2024年 5月 7日 (火)

セールスパーソンに欠かせない「質問力」...ニーズの核心を突く、聞き出し方とは?(大関暁夫)

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「予備調査」をしっかりおこない、奥行きのある質問を

   ここでの「予備調査」は、前回説明した「3Cトライアングル」における下のトライアングルが必要事項です。

   具体的には、「自社商材に関する十分な知識」、「相手先企業の基本事項(業種、ポジショニング、沿革、業界情報等)」、「考え得る自社の競合先と想定されるその提案」――この3つが重要です。加えて、インサイドセールス部隊がどのようなアプローチをして、どのように関心を示してくれたのかについても、しっかり情報共有することは当然です。

   「自社商材に関する十分な知識」は、これがないと、的確な質問ができないという「質問力」養成の必須要素です。商品知識がないと、なぜヒアリングうまくいないのかといえば、人間は自分が持っている情報や知識の範囲内でしか質問ができないからです。

   テレビのインタビューや対談番組などでも聞き手が「下手くそ」だと感じる時は、大抵その人の知識が不足しているのです。営業ヒアリングの場において、もし質問内容が陳腐であったなら、相手からこの聞き手は知識が浅いと思われてしまい、「ヒアリング」ステップは不調に終わってそこから先には進めなくなるでしょう。

   一方「相手先企業の基本事項」は、初対面での「カットイン」時の予備知識として不可欠です。

   この予備知識を織り込みながら、「御社のことを知っています」「関心を持って調べてきました」という話から始めることは、営業折衝における「イロハのイ」です。

   相手からすれば、自社に関心を持ってくれているという事実は、営業マンが誰にでも一律のセールスをしているわけではなく、自社のことを調べた上で「役に立てそうだ」と思ったから声を掛けてきた、という印象を持たせることにつながります。そうすると、ヒアリングに協力的になる条件が整うのです。

   ヒアリングでの最大の目的は、質問を重ねて、ニーズに関してより核心に近づくことであり、相手の回答により多くの必要情報を盛り込ませるような聞き方が必要です。

   ここで「質問力」の差が出るわけなのです。「質問力」の大前提は、非定型質問を基本としてヒアリングを仕掛けるということです。

   非定型質問とは、「YES」「NO」で答えることが出来ない質問です。逆に「YES」「NO」で答えられる定型質問、たとえば、「...の理由は〇〇でしょうか?」というような問いかけでは、「そうですよ(YES)」と答えられた段階で、やり取りが完結してしまいます。すると、聞き手が手詰まりになる可能性が高くなってしまうのです。

大関 暁夫(おおぜき・あけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役 企業アナリスト
東北大学経済学部(企業戦略論専攻)卒。1984年、横浜銀行に入行。現場業務および現場指導のほか、出向による新聞記者経験を含めプレス、マーケティング畑を歴任。全国銀行協会出向時には対大蔵省(当時)、対自民党のフロントマンも務めた。中央林間支店長に従事した後、2006年に独立。銀行で培った都市銀行に打ち勝つ独自の営業理論を軸に、主に地域金融機関、上場企業、ベンチャー企業のマネジメント支援および現場指導を実践している。
メディアで数多くの執筆を担当。現在、J-CAST 会社ウォッチ、ITメディア、BLOGOS、AllAboutで、マネジメント記事を連載中。
1959年生まれ。
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