職場からマスクが消える日がやって来ようとしている。政府は2023年3月13日から「マスク着用は、屋内であっても個人の判断が基本」という方針を打ち出したからだ。そんななか、働く女性のホンネを探る調査機関「しゅふJOB総研」(東京都新宿区)が2月7日、「屋内でもマスク不要になったら、職場での着用の意識調査」を発表した。それによると、4割以上の女性がマスクを外すと答え、「マスク不要派」が多数を占めた。さあ、「自己責任」に委ねられたマスク着用。あなたは、職場で外しますか?通勤ラッシュ時や医療機関に行くときはマスクを政府は2023年2月10日に新型コロナ対策本部で、これまでマスクの着用について「屋外では原則不要、屋内では原則着用」としてきたが、3月13日から「屋内・屋外を問わず個人の判断を基本とする」という方針を決定した。そのうえで、特にマスク着用を推奨する3つのケースに注意を呼びかけた。厚生労働省公式サイト「令和5年3月13日以降のマスク着用の考え方について」によると、具体的には次のケースではマスク着用が効果的だとしている【図表1参照】。3月13日から、マスク着用は個人の判断が基本(厚生労働省公式サイトより)(1)新型コロナの感染拡大時に、高齢者や基礎疾患のある人、妊婦など重症化リスクの高い人が混雑した場所に行く時。(2)一般の人が、医療機関や高齢者施設などを訪問する時。(3)一般の人が、通勤ラッシュ時など混雑した電車やバスに乗る時。この3つのケースだ。そして、「本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、個人の主体的な判断が尊重されるよう、ご配慮をお願いします」と呼びかけている。「マスクのおかげで、風邪をまったくひかなくなった」マスク着けますか、外しますか(写真はイメージ)「しゅふJOB総研」の調査は、政府がマスク着用に関する新方針を決定する前に行われた。そこで、「屋内でもマスク着用不要になったら」という仮定のかたちで、「職場でマスクを着用するか」と聞くと、「周囲の人と十分な距離がとれていれば着用しなくてよい」(32.0%)と「周囲の人との距離に関係なく着用しなくてよい」(9.6%)を合わせて、「着用しなくてよい」とする回答が4割以上の41.6%に達した。「周囲の人と十分な距離がとれていても着用すべき」は約3割の32.2%、「一概には言えない」が26.2%と、「マスク不要派」が多数を占める結果となった【図表2】。屋内でもマスク原則不要という方針が出たらマスクを外すか(しゅふJOB総研調べ)これを年齢別にみると、「マスク不要派」は30代で52.1%、40代で42.6%、50代で40.6%、60代以上で35.9%と、若い世代ほど多くなる結果となった【図表3】。屋内でのマスク着用の有無、年代別比較(しゅふJOB総研調べ)フリーコメントでもさまざまな意見が寄せられた。まず、「着用すべき」とする声をみると――。「目に見えないウィルスとの共存では、まだマスクを外すことは危険にさらされる思いがあって安心できない」(60代:派遣社員)やはり気持ちとしては、まだ新型コロナを不安視する声が目立った。また、仕事の面からマスクが必要とする人も多くいた。「高齢者や基礎疾患のある方と接する仕事なので着用したい」(40代:パート)「私は、福祉施設でパートをしており、なかには基礎疾患のある方もいるので、しっかりマスクをして対策しなければいけない。医療、介護、福祉に従事する人は、同じような考えを持っていると思う」(40代:パート)また、「職場の上司が鼻マスクをしていて、コロナ感染しました。そのせいで年末の一番忙しくて大変な時期に、社員パート全員が残業する羽目になりました」(50代:パート)と、感染者が出て被害を被った人もいる。さらに、「マスクを使用するようになってから、風邪をまったくひかなくなり、快適だから」(50代:パート)「鼻炎になりやすく、もともとマスク常備していたので、これからも続けます(60代:パート)などと、新型コロナ予防以外の面でマスクの効用を挙げる人もいた。最後にこんな指摘も。「マスクを着用すべきと考える人と、着用しなくてもよいと考える人が対立してトラブルが起こるなら、着用すべきと統一してしまったほうが無駄なトラブルを回避できる」(50代:パート)「息苦しさや、表情が見えないストレスが大きい」マスク外してスッキリ!(写真はイメージ)一方、マスク不要派の意見では、マスク着用のストレスを訴える声が多かった。「もうそろそろマスクのない社会に戻りたい」(40代:派遣社員)「マスク着用の有効性に比べ、息苦しさや表情が見えないなど負担が大きい」(40代:派遣社員)「もともとマスクは嫌い。コロナはなくならないので切りをつけるべき。息苦しいし暑い。ストレスになっている」(60代:パート)「マスクをしていることで、体調によっては息苦しくて仕事の効率が落ちていると日々感じている。一瞬でもはずすと、ラクに息が吸えて雲泥の差を感じる。換気に気をつければ充分だと思うし、気になる人は付ければいい」(30代:パート)また、マスクの効用を疑問視する意見も目立った。「マスクに効果があるなら3年も終息しないのはおかしい。マスクの着用はデメリットが多すぎる」(30代:パート)「昨年、欧米のどちらでもノーマスクで生活して、特に問題がなかった。そのほうが心身ともに健やかだった」(50代:自営業)このように、欧米で体験したマスクなし生活の快適さを強調する人もいた。今回の調査について、しゅふJOB総研研究顧問の川上敬太郎氏はこうコメントしている。「主婦層を中心とする就労志向の女性に、屋内の職場で仕事する際のマスク着用についてどう考えるかと尋ねたところ、『着用すべき』という回答より、『着用しなくてよい』という回答のほうが上回りました。フリーコメントにもさまざまな声が寄せられており、マスク着用に対する見方が人それぞれであることがうかがえます。政府から屋内でもマスク着用は不要という見解が出たとしても、当面はマスク着用に対するスタンスは分かれそうです。引き続き政府からは新型コロナ感染拡大を防止するための注意点などの丁寧な情報提供は必要とされるのだと考えます」調査は2023年1月26日~2月2日、求人サイト「しゅふJOB」の登録した女性にインターネットを通じてアンケート、522人から回答を得た。(福田和郎)
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