2024年 5月 6日 (月)

待望のグロース市場上場へ!...note社員の平均給与はいくら? 気になる業績推移や平均勤続年数もチェック

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   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、CtoCメディアプラットフォーム「note」を運営し、2022年12月21日に東証グロース市場に上場が予定されているnote株式会社です。

   noteは2011年12月、ダイヤモンド社で『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』などを手掛けた編集者の加藤貞顕氏が、株式会社ピースオブケイクとして設立。2012年にコンテンツ配信サイト「cakes」を、2014年にメディアプラットフォーム「note」の提供を開始しましたが、「cakes」は2022年8月31日にサービスを終了しています。

  • 今回は「note株式会社」に注目(写真はイメージ)
    今回は「note株式会社」に注目(写真はイメージ)
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売上高は伸びているが慢性的な赤字体質

   それではまず、noteの近年の業績の推移を見てみましょう。

   noteの売上高はここ数期、右肩上がりに伸びています。2021年11月期には18.8億円の売上高をあげており、4期前の2017年11月期の約9倍に急成長しています。ただし、直近の増収スピードは鈍化しているという見方もあります。

   一方で、利益は生み出せておらず、慢性的な赤字体質となっています。2017年11月期以降、黒字の期はなく、2021年11月期の経常損失、当期純損失は、いずれも4億円を超えています。

   損益計算書を見ると、2021年11月期の売上原価は2444万円と小さいものの、販売費および一般管理費は売上高を超える約21億円に上っており、営業損益の時点ですでに赤字です。

   この理由について、会社は「事業拡大に伴い人員採用を積極的に行ったことによる人件費の増加、サービス拡大に伴うインフラ基盤の増強による関連費用の増加や決済手数料の増加など」によるとしています。

   2022年11月期の第3四半期累計期間の損益計算書によると、売上高17億2917万円に対し、販売費および一般管理費はすでに20億7千万円あまりと前期を超えることは確実です。期末までに売上高がどれだけ積みあがるのかも注目されます。

   これに伴い、第3四半期の時点で経常損失が△5億2182万円、四半期純損失が△5億2388万円で、依然として最終赤字が続く見込みが高い状況となっています。

   他の財務指標としては、2021年11月期の営業活動によるキャッシュ・フロー(いわゆる「本業で稼いだお金」)は△6億4686万円とマイナスになっています。この理由について、会社は「現状先行投資が必要なフェーズであると捉えており、開発人員を中心とした優秀な人材の採用等への継続的な投資を行ってきたため」としています。

売上高の8割弱を「note事業」が上げている

   noteの報告セグメントは「メディアプラットフォーム事業」の単一セグメントですが、事業としては「note事業」「note pro事業」「法人向けサービス事業」「その他事業」を展開しています。

   2022年11月期の第3四半期の累計売上高構成比は、note事業が8割弱と大半を占める13.5億円で、次いでnote pro事業が2.2億円、法人向けサービスが8400万円、その他事業が6500万円です。

   主力のnote事業は、CtoCのメディアプラットフォーム「note」によるビジネスで、クリエイターが文章やマンガ、写真、音声、動画等のコンテンツを「note」上で自由に投稿・販売することができ、読者はそのコンテンツを楽しんで応援・購読することができます。

   2022年8月末時点で公開コンテンツ数は2782万件、「note」のMAU(月間アクティブユーザー)は4066万人、累計会員登録者数は550万人、累計ユニーククリエイター数は103万人、ARPPU(購読者一人あたりの平均月間購入額)は2650円となっています。

   noteには投稿コンテンツに広告は表示しておらず、有料コンテンツを読者が購読・利用した場合、当該コンテンツ代金から一定の料率に基づくサービス利用料(事務手数料およびプラットフォーム利用料)を得ています。なお、noteの公開記事のうち有料コンテンツの比率は20.4%(2022年8月末時点)です。

   note pro事業は、「note」の基盤を活用しつつ、企業がオリジナルな自社サイトとして情報を発信できる機能を拡充したメディアSaaSです。有料契約数は2022年8月末時点で564社。月額料金5万円とオプション利用料を得ています。

   なお、note事業やnote pro事業のサブスクリプションサービスから得られる「ストック売上高比率」は、2022年11月期第3四半期で35.6%を占めていますが、2020年11月期第4四半期の44.6%をピークに右肩下がりに落ち込んでいます。

   法人向けサービス事業では、企業とコラボしてテーマに沿ったコンテンツをクリエイターから募集して優れたコンテンツを表彰する「コンテスト」や、イベントスペース「note place」の提供における利用料により収益を得る「イベント運営」を実施。その他事業では、「note」コンテンツの外部配信等副次利用による収入を得ています。

社員の平均年齢35.4歳、平均年収678.7万円

   noteの従業員数は、2017年11月期の21人から、33人、56人、106人、151人と順調に伸び、2022年10月30日現在で179人まで増えています。直近1年間で33人増加した理由については「主に成長拡大に向けた先行投資として、プロダクト機能開発の加速化等を目的とした人員増強に伴う採用によるもの」としています。

   2022年10月末現在の従業員の平均年齢は35.4歳、平均勤続年数は2.2年。平均年間給与は678.7万円です。なお、未上場のためこれ以前のデータはありません。

   noteの採用サイトを見ると、「エンジニア」「PdM(プロダクトマネージャー)」「デザイナー」「事業戦略/事業企画」「セールス&アカウントマネジメント」「マーケティング」「コーポレート」「Organization Success」といった幅広いカテゴリの職種での中途採用が募集されています。

   たとえば「note proソリューションセールス」の場合、無形商材の提案型営業経験(10年以上)、法人営業としての明確な実績がある方などの必須要件があり、想定年収は800?1200万円(45時間分のみなし残業代を含む)。フレックスタイム制(コアタイム11:00?16:00)で、在宅勤務をベースとした「フレキシブル出社制度」を採用しています。

   クリエイターの創作を応援するためのコンテンツ購入費用を年間6万円支給、テック領域における自己研鑽にかかる費用を年12万円まで補助など、CtoCのメディアプラットフォームを運営する会社らしい福利厚生制度もあります。

想定価格は300円で大幅なダウンラウンド上場

   前述したように、noteは2022年12月21日に東証グロース市場に新規上場します。1株当たりの想定発行価格は300円、上場時の時価総額は44億円です。

   株主の状況は、34.87%に当たる569万株を創業者の加藤貞顕氏が所有。次いで、フェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合が11.15%、株式会社日本経済新聞社が6.07%、Image Frame Investment (HK) Limitedが5.94%です。

   このほか、資本業務提携先であるUUUM株式会社、株式会社テレビ東京ホールディングス、BASE株式会社、株式会社文藝春秋のほか、株式会社マイナビ、電通デジタル投資事業有限責任組合、TBSイノベーション・パートナーズ1号投資事業組合、株式会社イードといったメディアパートナーが株主に名を連ねています。

   話題となっているのが、4位のImage Frame Investment(中国テンセントの香港子会社)から調達した直近5月の評価額338億円から大幅なダウンラウンド上場(資金調達における増資時の株価が前回の増資時の株価を下回っている状態で上場すること)となっていることです。

   市況の悪化が原因とはいえ、今後どのような形で事業を増収増益につなげていくのか、売上高の6割にも達する人件費をテコにどの事業で売上利益を上げていくのか。赤字体質を脱却しない限り株価も上がっていきません。

   主力事業のnote事業の成長スピードが懸念される中、法人向けnote pro事業のサブスクリプションサービスに期待が集まっていますが、果たして今後どのような成長戦略を描けるでしょうか。(こたつ経営研究所)

こたつ経営研究会
こたつ経営研究会
有価証券報告書や決算説明書などの公開情報を分析し、会社の内情に思いをめぐらすニューノーマルな引きこもり。昼間は在宅勤務のサラリーマンをしながらデイトレード、夜はネットゲームをしたりこたつ記事を書いたりしている。好きなピアニストはグレン・グールド。嫌いな言葉は「スクープは足で稼げ」。
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