2024年 5月 15日 (水)

「SDGs」と「ESG」の違い、説明できますか?

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

ヒューマン・ヘルスケアを掲げるエーザイ

   日本での事例もいくつか紹介している。

   製薬会社のエーザイ株式会社は、「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することをパーパス(企業理念)」として掲げている。この理念を「ヒューマン・ヘルスケア理念」と呼び、社の定款にも盛り込んでいる。

   環境対策として、2030年までに自社使用電力を再生可能エネルギー100%にすると宣言、2020年度までに、グループの再生可能エネルギー導入率を54.1%まで高めた。また、2040年度までにカーボンニュートラルにすることも宣言した。

   また、社会貢献として、熱帯病の1つであるリンパ系フィラリア症の制圧活動に取り組み、自社で治療薬を開発・製造し、世界保健機構を通じて、蔓延する国の人々に無償提供している。開発途上国・新興国での健康福祉の向上によって、同社の製品を使う中間所得者層が拡大し、企業価値の創造につながるとしている。

   札幌市に本社を置くコンビニエンスストアチェーン「セイコーマート」は、北海道1084店、関東93点を展開している。「生活を支えるパートナーであり続ける」ことを掲げている。地産地消でフードマイレージを押さえ、ふぞろいの野菜など規格外の商品も活用、食品ロスの削減に取り組んでいる。

   また、どんな状況でも地域に食料を供給できるように、地域と協定を結び、災害時にも店舗運営できる防災対策をしている。

   このほかにも、中小企業の取り組みをかずかず紹介している。ESG経営は、大企業が取り組むべき課題と思っていたが、水野さんは「中小企業こそESG経営を採り入れるべきだ」と説いている。世界の企業の90%以上が中小企業であり、その経済活動が世界のGDPの約70%を支えているからだ。

   日本にはいわゆる「老舗」が多い。地域や社会に支えられてきたからこそ、長く続いてきた。ESG経営の考え方は、日本でも受け入れられる余地は大きいのではないだろうか。(渡辺淳悦)

「ESGが生み出す選ばれるビジネス」
水野雅弘著
インプレス
1980円(税込)

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