2024年 5月 6日 (月)

会社としての目標を示しても受け入れない部下...どう対処する?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE18(後編)】(前川孝雄)

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   「前川孝雄の『上司力(R)』トレーニング~ケーススタディで考える現場マネジメントのコツ」では、現場で起こるさまざまなケースを取り上げながら、「上司力を鍛える」テクニック、スキルについて解説していきます。

   今回の「CASE18」では、会社としての目標を示しても受け入れない部下のケースを取り上げます。

  • 会社としての目標を成し遂げるために、上司がすべきことは?
    会社としての目標を成し遂げるために、上司がすべきことは?
  • 会社としての目標を成し遂げるために、上司がすべきことは?

上司にとって重要な「会社とのコミュニケーション」

   <会社としての目標を示しても受け入れない部下...どう対処する?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE18(前編)】(前川孝雄)>の続きです。

   上司は、組織の横や下だけでなく、会社の上層部と適切にコミュニケーションを取ることも重要な役割の一つです。言ってみれば、上司は車のシャフトやギアのようなもの。エンジンとタイヤだけでは、車は動きません。上司が間に立って、その役割を果たすことで、はじめて会社という車が走行できるのです。

   このようなたとえ話をすると、「結局、上司はしがない中間管理職ということか」と思うかもしれません。しかし、あなたは単なる「つなぎ役」ではありません。会社が期待していることは、あなた自身が、自分の意志を持って、会社を動かす要の役割を果たすことなのです。

あなた自身が、しっかりした意志を持つこと

   私は企業の経営者や管理職である上司層の方、現場社員など、さまざまな層の人と話をする機会があります。そこでいつも感じるのは、「上司である中間管理職は部下に不満を持ち、幹部管理職は中間管理職に不満を持ち、取締役は幹部管理職に不満を持ち、社長は取締役に不満を持ちがちである」ということ。不満に多いのは、「上位の人が期待するより、下位の人が自分の役割を過小解釈している」ことなのです。

   あなた自身は、思い当たることがありませんか? 「部下がいちいち『これでいいですか』『あれはどうしましょう』とお伺いを立ててくる。もっと自分の意志を持って、自主的に動いてくれればいいのに...」と感じませんか。あなたが部下に期待する役割について、部下自身は過小評価しているのです。

   これと同じことは、中管理職や現場責任者にも当てはまります。幹部管理職から見れば、あなたが自分の裁量を狭めていることが多いのです。

   そこで、自分に期待されている働きを理解するためにも、上層部と十分なコミュニケーションを取ることです。何よりあなた自身がしっかり意志を持つことを心得ましょう。

現場の情報を上位者や経営層とすり合わせる

   会社組織では、階層が上になるほど、大局観を持って、長期の方針決定をすることになります。ただし、その手掛かりとなるのは、やはり現場の今の顧客や市場の状況です。

   大企業の経営者は顧客との接点を直接持つことは少ないですから、経営者が的確な決断をするには現場から情報を上げていく必要があります。現場情報の還流なくして、トップダウンで物事が決まっていく企業は、経営者が「裸の王様」となり、経営のかじ取りを誤ることになりかねません。

   現場と経営層との間に情報が行き来する健全な回路を作り、現場の現実を上層部に伝え、上層部のメッセージをわかりやすく現場に伝える。現場の上司には、意志を持った翻訳者としての重要な役割が期待されるのです。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

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