権限は振るうのに、イザという時は隠れる人って「責任者」なんですか?【vol.29】(川上敬太郎)

   長女が18歳を迎えて成人し、選挙権を持ちました。

   そこで大人の先輩として、投票できるようになったことを、どう思っているか尋ねてみると、「小学校で模擬投票したことあるから大丈夫だよ!」と明るい声が返ってきました。

   いやいやいや! 聞きたいのは、そこじゃないですから。

   「大人として、政治家を選ぶ責任についてどう思うの?」と問い直してみると、「うーん、そっか。確かに・・・」と考え込んでしまいました。

   などとエラそうに問うてはみたものの、責任ってなかなか難しい概念だな、と思います。

  • 長女が選挙権を持ち、「責任」についてあらためて考えた(写真はイメージ)
    長女が選挙権を持ち、「責任」についてあらためて考えた(写真はイメージ)
  • 長女が選挙権を持ち、「責任」についてあらためて考えた(写真はイメージ)

スーパーでのトラブル、やがて責任者らしき人が現れると...。

   先日、馴染みのスーパーでレジに並んでいたら、前方のお客さんがずいぶんご立腹な様子でした。聞くともなしにその場に並んでいると、嫌でも大きな声が耳に入ってきます。

客:「どうなってんだ、いい加減にしろよっ!」
店員:「申し訳ございません。まもなく責任者が参りますので・・・」

   やがて責任者らしき人が現れると、「こちらの場所でお話を伺います。ご足労をおかけします」と、ムッツリした客を案内しながら、店の奥へと去っていきました。その後、応対していた店員さんがレジに戻り、目の前の光景は何事もなかったかのように普段通りです。

   そんな一連の応対を見ていると、イザという時にお店で起きたことに対して責任をとってくれるから「責任者」って言うんだな、と妙に納得しました。

   そして、お怒りの客を責任者へと引き継いだ後、店員さんがいつもとまったく変わらない様子でテキパキとレジをこなしていたのは、責任者がキッチリ対応してくれるだろう、という安心感の表われのようにも感じました。責任者、あっぱれです!

   そんなふうにトラブルの場をおさめてくれる責任者ですが、ただ客に平謝りするだけなら、必ずしも責任者でなくてよいかもしれません。責任者であるからには、客に「納得いくように説明しろ!」と言われれば、店員では知りえない背景も含めて詳しく説明し、「金を返せ!」と言われれば、返すかどうか決める必要があります。

   つまり、責任者として登場したということは、お怒りの客の要求に対して、店員さん以上の権限を持っているはずなのです。ということは、もし客が責任者の権限を越える範囲の要求をしてきたら、さらに大きな権限を持つ上の責任者へと引き継ぐことになるかもしれません。

   そう考えると、権限と責任の範囲って、基本的には同じなんだろうなって思います。

川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家
男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌「月刊人材ビジネス」営業推進部部長兼編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。
雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する「働く主婦・主夫層」の声延べ4万人以上を調査・分析したレポートは200本を超える。
NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディアへの出演、寄稿、コメント多数。
現在は、「人材サービスの公益的発展を考える会」主宰、「ヒトラボ」編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。
1973年生まれ。三重県出身。
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