落ち目なのに...なぜ弊社は変われないのか?

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   「なぜ、うちの会社は変わらないのか」。事業は落ち目で、将来じり貧になることは分かっているのに、変革のプロジェクトがうまく行っていない会社は多いだろう。

   本書「企業変革(CX)のリアル・ノウハウ」(PHPビジネス新書)は、ドラマ仕立てでCX(コーポレートトランスフォーメーション)の真髄を説いた、ユニークなビジネス書だ。

「企業変革(CX)のリアル・ノウハウ」(木村尚敬・小島隆史・玉木彰著)PHPビジネス新書

   経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)マネージングディレクターの木村尚敬さん、同マネージングディレクターの小島隆史さん、同共同経営者(パートナー)マネージングディレクターの玉木彰さんの共著。木村さんらは、多くの企業のCXを手伝ってきた。

CXは既存のビジネスモデルを自ら積極的に「破壊する」

   多くの会社で取り組まれている経営改革は、既存ビジネスモデルの改善・改良、あるいは軌道修正にとどまる。

   それに対してCXとは、時に既存のビジネスモデルを自ら積極的に破壊するといったような、非連続な変化を伴う成長に向けての企業変革を意味する。

   CXを進めようとすれば必然的に、社内ではさまざまな問題が起こり、数々の対立が生まれるものだ。改革に無関心なトップ。動かない現場。そして、抵抗勢力はあの手この手で改革をつぶそうとしてくる。

   そうした対立や葛藤をどのように乗り越えていくのかが、CXの要諦である。

   そこで、業界がじり貧に陥る中、なかなか変わることができない「ゆでガエル」状態の大企業、もう1つは、ワンマン社長に振り回される地方の中小企業をモデルにした2つのストーリーを用意して、CXの進め方を解説している。

   最初に登場するのは、創業100年を超える老舗出版社の大昭和出版。業界で五指に入り、財務状態にまだ余裕はあるが、もう20年以上業績は横ばいだ。

   特に、雑誌の落ち込みがひどい。そう遠くないうちに赤字に転落しそうだ。経営企画部長の石原は、中期経営計画の策定にあたり、ドラスティックな改革案をつくることにした。友人のコンサルタントに相談し、CXしかないと決意する。

   経営改革は事業の成長であるのに対し、CXは事業の創造的破壊を意味する。CXのプロセスは4つのフェイズに大別される。

1 事業実態の「見える化」
2 事業の再定義・組織構想
3 事業戦略策定
4 KPI(重要経営管理指標)設定・定着

   上司の経営企画本部長を説得し、役員検討会でCXによる中期経営計画を提案する。それにあたり、かつて上司だった事業本部長を通じて、社長に「根回し」をしていた。

   プレゼンの翌日、ゴーサインが出て、CX推進室が立ち上がり、石原がプロジェクト・リーダーになる。実は、こうした「根回し」も大切だという。

   事業部ごとのPL(損益計算書)をつくったところ、大きな赤字を垂れ流している雑誌が2つ見つかった。どちらも看板雑誌だったが、撤退を提案すると、騒然となった。

   石原は雑誌をコンテンツ化すると宣言。新たな組織図を示し、雑誌はコンテンツ事業部のコンテンツの1つとなり、事業部ごとの管理会計を導入する、と説明した。社長もこのCXに同意した。紙の雑誌、書籍以外の事業がカギとなりそうだ。

   ここまでが、上記のフェイズ2で、ここから事業別戦略の策定、運用ルール策定、さらに新体制始動、KPI設定・定着と次のフェイズに進む。

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