2024年 4月 17日 (水)

今が瀬戸際...「人口減少社会」を企業はどう生き残るか?

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   2022年12月22日付の朝日新聞朝刊1面(東京本社版)に「今年の出生数77万人台 少子化、想定より11年早く」という戦慄すべき記事が載っていた。

   コロナ禍の影響もあり、今年生まれた子どもが昨年より約5%減ったのだ。ちょうど、本書「未来の年表 業界大変化」(講談社現代新書)を読んでいたので、人口減少がもたらすインパクトをいかに軟着陸させるかが、今後の日本の最重要課題だと認識した。

   シリーズ累計90万部のベストセラー、「未来の年表」シリーズの最新刊は、「人口減少社会」を生き抜く処方箋を示している。

「未来の年表 業界大変化」(河合雅司著)講談社現代新書

   著者の河合雅司さんは、ジャーナリスト。産経新聞社客員論説委員のほか、人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授などを務める。一貫して、日本の人口減少とその対策について問題提起している。

日本を襲う人口減と消費減の「ダブルの縮小」

   評者は、「未来の年表」シリーズをすべて読んでいる。今回も、危機的な人口減少の問題が取り上げられることへの心構えはできていたが、本書のいくつかの見出しにはあらためて驚いた。

・物流 運転手不足で10億トン分の荷物が運べない
・寺院 多死社会なのに寺院消滅
・インフラ 水道料金が月1400円上がる
・鉄道 駅が電車に乗るだけの場所でなくなる
・住宅 30代が減って新築が売れなくなる
・公務員 60代の自衛官が80代を守る
・金融 IT人材80万人不足で銀行トラブル続出

   どうしてこういう状況になるのか。河合さんは、「今後の日本は、実人数が減る以上に消費量が落ち込む『ダブルの縮小』に見舞われる」からだ、と説明する。

   海外マーケットに期待し、「うちは影響ない」という経営者も多いが、河合さんは「人口減少の影響を受けない組織や個人は存在しない」と断言する。

   そして、日本が人口減少に打ち克つには、「経済成長が止まらないようにする」。そのためには「戦略的に縮む」ことだ、と提言している。では、どうやって? 本書の第2部が、そのための「未来のトリセツ」を示している。全部で10のステップになるという。以下、見てみよう。

・ステップ1 量的モデルと決別する

   量的拡大というこれまでの成功モデルと決別する必要があるという。国内マーケットが急速に縮小する社会において、パイの奪い合いをしても、誰も勝者にはなれない。人口減少社会では、投資はいずれ経営の重荷になる。一切すべきというわけではないが、今後の人口の変化に応じて、いつでも転用や撤退ができるようにすべきである。

・ステップ2 残す事業とやめる事業を選別する

   追い込まれる前に、戦略性をもって、自ら組織のスリム化を図ることが大切だ。組織の体力があるうちに、「残す事業」と、「やめてしまう事業」を仕分けする。戦略的に縮むことで、人材を伸びる分野にシフトさせていけば、経済成長につなげやすくなる。

・ステップ3 製品・サービスの付加価値を高める

   「残す」ことにした事業は、これまで以上に成果を出すようにしなければならない。そこで求められるのが、製品やサービスの高付加価値化だ。「薄利多売」から「厚利少売」へのシフトである。ヨーロッパの洋服や化粧品、カバンといったブランド品を製造する企業がモデルになる。

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