iPhoneとAndroid。どちらのスマホを利用しているかで、犬好きか、猫好きかわかるという驚きの調査結果が出た。
NTTドコモのモバイル社会研究所(東京都千代田区)が2023年9月14日に発表した調査「犬と同居している人は活動的でiPhoneユーザーが多い、猫と同居している人はスマホ利用時間が長くAndroidスマホユーザーが多い」が、それだ。
ざっくり言うと、犬を飼っている人は活発、猫を飼っている人は孤独を愛するということのようだが、それがiPhoneとAndroidとどう関係があるのか。調査担当者に聞いた。
犬派はiPhon5割・Android4割、猫派はiPhon4割・Android5割
モバイル社会研究所の調査は、全国15歳~79歳の7166人の男女が対象だ。まず、利用端末について、iPhoneとAndroidスマホに着目して、犬や猫と同居しているかどうかを聞いた。
犬と同居している人はiPhoneが5割(50.2%)を超え、Androidが4割強(44.0%)と、iPhoneユーザーが多いことがわかった。一方、猫と同居している人は逆に、iPhoneが4割(40.6%)、Androidが5割強(51.2%)と、こちらはAndroidが多数派となった【図表1】。
なお、犬と猫の両方と同居している人の1割(10.6%)は、AndroidとiPhoneの両方を利用しているという結果も、非常に興味深い【再び図表1】。
次に、プライベートでのスマホ利用状況について、犬や猫との同居の有無に着目して聞くと、面白いことがわかった。猫と同居している人はプライベートでのスマホ利用時間が最も長く、3割超(31.0%)が4時間以上利用していた。これに対して、4時間以上スマホを利用している人が24.1%と、最も少なかったのが犬と同居している人だった【図表2】。
これは、猫はじっとしていることが多いのに対し、犬は活動的なので散歩したり、かまってやったりしなくてはならず、スマホを見ている暇があまりないからだろうか。
犬好きは仲間との交流が活発、猫好きは孤独を愛する?
また、メール、LINE、電話などを用いた仲間・友だちとのやりとりについて聞くと、こちらも興味深い結果が出た。やりとりが最も活発になるのは、犬や猫の両方と同居している人で、次に犬と同居している人、3番目は猫と同居している人の順番になった【図表3】。
どうやら、猫と同居していると、ものぐさな態度がうつるのか、友だちとの交流が不活発になるようだ。
こうした傾向は、仲間・友達との交流を外食や旅行、趣味の集まりなどの広げても同様の結果が出た【図表4】。これを見ると、交流が最も活発になるのは、犬や猫の両方と同居している人。次に、犬と同居している人。猫と同居している人は、犬や猫と同居していない人より不活発で、最下位になってしまった。
こうしたことから、モバイル社会研究所ではこうコメントしている。
「今回の調査結果から、犬と同居している人は仲間・友だちとの交流や奉仕活動などへの参加が活発であるが、猫と同居している人はそうではなく、プライベートでのスマホ利用時間が長い傾向であることがわかりました。
犬と猫は最も一般的な同居ペットですが、同居ペットが犬か猫かによって、その人のライフスタイルに違いがあることが確認できました」
犬は猫よりもお金がかかり、iPhoneユーザーは年収が高い
それにしても、なぜ犬と同居している人はiPhoneスマホが多く、猫と同居している人はAndroidスマホが多いという結果が出たのだろうか。J‐CAST 会社ウォッチ編集部では、モバイル社会研究所の調査担当者に聞いた。
――実は私自身も、これまで猫を4匹飼ってきて、Androidを使っていますから、今回の調査結果に該当することに驚いています。猫とAndroidのことなど意識したことがないのですが、これは何かiPhoneとAndroidの機能の違い、あるいは値段、特性が、猫と犬の違いに影響を与えているのでしょうか。
調査担当者「iPhoneとAndroidの違いが、直接的に犬と猫を飼うかどうかの違いに影響しているかは不明です。ただ、その人のライフスタイルや趣味、嗜好が間接的に、同居ペットの種類と利用端末(iPhone、Android)に関係している可能性はあります」
――それはどういうことですか。これまでにも、iPhoneとAndroidを持つ人の間で、ライフスタイルや趣味などに違いがあるという調査をしたことがありますか。
調査担当者「いくつか学会(日本行動計量学会など)で研究発表しました。たとえば、ユーザーを世代別に見ると、iPhone派が多いのは1947年~1949年生れの団塊世代、1965年~1970年生れのバブル世代、1987年~2001年生れのさとり世代です。また、性別は女性が多いのが特徴です。
一方、Android派が多いのは、1950年~1964年生れのしらけ世代、1971年~1974年生れの団塊ジュニア世代、1975年~1986年生れのポスト団塊ジュニア世代です。性別は男性が多いといった違いがあります。
また、世帯年収は全体的にiPhone派のほうがAndroid派より多い傾向にあります」
――そういうことまで分析してきたわけですね。私もAndroid派のしらけ世代ですから、これまた、該当しました。
調査担当者「両方のユーザーの特徴をみると、iPhone派はスマホを持ち始めた時期が早い傾向にあり、スマホ操作の習得方法は、iPhone派は『人から教えてもらった』『インターネットで調べた』という人が多かったです。
一方、Android派は『取り扱い説明書や参考書で調べた』『手探りで習得した』という人が多かったですね」
――なるほど。どちらかというと、iPhoneユーザーは活動的、かつ収入が多い傾向が出ていますね。そうしたiPhoneとAndroidを持つ人のライフスタイルの違いが、今回の犬と猫の差になって出たというわけですか。
調査担当者「はい。これから述べるのは個人的な感想です。最近は、室内飼いが増えており、犬も猫の同居には居住環境や経済的なゆとりなども関係してくると思います。これも推測の域を出ませんが、犬は猫よりも広い活動スペースや周囲への騒音配慮などの経済的ハードルがより高くなります。
また、スマホが出始めた初期の段階から、スマホを所有したユーザーについては、iPhone比率が高く、経済的なゆとりも高いと仮定すると、このようなユーザーの存在が間接的に同居ペットの種類とiPhone比率との関係に影響することも要因として考えられます。
なお、猫と同居している人はAndroid比率が51.6%ですが、犬や猫と同居していない場合の人(Android比率が47.6%)と、比較して少し高い程度なので、たまたまの結果なのかもしれません」
調査は2023年2月、全国の15歳~79歳の男女7166人を対象にWebで行なった。(福田和郎)