天下取り「3大英傑」を生みながら、去られた愛知県の悲哀
調査チームでは、
「当地ではこのたびのNHK大河ドラマの放映に加え、第1期オープンを迎えた『ジブリパーク』(愛知県長久手市、2022年11月開業)、観光立国推進閣僚会議による『インバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ』の決定のタイミングが重なる。愛知・名古屋の観光産業が誘客を図るうえで非常に強力な追い風となる3つの要素が揃う絶好の機会といえるだろう」
と結んでいる。
ちなみに、名古屋市では例年10月頃、名古屋まつりのメイン行事として祭りを盛り上げるのが「郷土3大英傑行列」だ。愛知県が生んだ織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という3人の天下取りの英傑が、豪華な衣装をまとった「3姫」(濃姫、ねね、千姫)や配下の武将たちを引き連れ、それぞれ数百人の行列が名古屋市内を練り歩く。
地元メディアでは、「織田信長に○○さんが決定!」「千姫には○○さんが!」といった事前報道で盛り上げる。
久しぶりに「3大英傑」の1人、徳川家康が大河ドラマの主人公とあって、来年は大いに盛り上がるだろう。ただし、愛知県民にとって悔しいのは、3人がそろいもそろって郷土(尾張・三河)を捨てて、他県に本拠地を構えて天下を制したことだった。
織田信長は安土城(滋賀県)、豊臣秀吉は大坂城(大阪府)、そして、徳川家康は江戸城(東京都)にと......。ついに徳川の「名古屋幕府」が生まれることはなかったのだ。
「どうする家康」の経済波及効果も、かなりの部分を隣の静岡県(浜松城や駿府城)や栃木県(日光東照宮)、そして何よりも江戸幕府の本拠地である東京都に持っていかれるかもしれない?(福田和郎)