示している。

   1991年を各国100として、2020年までで比較している。英国と米国が250に迫り、カナダ、イタリア、ドイツ、フランスが170から210の間まで伸びているのに対し、日本は100を切る水準だ。日本の賃金だけがまったく上昇していない。

   値上げにシビアな消費者に対して、値下げをすることで商品の魅力を訴求することを覚えた企業が、値下げをしても利益水準を保てるように人件費を抑えようと、非正規雇用の割合を増やし、投資を抑えた。

   そうすると、雇用環境が不安定な労働者が増え、値上げにシビアな消費者が増えるので、企業はさらに商品を値下げして売るというデフレの「負のスパイラル」に突入していたのだ。

   コロナ禍でのインフレは格差拡大を加速させる、と森永さんは警告する。

   クレジットカードの決済情報をもとにJCBとナウキャスト社が算出している、消費動向指数「JCB消費NOW」のデータを用いて、コロナ禍における消費はどの品目で強く、どの品目で弱かったかを見ている。

   生きていくうえで不可欠な飲食料品、水道光熱費、医療費は減っていない。一方で、娯楽、外食、宿泊、旅行など余暇の支出は大幅に減っている。

   富裕層からすれば、コロナ禍でそれらに支出することができなくなったため、現金・預金といった資産が増えた。

   そのお金を投資に振り向け、株式などは金融緩和で堅調に値上がりしたため、さらに投資で増えるという好循環となった。コロナ禍におけるインフレは、格差拡大を加速させてしまったのだ。

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