2024年 5月 19日 (日)

バフェット氏、日本投資は「心地よく」「うれしい驚き」! 海外メディアが報じた「来日時コカ・コーラ会合」の行方(井津川倫子)

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   米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が、自身が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイの株主総会で「日本推し」の姿勢を鮮明にした、と報じられています。

   これまで保有していた台湾企業の株を手放す一方で、日本の大手商社株を買い増したことから、「バフェットの関心は台湾より日本だ!」と、海外メディアも大注目!

   「次の投資先」はどの企業なのか、「投資の神様」の発言から、本音を探ってみました。

カリスマ投資家が本音をポロリ? 「日本商社株はばかげた価格で...」

   バフェット氏が会長で最高経営責任者(CEO)を務めるバークシャー社の株主総会は、同氏の出身地でもある米国ネブラスカ州の小さな町・オハマで開催されました。人口わずか50万人足らずの小さな街に、世界中から数万人が押し寄せたことからも、注目度の高さが伝わってきます。

   とりわけ今回は、経営トップのバフェット氏が92歳、副会長のチャーリー・マンガ―氏が99歳と高齢なこともあり、「両氏が登場するのはこれが最後かもしれない」と、多くの株主で会場が埋め尽くされたと報じられています。

   当日は、午前7時(!)の開場前から株主たちが列をなし、開場と同時に良い席を確保しようとアリーナ席を目指す人もいるなか、9時過ぎに姿を現したバフェット氏は、なんと6時間も質問に答え続けたというから驚きです!

   AIの行方や米銀の破綻など、さまざまな質問が投げかけられましたが、日本投資に関する発言には海外メディアも注目していました。

Buffett says more comfortable with investments in Japan than Taiwan
(バフェットは、台湾よりも日本に投資する方が心地よい:ロイター通信
be comfortable with~:~が心地良い、快適だ、好きだ

   「comfortable」は、「心地より」「快適だ」「安心する」といった意味ですが、こうした場面で使うのは新鮮です。

   最近、バークシャー社が、日本の大手商社5社の株式保有率を引き上げる一方、台湾積体電路製造(TSMC)の株式を大量に手放しました。

   バフェット氏は、台湾株を手放した理由を「米中関係の悪化」としています。「日本株に投資する方がより安心できる」といった気持ちを「comfortable」に込めているのでしょう。百戦錬磨のカリスマ投資家の本音が伝わってくる表現です。

   また、バークシャー社が伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の株式保有比率を引き上げていることに投資家の視線が集まっていますが、進捗状況は「サプライズ」だとも語っています。

We have been "more than pleasantly surprised" at their progress
(彼らの進捗ぶりには、うれしい驚き以上のものを感じている)

   米ブルームバーグ通信は、バフェット氏は日本商社株への投資で、すでに45億ドル(約6000億円)を稼いだと報じていましたが(2023年4月時点)、同氏の追加投資が報じられた後はさらに株価が上がっています。

   「pleasantly surprised」(うれしい驚き)という同氏の発言が、つい、「日本投資は、儲かってウハウハだよ」と聞こえてしまうのは、私だけでしょうか。

   実際、バフェット氏は米メディアのインタビューで、2020年に初めて日本商社株に投資した時のことを次のように語っていました。

They were selling at what I thought was a ridiculous price
(それらの企業は、私がバカげた価格だと思うほど安く売られていた:米CNBC)

   数々の発言をつなぎ合わせると、「ridiculous price」(バカげた価格)で日本に投資したら、「pleasantly surprised」(うれしい驚き)以上の成果を得られて「comfortable」(心地よい)、というバフェット氏の本音が透けて見えます。

   日本語に訳されていない「生の声」には、本音があふれていて面白いです。

日本トップ企業のエリートが集結! オーストラリア経済紙が報じた、来日時の「コカ・コーラ会談」とは?

   バフェット氏の日本投資について、英経済誌エコノミストは「What makes these Japanese firms so appealing?」(なぜ、日本企業が魅力的なのか)と題した記事のなかで、バフェット氏が好むコカ・コーラ社やアップル社のように「消費者製品を持たない」という日本商社の特異性を指摘しています。

   それでは、なぜ、バゲット氏は日本の商社に「目をつけた」のでしょうか。

   オーストラリアの経済紙は、バフェット氏と日本企業幹部との会合を、次のように「暴露」しています。

How Coke helped fuel Buffett's big bet on Japan
(コカ・コーラが、バフェットの日本への大きな賭けをたきつけた:オーストリア経済紙)
fuel:火をつける、あおる

   同紙によると、先日バフェット氏が来日した際、「Japanese executives from some of the country's most elite firms」(日本のトップエリート企業の幹部たち)が、宿泊先の高級ホテルスイートルームに集結したとのこと。

   会合でふるまわれたのはなんと、シャンパンでもワインでもなくコカ・コーラ! 日本を代表するエリートたちが、バフェット氏の主要投資先でもあるコカ・コーラを飲みながら、92歳の「投資の神様」に、次々と日本企業へのさらなる投資を訴えた、と報じていました。

   「コカ・コーラ」の威力がどこまで影響したかわかりませんが、多種多様な企業と取引がある総合商社を窓口にして、日本企業への投資を加速する戦略だと、同紙は分析しています。

   日本を代表する経営者、ファーストリテイリング創業者の柳井正氏も先日行われた同社の決算報告会の傍らで、「商社はあらゆる企業にコンタクトを取ることができる点で、日本市場のガイドになりえる」と、同じような見解を示したと報じられています。

   「コカ・コーラ」会合がさらなる日本投資の引き金になるのか、世界中の投資家がコカ・コーラを飲みながら見守っているかもしれません。

   それでは、「今週のニュースな英語」「comfortable with」(~に心地よい)を使った表現を紹介します。

We feel comfortable with one another
(お互い、居心地の良さを感じている)

I'm not comfortable with your proposal
(あなたの提案には賛成しかねます)

   なぜかオーストラリアのメディアが「暴露」した「コカ・コーラ」会合。出席者の顔ぶれはわかりませんが、コカ・コーラのさわやかさを味わえたのか、それとも苦みに思わず顔をしかめたのか...。バフェット氏の反応次第で味わいも異なったことでしょう。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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