2024年 5月 1日 (水)

久々にゆっくり自分の時間が持てる年末年始...どう過ごす?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE19(前編)】(前川孝雄)

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   「前川孝雄の『上司力(R)』トレーニング~ケーススタディで考える現場マネジメントのコツ」では、現場で起こるさまざまなケースを取り上げながら、「上司力を鍛える」テクニック、スキルについて解説していきます。

   今回の「CASE19」では、久々にゆっくり自分の時間が持てる年末年始をどう過ごすか?...有効活用の方法を取り上げます。

  • 年末年始を有意義に過ごそう(写真はイメージ)
    年末年始を有意義に過ごそう(写真はイメージ)
  • 年末年始を有意義に過ごそう(写真はイメージ)

「課長は年末年始、どう過ごしますか?」

【上司】この案件が一段落すると、いよいよ今年も仕事納めだ! 皆もよく頑張ったな~。やっとゆっくり休めそうだ...。AさんとB君は年末年始、どう過ごすの?
【Aさん】私はビジネス英会話の検定が来年早々にあるので、目標達成に向けて詰めの予習を頑張ります!
【上司】そうなのか~! Aさんはさすが勉強家だから、大したもんだな...。で、B君は?
【B君】実は、僕、オンラインのキャリア・コンサルタント・コースを受講中なんです。最終レポートのテーマが「パーパス経営とキャリデザイン」。いよいよ仕上げに向けて、ラストスパートですね~。
【上司】「えっ!?、キャリア・コンサルタント...パーパス経営って...。君もいつの間に、そんなことを...」
【Aさん】それで、課長は年末年始、どう過ごされるのですか?
【上司】あっ、僕ね...。うん、実は...ふだん時間がなくて、なかなか取り組めなかった古典本の大作を読破しようかと思ってね~(...ホントは「のんびり映画を見ながらゴロ寝正月...」なんて、言いにくいからな...)

1年の計を考える年末年始! キャリアアップに効く本の読み方・使い方

   1年の仕事を終えた後の、年末年始の久々の連休。忙しかっただけに、ゆっくりとリフレッシュしたいものですね。CASEでは、上司が部下に慰労の言葉をかけながら、年末年始の過ごし方に思いを馳せましたが、部下の意外なプランに少々戸惑ったようです。

   そこで、上司の皆さんにとっての有効な過ごし方のアイデアをお届けします。ぜひ参考にしてみてください。

   年末年始は、去る年を振り返り、新たな1年の計を立てる時期。忙しい日頃なかなか取り組めない、今後のキャリアやライフワーク探求のための「学び」の時間もじっくり持ちたいものです。そこで、まずお奨めするのはインプット学習の王道である読書。キャリアアップに効く、本の読み方・使い方をお伝えしましょう。

◆本ほどお得な学びはない!

   多種多様に刊行されている本ですが、決して正解が書かれているわけではありません。高名な研究者や各分野第一人者の書籍であっても、あくまで著者の持論が記されているものです。とはいえ、その道の専門家が長年蓄積してきた知識や人生経験が凝縮されています。

   この貴重な情報を新書なら1000円以下、ハードカバーでも2~3000円前後で入手できるのです。3000円の本は高めと思いがちですが、一度飲みに行けば使ってしまう金額。そう考えると、本ほどお得な学びはありません。

   キャリアを考えるための参考図書の探し方には、いくつか方法があります。たとえば、コンサルタントの仕事に興味があるなら、まずはコンサルティングに関する入門的な本を読めば、アウトラインやポイントがつかめます。

   入門書を手っ取り早く探すには、Amazonなどで、「職種名(またはジャンル名)入門(または実務)」と入力し、キーワード検索をしてみることです。数が多く選択に迷う場合は、ランキングやレビュー数や支持コメントなどを参考に、定番と思われる本を探しましょう。 また、共感する著者の本ばかりでは、視点が偏りがちになります。あえて異なる主張の本も読み、同じ分野の多様な考え方や意見を知ることも大切です。

名著・バイブルから「芋づる式」に読む

   学ぶ分野での名著、バイブル、古典とされている本もぜひ押さえておきたいところ。たとえば、経営学ならピーター・F・ドラッカーの『マネジメント』などですね。こうしたジャンルを代表する本は、その仕事や分野についてネットで調べる中で、あるいは入門書を読む中で何度か書名を目にするので、チェックしておきましょう。

   その場合、原典の翻訳書から読むか要約書を先に読むかは、いずれでもよいと思います。ただ、要約書で興味を惹かれたら、著者の考えを正しくつかむためぜひ原典を読みましょう。また、原典の翻訳書の文章が読みにくい場合には、原典を読んでから要約書で復習するのも有効です。

   こうした図書には、著者が学び参考にした文献が引用されている場合が多いもの。それを手掛かりに、芋づる式に関連図書を読んでいくことも役立ちます。

   そのほか、すでに気になっている分野の先行者がいるなら、まずその人が書いた本をチェックしましょう。また、業界団体などのホームページを調べて、推薦書が掲載されていれば、その本も要チェックです。業界の最新動向や相場観を知るには、Amazonの該当するジャンルのランキング上位の本を上から順に選ぶのも、いい方法です。

   こうして選択した本を「全部で10冊読む」ことを、まずは自分に課してみましょう。それだけでも、その業界・仕事や分野への理解がかなり進むはずです。

本を「自分仕様の教科書」に変える

   効果的な読書のポイントは、「読み方」にあります。正確には、「使い方」と言ってもいいでしょう。

   図書館を利用した読書もよいのですが、余暇の娯楽用ならともかく、自分のキャリア磨きのための本は購入を強くお奨めします。なぜなら、本は読むだけではなくどんどん書き込み、自分仕様の教科書に変えてしまうべきだからです。

   以前、ベストセラー『東大合格生のノートはかならず美しい』(文芸春秋)の著者である太田あやさんにお話をうかがった際、ある東大生のノートを見た時の感想を、次のように述べていました。

   「すべての知識がちゃんと有機的につながっていて、ページの中で物語がきちんと完結している」と。そして、ある東大生いわく、「ノートは、近い将来見直す自分のために書いているんです。だからこそ、未来の自分に気を遣って書かなければ、ノートって意味がない」とのこと。私の読書法の提案も、同じ趣旨です。

   本を何冊読んでも、読んだそばから中身を忘れては意味がありません。

   そこで、本の著者と対話をするつもりで、疑問点はそのつど本に書き込みましょう。共感し、腑に落ちた記述には線を引き、重要なページには折り目を付けるなど、本を徹底して使い倒しましょう。単に読み流すより、学びの質がグンと上がるはずです。

   また、読み終わったら、要約や重要ポイントと感想を、メモアプリやブログなどに記録するとよいでしょう。

   インプット(読書)には、必ずアウトプット(要点整理、感想記録)を組み合わせるのが学びの鉄則。さらに、仲間同士で読んだ本についてプレゼンし合う場を定期的に設け、習慣化するのも学ぶモチベーション維持にもなるためお奨めです。

   年末年始は読書を通じて、新年の抱負、さらには中期視野で自分の人生を考えてみませんか。

   さて、読書で学習と内省を行った後、新年初頭にかけてもう一つ、有効な過ごし方を提案しましょう。これについては、<久々にゆっくり自分の時間が持てる年末年始...どう過ごす?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE19(後編)】(前川孝雄)>で解説していきます。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の上司力~「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく』(大和出版、2020年10月)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

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