2024年 5月 1日 (水)

ガス代36%、ハンバーガー18%値上がり...東京23区消費者物価が40年ぶり高水準! エコノミストが指摘「暮らしへのマイナス影響が長引く」

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   物価高騰が止まらない。

   総務省が2023年1月10日に発表した東京23区の昨年(2022年)12月の消費者物価指数(中旬速報値、20年=100)は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103.9で前年同月比4.0%上がった。

   11月の3.6%から伸び率が拡大した。4%台となるのは、第2次石油危機時の1982年4月(4.2%)以来、40年8か月ぶりの高水準だ。このままインフレが加速するのだろうか。

  • どんどん物価が上がっていく(写真はイメージ)
    どんどん物価が上がっていく(写真はイメージ)
  • どんどん物価が上がっていく(写真はイメージ)

第1次石油危機後の物価高騰並みの食料品値上げ

   東京23区の指数は全国の指数に先立って発表されるため、先行指標として注目されている。全国の指数は1月20日に発表される。

   総務省が発表した「東京都区部2022年12月分速報値」や、報道をまとめると、4%の上昇となった主な要因は、食料品の相次ぐ値上げだ。「生鮮食品を除く食料」は前年同月に比べて7.5%も上昇した。これは、第1次石油危機後の世界同時不況からの回復期に物価が上昇した1976年8月以来46年4か月ぶりの高水準だ。

(図表)東京都の消費者物価総合指数の動き(総務省の公式サイトより)
(図表)東京都の消費者物価総合指数の動き(総務省の公式サイトより)

   具体的には、「食用油」(32.5%増)、「焼き魚」(24.6%増)、外食の「ハンバーガー」(18.3%増)、「あんパン」(18.4%増)、「炭酸飲料」(15.6%増)、「輸入牛肉」(13.1%増)などが上昇した。

   エネルギーをみると、「ガス代」(36.2%増)、「電気代」(26.0%増)などが上がったほか、東京23区のタクシー運賃(14.4%増)も値上げされた。また、交通・通信費では「携帯電話機」(22.1%増)も押し上げに影響を与えた。

   総務省は「4%台の上昇率となった背景には、スーパーなどの小売り現場でも値上げの動きが広がっていることがある。物価の動向を引き続き注視したい」などとコメントしている。

マクロ経済では、値上げは「高齢者から現役世代への所得移転」?

ハンバーガーなど外食の値上げが響いた(写真はイメージ)
ハンバーガーなど外食の値上げが響いた(写真はイメージ)

   こうした状況をエコノミストはどう見ているのだろうか。

   ヤフーニュースのコメント欄では、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が、

「財とサービスに分けてみると、財価格が前年比プラス7.9%と諸外国並みに上昇する一方で、賃金動向に連動性が高いサービス価格は同プラス0.9%しか上昇しておらず、引き続きコストプッシュの様相が強い状況に変わりありません。
ただ、すでに国際商品市況は下がっていますし、円安もピークアウトしていることに加えて、2月分以降で政府の物価高対策により電気ガス料金が2割程度下がりますから、そろそろインフレ率もピークアウトでしょう」

という見通しを示した。

   同欄では、同じく第一生命経済研究所主任エコノミストの藤代宏一氏がユニークな見方を示した。

「見方を変えると、値上げは『高齢者から現役世代への所得移転』です。企業が値上げを我慢するために賃金を抑えると、現役世代(企業)の所得は増えません。一方で、値上げをすると高齢者の負担は重くなる一方で、現役世代(企業)の所得が(過度に)削られることは回避されます。『値上げ=生活苦』という議論ではありません」

と、値上げの動きをマクロ経済の面から見ることを勧めた。

家計調査では支出が減少、財布をしっかり締める姿が露わに

家計をどうやって締めていくか?(写真はイメージ)
家計をどうやって締めていくか?(写真はイメージ)

   一方、日本経済新聞オンライン版(1月10日付)「東京都区部の物価4.0%上昇 22年12月、40年8カ月ぶり」という記事に付くThink欄の「ひと口解説」コーナーでは、政府の規制改革推進会議議長も努める大槻奈那・名古屋商科大学大学院教授(金融論)が、インフレへの警戒を示した。

「市場では、この4%近辺がピークと見る向きが多いですが、仮にそれが正しかったとしても、沈静化のスピードが問題です。昨年8%強まで上昇した米国のCPI(消費者物価指数)も、沈静化は緩やか、想定より緩慢です」

   こう指摘したうえで、今後については、

「日本では、一部の交通費など、まだ来月以降に値上げが予定されている品目も多く、コロナからの回復も本格化はこれから。想定よりも長引いた場合、暮らしへのマイナス影響も長引き、インフレ予想が上昇してしまう可能性があるため、当面の動向はこれまで以上に注視すべきでしょう」

と、市場の4%くらいがピークという見方に警鐘を鳴らした。

電気・ガス代の値上げも大きい(写真はイメージ)
電気・ガス代の値上げも大きい(写真はイメージ)

   同欄では、日本経済新聞社特任編集委員の滝田洋一記者も、

「気がかりなのは、『食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合』つまり米国版コア物価の上昇率です。11月の1.2%に続き、12月も1.3%にとどまっています。食料とエネルギーの価格上昇のあおりで、家計が支出を切り詰めていると考えられます。
この日発表された(総務省の)11月の家計調査でも、2人以上の世帯の消費支出は28万5947円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1.2%減少しています」

と、消費の低迷を危惧。つづけて、

「消費支出の減少は6カ月ぶりで、物価の上昇に伴い、家計が財布を締めて、締めている様子がうかがえます。春闘を控えて、岸田文雄首相のいう『物価上昇に負けない賃上げ』が重要性を増しています」

と賃上げに期待を示した。(福田和郎)

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