大阪の人は、ちょっと押しつけがましいけど、コミュ力は抜群!
ここ数年の「住みやすい街ランキング」を見ていると、ニューヨークやボストン、ロサンゼルスといった米国の大都市や、ロンドンやパリのような人気観光地は上位に入っていないことに気がつきます。日本の都市でも北海道や京都、神戸はランク外ですから、「行ってみたい都市」と「住みやすい都市」は違うのでしょうか。
「住みやすい都市」上位に選ばれた街は、比較的コンパクトなサイズです。トップに選ばれたウイーンもそうですが、歩いて回れるほどの規模感で、大きなデパートやオフィスビル群はあまりありません。地下鉄やバス、電車などの公共交通機関が充実している点も、ランキング常連都市に共通している特徴です。
また、劇場やコンサート会場、美術館など文化施設が多いなど、歴史を身近に感じられる環境が評価される傾向にあるようです。ちなみに、大阪は、「京都や奈良などの古都に気軽に行ける」点が高く評価されていました。
さらに、ウイーンのカフェ文化や大阪の「粉もん文化」のように、手ごろな価格でおいしいものを楽しめる点も重要な要素のようです。もしかしたら、「高くてまずい」が代名詞の英国の機関が調査していることも、関係しているのかもしれません。
個人的には、外国人にとって一番の大阪の魅力は、関西人のコミュニティー能力の高さだと思っています。相手が誰でも物おじせずに、関西弁を駆使して会話をしようとする押しの強さは天下一品!
実際、英BBCは、「大阪の人は、ちょっとintrusive(押しつけがましい)けど親切で人懐っこい」という、大阪在住の英国人のコメントを取り上げていました。相手が英語をしゃべっていようがおかまいなく、ぐいぐい関西弁で話かけるくらいの押しの強さが、「世界基準」ではちょうどよいのだと思います。
また、「エコノミスト」の調査が、冬に行われていることも大阪にとってプラスに働いていると推測します。夏の蒸し暑い時期や梅雨の時期に調査をしてみたら、違う結果になっていたかもしれません。暑さはともかく、日本の湿気は耐えられない外国人の方は多いことでしょう。
来年も大阪が「住みやすい街」上位をキープできるかどうかわかりませんが、「京都に近い」「食事が美味しい」「コミュ力が高い人が多い」といった大阪ならではのテッパン要素に円安の効果が加わると、「向かうところ敵なし」の雰囲気が漂います。
逆に、物価上昇や円安に悩む私たちにとって、「住みやすい街」はどんどん少なくなっているのでしょうか。少し悲しい気持ちになってきました。
それでは、「今週のニュースな英語」は、「affordable」(価格が手ごろ)を使った表現をご紹介します。ビジネスの場面でもよく使う言葉です。
The best affordable performance cars
(手ごろで性能が良いおススメの車)
More remote workers are willing to move to find affordable housing
(多くの在宅勤務者は、より手ごろな物件を求めて引っ越しをしたいと思っている)
This is an affordable price!
(これはお手頃な価格ですね!)
「住みやすい都市」の顔ぶれは、世の中の動向を反映して毎年少しずつ変わっています。最近では、ストライキやデモが多発する都市や紛争が続いている都市は順位を下げていますから、「こんな街に住んでみたい!」という憧れだけでない様子。
台風や災害が多い我が国ですが、「世界基準」では上位にランクインするのですね。世界を見る視野が、少し広がった気がしました。(井津川倫子)